【本記事では「主役」!】


「渡くんの××の崩壊寸前」には多くの魅力的なキャラクター達が登場します。

主人公である渡直人とその妹である渡鈴白、館花紗月や石原紫といったヒロイン達、そして渡多摩代さん・徳井・梅澤真輝奈に石原美桜さんといった脇を固める人物等々、それらの登場人物は個性や表情などがリアリティある筆致で描かれており、それ故に物語はえも言われぬ迫力や臨場感を醸し出しているのでしょう。

そして、作品中には「名前付き」の主要キャラクター達以外にも多くのモブキャラ達が登場しています。渡直人の同級生やバイト先の方々、或いは館花紗月の義兄である直純を慕う後輩達であったりと、彼らの存在感や醸し出す賑やかさは、物語の雰囲気を高めることに大きな役割を果たしているのでしょう。

(個性豊かな「モブキャラ」の皆様)

 

そんなモブキャラ達の中にあって最初期から登場し、物語の基調的な雰囲気を醸すことに大きな役割を果たしているのが「お団子ヘアの女の子」なのでしょう。

(お団子ヘアの女の子)

今回はモブキャラの筆頭格とも言える「お団子ヘアの女の子」について述べさせて頂きます。

 

1 「お団子ヘアの女の子」とは?

まず、この「お団子ヘアの女の子」とは何者なのかについて説明させて頂きます。

彼女は高校2年生であり、主人公たる渡直人やヒロインの片割れである石原紫などと同じクラスに属しています。

彼女の見た目を特徴付けているのは、その独特のヘアスタイルでしょう。

髪の毛を頭の上でお団子状に纏めており、そのお団子の下から小さなリボンを覗かせています。

(特徴的な「お団子ヘア」)

彼女のルックスやスタイルは平均的な水準なのでしょう。第3巻においては水着姿も披露してくれました!

(水着姿)

スレンダーながらも何かが控えめなその水着姿は、石原紫の凶悪なまでの魅力を実に良き塩梅で引き立てているのでしょう。

なお、「お団子ヘアの女の子」は石原紫や徳井と中学時代からの同級生といった関係性にあります。

特に石原紫とは中学時代から親しい間柄のようであり、中学時代の回想シーンにおいては一緒に過ごしている様がしばしば描かれています。

(談笑しながらの昼食)

石原紫との関係性は継続して良好であり、13巻における「いしはげ会」にもその顔を連ねています。


(「いしはげ会」にもしっかり参加)

 

2 登場シーン集計及び登場の傾向

以下は「お団子ヘアの女の子」の登場シーン集計表となります。

(登場シーン集計表)

第7巻を除き、全ての巻に登場していることが分かります。

そもそもですが、彼女は第1話の段階から登場しているのです。

第13巻までにおいては第8巻の番外編も加えて76のエピソードがありますが、そのうち26のエピソードにて顔を覗かせています。3話に1回は登場している割合になります。相当な「出ずっぱり」状態であると言えるでしょう。

その登場の傾向ですが、石原紫と一緒であることがほとんどであり、登場場所はほぼ学校です。石原紫の回想シーンに登場する傾向が多いことも大きな特徴と言えるでしょう。いわゆる「館花紗月巻」である第8巻において「お団子ヘアの女の子」が登場できているのも、番外編に石原紫の回想シーンがあるが故です。

なお、第1巻の時点においては徳井と一緒にいる場面も多く描かれている、即ち徳井の取り巻きといった感の描写が為されていましたが、エピソードが進むにつれてその要素は薄まっていきました。

(最初の登場場面は徳井と一緒)

 

また、第7巻において「お団子ヘアの女の子」が全く登場しないのは、当巻は夏休み期間が舞台であって学校生活は殆ど描かれていないことに加え、渡直人・館花紗月・石原紫の三者関係が緊迫感ある筆致で描かれているためであると思われます。

 

3 印象的な登場シーンについて

ここで「お団子ヘアの女の子」の印象的な登場シーンを紹介させて頂きます。


その1:徳井に突っ込みを入れる場面

(徳井への突っ込み)

第1巻・第3話にて、渡直人と石原紫が一緒に下校する場面を目撃した時、何処か虚めいた表情をした徳井に「気になる?」と言いながら肘にて突っ込みを入れています。石原紫や徳井と中学時代から近しいポジションに居たが故、石原紫に対する徳井の浅からぬ思いを知っていたのでしょうし、これは徳井の胸中に在る想いを際立たせる重要な行為とも言えるでしょう。


その2:石原紫の水着を褒める場面

(石原紫の水着を褒める)

第3巻・第1話にて、他の友人と共に石原紫の水着を褒め称えています。至って「ノーマル」なそのスタイルと併せ、石原紫の引き立て役として実に天晴れな働きぶりであると言えましょう。

 

その3:友人達を宥める場面

(友人達を宥める場面)

第3巻・第1話にて、一緒に海に来たはいいものの、全く関わる姿勢を見せようとしない館花紗月に対し女子達は陰口を叩いています。そんな女子達に対して「まあまあ、仲良くしよっ」と宥める言葉を投げ掛けています。彼女の好人物ぶりが際立つ場面と言えましょう。

 

その4:反省し謝罪する場面

(謝罪)

第3巻・第6話にて藤岡先輩の本性が露呈し、石原紫は彼に対してこれまでの思いを吐露した上で「もう二度と会いたくありません」と宣言します。「お団子ヘアの女の子」を始めとする石原紫の友人達は、それまで藤岡先輩を好人物であると認識し、そして石原紫と交際関係にあったものだと信じ切っていましたが、それが全くの誤解であったことが判明した場面です。

この後、「お団子ヘアの女の子」は自分の過ちを素直に認め、石原紫に謝罪しています。

やや軽薄な側面を持ちながらも、自分の過ちを認めて直ぐに謝ることの出来る素直な人柄であることが分かる場面なのでしょう。

 

その5:「完全に恋する乙女じゃん」発言の場面

(印象的な発言)

第10巻・第6話にて渡直人への想いを吐露し駆け出して行った石原紫。そんな彼女の様を目の当たりにした「お団子ヘアの女の子」は、「あんな紫ちゃん初めてみた。完全に恋する乙女じゃん。あれはマジだね」と述懐しています。中学生の頃から傍にいた彼女の発言であるが故に、石原紫の想いの強さや真剣さが際立つ場面であると言えるでしょう。

 

その6:修学旅行の場面

(ホテルのフロアで談笑する場面)

第13巻・第1話でホテルのフロアで友人達と談笑しつつ写真を見返しています。石原紫と別行動しているレアな場面であり、そして修学旅行の楽しげな雰囲気がしっとりと伝わって来る場面と言えましょう。

 

今回は以上で終わらさせて頂きます。

次回(後編)においては、本作における「お団子ヘアの女の子」の位置づけや彼女の魅力などについて述べさせて頂ければと考えています。

 

最後まで読んで下さりありがとうございました。