ついに ピーちゃんは 静かに息を引き取った。



午後3時のことだった。



はるるとあるるを迎えに行かなければならない。


本当は、ピーちゃんを連れていくはずだった。


でも、もう連れて行けない・・・



涙をぬぐって、何んとか家を出た。


二人になんて言おう、と思いながら学校へ行くと


もうすでに、子供たちが校門から出た後だった。


しまった、遅すぎた。


あわてて引き返そうとすると、携帯がなった。


「はるるくんとあるるちゃん、駐車場にいるよ!」


同じように車でお迎えに来てたお友達からだった。


お友達にお礼を言って、さよならをして


はるるとあるるにこう告げた。



「・・・・・とても残念なお知らせがあるの」



はるるの表情が変わった。あるるはきょとんとしている。


「ピーちゃん・・もしかして死んじゃったの?」


「うん・・さっき。」


「家に帰る!早く!」


はるるが叫んだ。



車を走らせながら、わたしはピーちゃんの経緯を話した。


二人とも黙って聞いている。


玄関の鍵を開けると、真っ先に箱を覗いた子供たち。


「本当だ・・・・」


それっきり、押し黙った。



わたしは、また大粒の涙をこぼしてしまった。


すると、さっきまで黙っていたあるるが泣き出した。


はるるは、2階に駆け上がった。


わたしとあるるは 玄関で抱き合い、おいおいと泣いた。


あるるは


「ピーちゃん、かわいそう、かわいそう」


とわんわん泣いていた。




しばらくして 2階に行くと


はるるが寝室で布団をかぶっていた。


「オレが連れて帰るなんていったから・・・」


「違うよ。ママが電気ストーブつけずに出かけちゃったから・・」


・・・・・悲しい空気が流れた。




時間がたつにつれ、落ち着いてくると、


ピーちゃんの死骸をどうするのかが、気になりだした。


昔なら庭に埋めてもよかったけれど


今は色々と条例もあるだろうし、しかも国鳥である野生の


キジを勝手に埋めてもいいのか・・・?などなど


考えれば考えるほど、全く知識のない自分を恥じた。


思い切って市役所に相談してみると


「野生のヒナが自宅で死んでしまった場合は


お庭に埋めてもいいですし、


燃えるごみで出してもいいですよ」



燃えるごみ  って・・・



さすがに、ピーちゃんをゴミとして出すことはできない。


はるると相談して、庭にお墓を作ることにした。


玄関においてある箱を覗くと、


ピーちゃんの周りにお花が敷かれている。


はるるが飾ったのだった。


そこで、庭に小さな穴を掘り 小さなピーちゃんと


はるるが飾った花を一緒に入れ、


その上に石を乗せた。



はるあままのココロのぽけっと-Image307.jpg



お墓を立てた後、わたしはしばらく寝込んでしまった。


大げさかもしれないが、相当 精神的ダメージを受けて


いることに自分でも驚いた。


ああすればよかった、こうすればよかったと


後悔の念が波のように押し寄せてくる。



「やっぱり、連れて帰らなければよかったかなぁ・・」



この言葉は、はるるの前では言いたくなかった。


はるるを非難する事になるからだ。


でも、つい口を滑らせてしまった。


すると はるるが力強く言ったのだ。



「でも、あの時は本当に死にそうだったじゃん。


家に連れて帰って、夜は元気になったでしょ?


少しでも長く生きれたから、きっとよかったんだよ」



はるるのポジティブな考えに、少しほっとしながらも


わたしは ぼんやり考えた。


ピーちゃんは こんなわたしたちを許してくれるだろうか?



ピーちゃん、本当にごめんね。


でも、わたしたちに


色んなことを教えてくれた。

本当に、ありがとう。

どうか 安らかに眠ってね。



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コメントありがとうございました。

ピーちゃんを心配してくれて、ありがとう。


でも とても悲しい結果になってしまいました。


野生の動物は、人間のエゴで保護してはならないこと

強く強く感じ、反省しています。


子供たちの心にも 何かしら残ったと思います。


今朝、あるるは ピーちゃんのお墓に手を合わせて

学校へ行きました。

はるるも学校から帰ると、真っ先にお墓に

手を合わせていました。


いのちを大切にする気持ち。

唯一のピーちゃんからの贈り物かな・・