直人の言動を考察する上で避けて通れないのが石原紫への態度、そして感情でしょう。渡直人は館花紗月に根深い好意を抱きつつもその一方で石原紫にも好意を抱き、そして現在は石原紫と交際しています。

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「渡くんの××が崩壊寸前」作品紹介

考察項目・計画


今回は、何故、そのようなことになるのか?について考察したいと思います。

一通り石原紫の言動についても考察しますので、複数回の投稿となる予定です。

追記:6.3


石原紫について

渡直人の石原紫に関する言動を考察する前に、石原紫が如何なる人物なのか等について考察したいと思います。

概観

①容姿

黒髪のショート、目のパッチリした童顔であり、泣きぼくろもあります。非常に可愛らしく愛くるしい印象を与えます。

(完璧なるラブコメ美少女・石原紫)

胸のサイズは館花紗月曰く「F」であり、童顔+巨乳という大変な状況です。スタイルも抜群です。水着姿も同級生をして「嫉妬を通り越して見惚れる」と言わせる程に抜群だったようです。また、「全国美少女図鑑」にスカウトされる程であり、道行く人が顔を赤らめて振り返るなど、世間的にも容姿が圧倒的に優れていることが分かります。学校でもアイドル扱いされており、男子の間では暗黙の不戦協定が結ばれている程です。3巻においてフリーと発覚した後は、告白ラッシュが続くほどでした。

②性格

優しく親切で温和で素直で一途な性格です。圧倒的に優れている容姿を鼻をかけることもありません。ピュアな性格であり、男性と交際したこともありません。渡直人が風邪をひいたときにはお粥を差し入れてくれましたし、デートのときにはお弁当を持ってくるなど家庭的な面もあります。内気な面もあり、男性からしたら守ってあげなければといった気持ちを抱かせるのではないでしょうか。

③その他

交友関係に問題は見当たりません。徳井と一緒にいるお団子ヘアーの女の子たちとは地元組らしく、よく一緒におり、また、中学のときも一緒にいる様子が描かれていました。家は立派な一戸建てであり、それなりに経済的に余裕のある家庭だと思われます。家族は両親と弟らしく、母親は作中に一度登場しています。部屋も普通の年頃の女の子のものといった印象を受けます。料理は得意ではないようですが、渡直人を家に招待するために練習をしており、結果的に彼女の健気さや一途さを強調する材料となっています。頭も良く、勉強もできるらしいです。中学生の時は生徒会の役員もしており、周囲からの声望もあることが伺えます。


まさに一点の非の打ち所もない、完璧な正統派ラブコメ美少女と言っても過言ではないでしょう。


なお、もう1人のヒロイン・館花紗月はというと…

容姿:金髪のスレンダーな美少女であり、ナンパもよくされますが、すれ違う人がみな見惚れるという程ではありません。胸のサイズも「ギリギリD」であり、石原紫に対して館花紗月は大きな引け目を感じています。

性格:何を考えているのか掴み所のない生活です。渡直人に対してはピュアですが、過剰なきらいがあります。なお、渡直人以外の人とは殆ど話ししません。常識を弁えていないような行動が散見されます。好き嫌いのはっきりしたところもあり、藤岡先輩に対しては敵意を露骨に示し、最終的には後ろから蹴り倒しました。

その他:友達はいません。同じクラスに友達はおらず、海に行った時も他の女子と遊ぶことはありませんでした。部屋の鍵が壊れているような築数十年と思われるボロボロのアパートに一人暮らししています。部屋には何もなく(テレビなどありません。部屋にあるのは小ぶりのタンスが2つと小さな丸ちゃぶ台くらいであり、あと壁にカレンダーが貼ってある程度です)、とても年頃の女子の部屋とは思えぬ寂しい有様です。家族からの仕送りなどないらしく、生活費を捻出するために館花紗月はほぼ毎日バイトを頑張っています。家族については全くの不明であり、渡直人も実は何も知りません。成績等は不明です。過去は不登校だったらしく、あまり学校にも行っていなかったらしいです。


2人のヒロインの描き方に非常な濃淡があることが分かります…(;_;)


作中における言動等

作中における石原紫の主な言動を抽出し、個別的に考察した上で、彼女の性格及び渡直人との交際に至った理由等について考察したいと思います。

作中の記載が青字、個別的な考察が赤字になります。

主要な言動及び個別的な考察

1巻第1話において、渡家の庭で渡直人に館花紗月がキスしているのを目撃する。

このキスが石原紫のライバル意識を刺激し続け、彼女の後の行動に大きな影響を及ぼすことになります。

1巻第2話において、キスの翌日、学校の玄関で渡直人と美化委員のことやお互いの妹弟のことについて話しているところ、館花紗月が現れ、石原紫の胸を触ったため、石原紫は泣きそうな表情で渡直人を見、彼は館花紗月を屋上まで引っ張って行く。

