今回は、4巻第5話中盤における館花紗月と渡直人との関係性について考察します。

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今回はそれを受けて、館花紗月と渡直人の意図や目的を考察し、それを踏まえてこのエピソードにおける2人の関係性の変化などについて考察します。


エピソード概要

石原紫からの交際の申し出を受け入れた日の放課後、渡直人は交際を始めた事、そしてこれからの事について、MEIMEI飯店にて徳井に話をする。そこへバイト中の館花紗月が現れ、「へえ、Fカップちゃんと付き合うことになったんだ。」と言う。渡直人は館花紗月の登場に慌てつつ釈明めいた事を言う。

(何故か驚き、そして何故か言い訳する渡直人)

館花紗月の反応が薄かったことに、渡直人は拍子抜けした感じで「え、それだけ?」と反応し、館花紗月はニッとしながら「何?妬いて欲しいの?」と答える。


渡直人はこの後、MEIMEI飯店のバイトの面接であると照れたような感じで館花紗月に言うものの、館花紗月は今日でMEIMEI飯店のバイトを辞めると言う。それを聞いた渡直人は「」(黒塗り台詞)と驚く。

(衝撃の告白に驚き、そして落胆する渡直人)

館花紗月は渡直人の隣に座り、「ごめんねドキドキ、一緒にいてあげられなくて」と顔を赤らめつつも、どこか悲しそうな表情で渡直人に言い、渡直人は照れながら、「別に」と答える。


本エピソードの詳細かつマニアックな考察はこちらをご覧下さい。➡︎特別編その3



お互いの意図・目的等

館花紗月 

本エピソードの冒頭で渡直人が石原紫と交際を始めた事を聞き、館花紗月としては、覚悟していたこととは言え、やはり落胆してしまったのでしょう。目の色が光を失っていることから、その感情が伺えます。しかし、その後の渡直人の反応を見て、いくらかは機嫌も直ったのでしょう。「何?妬いて欲しいの?」と言ったときの表情からは嬉しさも感じられます。渡直人の館花紗月への執着を感じて嬉しかったのでしょう。

(嫉妬して欲しい渡直人、それを見抜く館花紗月)

そして、その後、渡直人がせっかくMEIMEI飯店のバイトの面接を受けるのに、館花紗月がその日にバイトを辞めてしまい、一緒にバイトできなくなってしまうことは、彼女にとっても悲しいことだったのでしょう。一連の沈みがちな表情、そして最後の渡直人の隣に座るときの悲しげな表情から、その気持ちが伺えます。


渡直人

石原紫と交際を始めたとは言え、渡直人が密かに抱いている館花紗月への想いが伝わってくるエピソードです。

石原紫との交際を始めたことを館花紗月に聞かれて狼狽し、そして言い訳めいた事を口にするのは館花紗月への無意識の好意のなせる技でしょうし、また、いつものように嫉妬もして欲しかったのでしょう。思わず言い訳してしまう様子など、あたかも浮気が彼女バレした彼氏さんのようです。

(お約束の嫉妬(2巻第4話より))

渡直人としては、館花紗月から興味を持たれたい、好意の対象でありたい、無関心だなんて以ての外、といった気持ちを潜在的に抱いているのでしょう。また、渡直人がMEIMEI飯店でバイトしようと考えたのも、前日に店長と面識が出来たことも大きな要素だとは思いますが、やはり館花紗月と一緒に居られるということも大きな要因だったのでしょう(渡直人自身は無意識的にそう考えているかもしれませんが)。

(一緒にバイトできるかもという照れと喜び)

館花紗月がバイトを辞めると言ったときの「」、そしてその後の呆気に取られたような表情がその落胆を物語っている気がします。館花紗月が渡直人の隣に座ったのも、渡直人の落胆を見抜いたためなのでしょう。


(渡直人の目論見通り、館花紗月と一緒に

バイトできていたとしたら、夏休みの間、朝は渡家で館花紗月と一緒に畑の世話をし、昼〜夕方は館花紗月と一緒にMEIMEI飯店でバイトする、ということになります。どんだけ一緒に居たいんだ?何なんだアンタたちは夫婦かよという話になります…)

(たまに疑似家族っぽい3人。仕事に出かけるお父さんを見送る奥さんと子供みたいな?)


関係性の変化に関する考察

このエピソードを経て、特に2人の関係が変化するということはありませんでした。しかしながら、このエピソードにて描かれているのは、無意識のうちに館花紗月との関係を求める渡直人と、そんな彼の気持ちを理解した館花紗月との息の合った痴話喧嘩(?)なのでしょう。

渡直人にとって、石原紫との関係とは、あくまで意識の上で、そして理性に基づいて判断するものなのでしょう。一度は交際を断った態度からもそのスタンスは感じられます。

それに対し、館花紗月との関係は、いつの間にか、知らず知らずのうちに関係性を求める行動を取っている、といった感じなのでしょう。石原紫との交際開始に対する館花紗月の薄いリアクションに対しての「え、それだけ?」は、思わず口から出た言葉なのでしょうし、一緒にバイトできないことを知ったときの驚きと落胆も、無意識のうちに抱いていた館花紗月と一緒に過ごせるという期待が裏切られた気持ちに由来するものなのでしょう。

館花紗月も前日の4巻第4話でのエピソードにおいて、渡直人の館花紗月と共に在りたいという気持ち、そして渡直人はまだ充分に意識化はしていない、館花紗月に対する好意の存在に気付いたのでしょう。このエピソードにおける館花紗月の言動も、それを踏まえてのことだと思われます。館花紗月も渡直人と一緒にバイトできないのは大変に残念だったのでしょう。


まだ交際には至らぬまでも、館花紗月と渡直人は、一緒に居たいと切に願っているのでしょう。

また、渡直人は、石原紫との交際を始めたとは言え、館花紗月からの関心に執着する姿勢を覗かせ、そして館花紗月はそんな彼の気持ちを見抜いた上でおちょくるという、2人の本質的な仲の良さ、深く強い関係性、そして微笑ましいまでの仲睦まじさが描かれているエピソードだと言えましょう。

(仲良く嘆く2人)


最後まで読んで頂きありがとうございました。