ノリちゃんのお母さんは、かわいい人でした。

 小柄で目がクリっとした童顔、さっぱりとした性格のようで、女子高生のように飾らない笑い方で、大きな口を開けて笑い、一緒に居る人は誰でも楽しくさせてくれるタイプでした。
 日曜日などで時間がある時は、私達と一緒に遊んでくれます。
 カルタやトランプ、ボードゲームの他、僕らがやってるごっこ遊びにも参加してくれました。
 もちろんお母さんが参加するときは女子隊員役はお母さんで、この場合には拉致されたり催眠術にかかることは無いのです。
 「ダン、私はウルトラホーク3号で攻撃するわ」
 「アンヌ、頼む。僕は1号で攻撃する」
 などと言いながら怪獣をやっつけるウルトラ警備隊のアンヌ隊員になりきってくれるのです。
 私もヒロイン役がやれないのは残念でしたが、ノリちゃんのお母さんは、僕にもノリちゃんと同じように優しくしてくれて、いい匂いがしたので、一緒に遊んでくれる時は僕も嬉しかったです。

 翌週の水曜日、私は近くの公園でノリちゃんと待合せてから、ノリちゃんの家に向かいました。
 『毎週水曜日はお母さんが、お仕事で、お部屋を使うから、外で遊ぶのよ、家に近づいちゃあだめよ。』
 と言われているで日したが、この日、ノリちゃんは、僕らが居ない日に、お母さんがお客さんのチンコを、自分のお尻に入れているという、その姿を僕に見せると約束していたのです。

 僕とノリちゃんは何故か無口になって、ノリちゃんの家に向かいました。
 ノリちゃんのお母さんから見てはいけないというものを見に行くのです。
 ノリちゃんがお母さんとの約束を破ることは珍しい事ではありませんでしたが、この約束を破って見てしまったら、何か取り返しがつかない事になってしまいそうな怖さもありました。

 それは学校で先生から聞いた「鶴の恩返し」や「雪女」のお話のように、見てはいけないと言われたのに見てしまったために、自分の世界から消えて行ってしまうような、取り返しようもない怖さです。

 それなのに、先週ノリちゃんと、あんな約束したから見ることになったのです、だけどやっぱり見ない方がいいんじゃないか?僕はウジウジと考えながらノリちゃんにそう言いだそうと思っていました。

 僕たちは無言で路地を曲がると、足を止めてしまいました。10メートルぐらい先にノリちゃんのお母さんが、大きな男の人と歩いているのが見えたのです。
 その男の人は坊主頭で太っていて、小柄なノリちゃんのお母さんと並ぶと父娘のようで、ノリちゃんのお母さんの細い肩を抱きかかえながらふらふらと歩いています。

 私達はとっさにゴミ箱の陰に隠れてそっと見ると、アパートに入る二人の横顔が、遠くからでもはっきりと見えました。
 ノリちゃんのお母さんは長く輝く髪を降ろし、ひらひらのスカートに水色のカーデガンを羽織って、真っ赤な口紅と青いアイシャドウが、遠くからでも確認できました。
 僕らと遊ぶときの、快活で優しいお姉さんの顔ではなく、何故か思いつめたような表情で悲しい顔に見えました。

 「ノリちゃん、やっぱりやめようよ」
 私はお母さんの悲しそうな顔を見て、今まで思ってきたことが自然と口から出ました。やはり見てはいけないもののような気がしたのです。
 「何だよ、お前が見たいって言うから連れてきたのに」
 「見たいなんて言ってないよ」
 「言っただろ」
 僕らは他に聞こえないように、声を潜めながら口論しました。

 「お母さん、悲しそうだったよ、見ちゃあいけないって言ってたんだから、見られたくないんだよ。お母さん僕たちといつも遊んでくれるし、親切にしてくれるんだから言うことを聞こうよ、ねっ、お願い、なんでも言う事を聞くから、今だけは見るのやめよう」

 私があまりに一生懸命言うので、ノリちゃんも諦めたようで、
 「ちぇっ、せっかく教えてやろうと思ったのに」
 僕が強く言ったからですが、それにしてもノリちゃんも諦めが早く、やはりノリちゃんも見てはいけないと思っていたのだと思います。 私達は、また、もと居た公園に戻ることにしました。

 この時、私は10歳で小学4年生、寸前で怖気づいて見なかった男女の交わりですが、やはりこの時は見なくて正解だと思っています。僕はノリちゃんのお母さんに、淡い恋心を抱いていて、そのノリちゃんのお母さんの、自分の中でのイメージが汚れてしまうのが、怖かったのだと思います。でももし見ていれば、その後の恋愛感や女性を見る目が変わっていたかもしれません。

 「今、おまえ、何でもするって言ったよな?」
 ノリちゃんは真顔になって僕に問い詰めます。
 「うん、言ったけど」
 僕は、ノリちゃんの真顔が少し怖くてそう応えましたが、それに対するノリちゃんの応えは、口をつぐんで頷くだけでした。



 その夜、私は夢を見ました。ノリちゃんのお母さんが太った男に催眠術を掛けられています。
 「おまえは、だんだん眠くなる・・・」
 「さあ、だんだんと瞼が重くなってくる。」
 美しく化粧をされたノリちゃんのお母さんは、塗れたように光る瞼を閉じるてゆきます。
 「さあ、おまえは私の声しか聞こえなくなる」
 「おまえは、私の奴隷だ、私の言うことは何でも聞かなければならない、いいね」
 「はい、御主人様」
 ノリちゃんのお母さんは表情を無くした顔で応えます。

 ノリちゃんのお母さんに催眠術をかけた男は、不意にノリちゃんのお母さんに抱きつき、キスをします。
 催眠術を掛けられたノリちゃんのお母さんは、「いやっ」と言いますが、身体に力が入らなくなり、されるがままに抱き締められキス  をされています。

 しばらくして男が顔を離すと、キスをされていた女性は、ノリちゃんのお母さんではなく私の母親に替わっていました。その時より若くて美しい、夜のお仕事に行っていた時の青いアイシャドウと真っ赤な口紅を塗ったお人形さんのような美しい母の顔に換わっていたのです。

 お母さんは、
 「だめっ、子供が、」
 と声を出すのですが、また抱きしめられ、母は何も抵抗できずに、白いブラウスを脱がされ、そのブラウスより白い肩と乳房をあらわにされ、アイシャドウで塗られた目を閉じ、母の方も、キスを味わうように顔を押し付け、されるがままになっているのです。
 男は顔を離すと、
 「いいな、おまえは私の奴隷だ」
 と言うと、
 テレビドラマの洗脳されたヒロインのように、目の上全てが青く塗られて、美しく改造された母が、意識のないような表情で、
 「はい、私はあなた様のモノです。」と言います。

 私は、
 『おかあさん、駄目だよ、だめ、いかないで』
 と言おうとするのですが、声が出ません。


 催眠術にかかった母は、自分で服を全部脱ぎ、お風呂に入る時と同じように裸になって、同じく裸になった男は、チ●コをお尻の穴に入れようとするのです。
 『おかあさん、おかあさん、』
 私は声が出ないまま、一生懸命叫ぼうとするのです。

 そこで目が覚めてしまいました。
 私は、ぐっしょりと汗をかき、肩で呼吸をしていました。

 そして、おねしょをした感覚はないのに、パンツが熱いものでぐっしょりと濡れていました。