haru181さんのブログ

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オリジナル小説

「ラセン」は

「小説家になろう」

に連載して行きます。

陳腐な、つまらない作品ですが、よろしくお願いします。

http://nk.syosetu.com/n2524y/
竹崎は誠の肩に優しく手を置き、言った。

「井上祐一君は知っているね?」

「は、はい。」

「君が勤めていた時の、取引先の人間だね。」

誠は、突然竹崎の口から出てきた名前にびっくりした。

誠の妻である真由美の、別れた元夫であり、前職の会社での、取引先の会社の営業部長の名前である。

「はい、そうです。」

「祐一君が、田中誠という友達が失意の内にいるから、彼を助けてくれ。

決してこの事は黙っててくれ。

彼は信じられる、俺の取引先の人間だから。
と言ってきた。

だから今日、君に会ったんだ。

祐一君は、私の大学の後輩だ。

ある日、私の会社に来て、面識もないのに、私に君の事を頼み込んたんだ。

名簿で調べたらしい。

私は同窓会の幹事だからね。

祐一君は僕と一回り違う。

勇気のある男だ。」

誠はその場所に崩れ落ちた。

そして大きな声を張り上げて泣いた。

その声は公園中に響き渡った。

遊びに夢中になっていた子供達も、遊びを止めて平伏して泣く誠を見守った。

竹崎は、嗚咽している誠の肩を、しばらくしてから、優しく抱き抱えてあげた。

「あなた達の関係は、私はそれ以上は知らないが、いい友達を持ったね。

まるでお兄さんのように、心配していた。」


誠は心で祐一に詫びた。

「いうなれば奥さんを奪った形の俺なのに…
そんな俺の為に…」

そして誠は、この竹崎に、自分の人生の行く末を任せようと、その時「決心」した。

「誠君。」

竹崎はポンッと、誠の肩を叩いた。

「明日の午後一時に、私の名刺の住所に来なさい。」

「わ、わかりました。」

竹崎は、歩きだした。

そして突然、振り向くと誠に言った。

「君には浮浪者になってもらう。」

そう笑顔で言うと、颯爽と去って行った。

誠は度肝を抜かれた。


「まあ、人には必ずと言っていい程、試練が来る。
誠さん、今がその時だと私は思いますよ。」

竹崎は笑顔で答えた。

何て澄んだ瞳なんだろう。
気持ちを優しく包んで、吸い込ませる深海のような瞳。

誠はその言葉と瞳に、また救われた。

「あなたの妻が納得する仕事とは、具体的に何だと思いますか?」

竹崎は誠に聞いた。

誠は一瞬、答えに詰まった。

ストレートに応えていいものだろうか?

誠は躊躇していた。

竹崎は誠の応えを分かっていた。

「奥さんの肩書に恥ずかしくない仕事とは?
何ですかね?
それでは奥さんの人生だけに、荷担しているだけです。」

誠はハッとした。

ハンマーで頭を殴られた感じだ。

心の全体を覆っていた”不安””喪失””失望”といった”負の思考”が球体の中に入り込み、そして誠の意識の中で大きな音を伴って、破裂して行くのを覚えた。

「誠さん、全ては貴方の中にあります。
この世の中では、決して神様が救いの手を差し延べる事はありません。
自らで解決しなければなりません。」

誠の心に何かが目覚めた。

落胆から昂揚する希望の光りが灯った。

「誠さん。」
面接は合格です。」

「はい?」