石原紫は既に渡直人に好意を抱いています。そんな相手の前で女子からとは言えども胸を触られるのは当然ながら恥ずかしいのでしょう。なお、館花紗月としては牽制の意もあったのでしょう。

1巻第3話において、放課後、渡家にやって来て、戻ってきた渡直人に翌日に一緒に美化委員の買い出しに参加するよう要請する。館花紗月も一緒にいたため、「もしかして邪魔しちゃった?」と言う。

渡鈴白も一緒でしたが、渡直人と館花紗月が交際しているかもとの疑念を抱きました。

他の美化委員が用事が入ってしまったため、石原紫と渡直人とでホームセンターに買い出しに行くこととなる。石原紫は渡直人に対し、館花紗月と交際しているかについて尋ね、渡直人はそれを否定する。石原紫は気を回しすぎるのが自分の悪い癖であると釈明する。

疑惑が取り敢えず晴れ一安心の石原紫)

今後、長らく続く渡直人への館花紗月への好意の有無の確認の第1回目です。執拗な確認癖、そして基本的に相手を信用しない傾向が垣間見えます。

ホームセンターにおいて渡鈴白が現れ、「デートみたい」と激怒する。何とか鈴白を宥めた渡直人に対し、石原紫は去り際に「妹さんのこと大事にしている渡君が好きだから」と言い、その後慌てた様子で「人として?」などと言い、逃げるようにして去って行く。

本音は「付き合う系」の好きだったのでしょう。しかしながら、まだ踏み切る勇気もなく、渡直人ともまだそれほど接しておらず、まだ出方を探っている段階であるので誤魔化したものと思われます。

1巻第5話において、雨の日に学校の玄関で話している渡直人と館花紗月をロッカーの陰から見ており、側に行きたそうな素振りを見せるも諦め、赤面して去って行く。

渡直人に相合傘でも持ちかけたかったのでしょう。しかしながら館花紗月が側にいたため諦めたものと思われます。

2巻第2話において、風邪をひいて学校を休んだ渡直人に石原家特製のお粥を持って見舞いに行く。座薬があることに気づき、渡直人は館花紗月からの差し入れだと釈明してしまう。

(お粥の差し入れ)

好意の現れでしょう。座薬に関しては、やはり館花紗月の存在を感じてしまい、またも渡直人との関係が気になってしまっています。

2巻第3話において、下校中に会った渡直人を図書館での勉強に誘い、勉強を教えてくれる。

頭も良く勉強も得意なようです。

図書館での勉強中での会話

①石原紫は渡直人に初めて出会った時のことを話す。渡直人が転入の手続きをしている途中に一緒に来ていた渡鈴白が一時的に行方不明になってしまったため、狼狽して捜索していたところ、美化委員の作業を終えて会議室で着替えをしていた石原紫と出くわしてしまう。その時、渡直人は鈴白のことで頭がいっぱいだったため、石原紫が下着姿だということに全く興味を示さず、渡鈴白のことだけ聞いてすぐに立ち去った。

(出会い)

②いつも妹のことで頭がいっぱいで、それがダメだと思っているという渡直人に対し、石原紫は素敵だと言う。また、他の男子は女の子のことばかり考えており、性的な会話もしているとか、ナンパも何度もされるし、強引に誘われて怖い思いをすることなどを話す。

③渡直人に対して、「だけど渡くんは違う」(黒塗り台詞)、「渡くんだけは違う」

そして、見開きページで、目の光が無くなりかけた表情で、

「渡くんは純粋で」

「渡くんは誠実で」

「渡くんは優しくて」

「渡くんは清らかで」

「渡くんだけは他の男子と違うから」

「だから、私は」と言い、先に帰る

(条件の羅列)

石原紫が何故、渡直人に好意を抱いているかの説明が為されている極めて重要な場面です。

順番は前後しますが、③におけるア~ウは、大して意味はないのではないか?と思われます。この3つは、3巻第3話での石原紫の回想において、藤岡先輩から理想の結構相手を問われ、少女漫画の受け売りとして取り敢えず答えた内容と同一のためです。

(藤岡先輩からの質問、そして回答)

また、1巻から2巻にかけての渡直人の行動も、館花紗月のせいもありますが、純粋とも誠実とも言えない場面があります。特に、この場面の翌日にはスカート捲れを防ぐという理由がありましたが、渡直人は石原紫と遊びに行く話をしている最中に館花紗月に抱きついています。話の最中に他の女子に抱き着くなど誠実とも純粋とも言い難いのでは?とも思いますが、石原紫としては館花紗月との関係を気にするだけであり、誠実さや純粋さを渡直人が持ち合わせているかについては何ら問題にはしていません。

なお、この時の表情も目に光がない、精彩を欠くものですがら、言っている本人としても違和感を抱いている、自分自身の気持ちから自然に芽生えたものではないという認識があるのかもしれません。

②においては、女子に対して興味を示す、いわゆる普通の男子への嫌悪感が示されています。圧倒的なルックスの良さから常に男子の興味の対象であり続け、そして時折危険すら感じたことのあった石原紫にとっては、最早自分に興味や関心を抱く男子は警戒の対象にしか過ぎないのかもしれません。

①において、石原紫が渡直人に好意を抱いた理由が語られています。自分が着替え中で下着姿であるにも関わらず、それに全く興味を示さなかった、自分よりも他の対象、ここでは妹のことで頭がいっぱいであったことに対し、他の男子とは違い、自分に対して性的な面も含めて興味を抱かない、清らかな男子であるとの思い込みをしてしまったのでしょう。そのことが好意へと直結してしまったものと思われます。

10 図書館を出たところで入口にいた館花紗月と出くわし、渡直人との待ち合わせなのかと質問をした後、気まずい様子で足早に立ち去る。

館花紗月が渡直人を待っていたことに驚き、そして軽い怖れを感じてしまったのでしょう。館花紗月も微笑みながら敵対意識を剥き出しにしています。

11 テストの日の朝に渡直人と話しながら教室に向かうも、渡直人は館花紗月のスカートが気になっており、彼女を注視している。石原紫はそのことに気付くも、勇気を出さなければならないと思い、テストが終わったら遊びに行こうと渡直人を誘う。渡直人は喜んでと快諾するも、直後にスカート捲れを防ぐために館花紗月に後ろから抱き付く。石原紫は渡直人を置いて一人で教室に行ってしまう。

(珍しく怒る石原紫)

渡直人が館花紗月を注視していたため、ライバル意識が刺激され、遊びに誘ったのでしょう。渡直人が館花紗月に抱き付いたことには流石に憤慨したのでしょう。

12 2巻第5話において、水着を買いに行く話をしていた渡直人と館花紗月を見ていた。徳井から一緒に行けば?と言われるも、2人は交際していると噂されているなどと言い躊躇う。石原紫は旅行のキャンセルを申し出るも、徳井は渡直人ならば前みたいになっても石原紫の話を信じてくれる、彼女もそう思ってるから渡直人と親しくしてるのではと言い、付いて行くよう勧める。そして石原紫は渡直人と館花紗月に付いて行く。

石原紫が渡直人に拘る理由が徳井の口から語られています。前みたいなこととは、3巻で語られる石原紫の過去のことですが、中学生の頃、藤岡先輩と交際していないにも関わらず、彼の強引な態度や周囲の目もあり、交際などしていないということを結局は周囲に言うことが出来なかったことではないかと思われます。後に石原紫の口からも語られますが、周囲に流されることなく自己主張などができる姿勢も石原紫が好意を抱く理由であると思われます。そんな渡直人なら、仮に以前のようなことがあったとしても、周囲の風聞に惑わされることなく石原紫の言葉を信じてくれるとも思うのでしょう。

13 2巻第6話において、水着を買った帰りの電車から降りた時に渡直人達と出くわす。3人を呼び止め、渡直人と館花紗月との交際を確認しようとし、その根拠として1巻第1話におけるキスのことを挙げる。

石原紫としては、おそらくストーカー紛いのことまでして渡直人を付けた自分自身に何でここまで?との思いもあったでしょうし、また、渡直人が館花紗月の手を握っていた様子を見て意気消沈もしたのでしょう。なので、半ば諦め半分で2人が交際している前提の質問をし、そしてずっと気に掛かっていたキスのことについて、この際だから確認しようと思ったのでしょう。

14 キス疑惑について、館花紗月の謎言い訳に強引に納得させられた後、渡直人から館花紗月は幼なじみ以上の関係ではなく、そして石原紫と一緒に海に行くことを楽しみにしていると言われ、満面の笑みで「私も」と答える。

(石原紫、満面の笑み)

渡直人と館花紗月の交際疑惑が取り敢えず晴れ、また、渡直人から一緒に海に行くのが楽しみだと言われて相当に嬉しかったのでしょう。渡直人がここまで明確に好意的な態度を示してくれたことも嬉しかったのでしょう。


長くなりましたので、今回はここまでとさせて頂きます。


最後まで読んで頂きありがとうございました。