8月13日(火) オフ

 

 

 

 

大変な3連勤だった。

 

盆休前だという重要の多い時期に加え、地震に台風。

そしてマスコミによる買い溜め需要の喚起。

 

過去最大の飲料発注記録を日を追うごとに更新した。

酒屋も真っ青になるのではないかという量の配達と言って良いだろう。

水など銘柄によっては品切れも続出したようだ。

 

 

◇◇

 

 

何度も冷えた濡れタオルで頭部や脇の下を冷やしながらでも、睡眠は摂っているはずなのに生あくびが止まらなくなり、確認したはずの荷物が前後で番号違いで積んでしまったり、最後にはアクセルとブレーキを踏む足の裏が攣ってしばし配達を休止せざるをえなかったり。

とりあえず無事に終わったという印象。

 

他の現場では何人も、熱中症で配達ができなくなったドライバーが続出。

元請けのドライバーが交代で出動するという事態が多発しているようだ。

 

私も制限時間をフルに使い、小休止を繰り返しながらの配達をしてなんとか乗り切った。

 

まさに【サバイバル】

 

今のところ、生き残れている。

 

 

そして今日はオフなので、昨夜の開放感がハンパではなかった。

過酷さを免れること、それのみを考えて祝したいという気分だった。

今日までの自分の頑張りに祝杯を。

オフの日は減り過ぎたHPゲージを、満タンにまではならなくとも少しでもそうなるように過ごしたいと願うのみだった。

 

もうこうなると体力勝負でしかない。

 

実にシンプル。

どのくらい続くのか、まったく定かではないが目の前に存在する大きな壁として、【夏の配送業務】があるだけだ。

 

 

◇◇

 

 

時期的に夏の祭りがそこかしこで行われている。

 

あたかも子供たちのためにあるような町内会レベルのものもあれば、プロというか神輿を担ぐ専門の集団が揃う本格的な伝統行事っぽいものまで、配達エリアでは散見されている。

 

そんな中、宛先の住所には建物など何もない公園で、【神酒所】といういかにも配達先がありそうな、間違いなく【祭りの会場】であろうという注文が私の伝票に記載されていた。

 

数年間この現場で仕事をしている中で、この発注は受けられないと確信。

ホテルの一室や、住民票の取れない場所への発注は基本的にNGというルールで運用されていたはずだ。

そもそも不在票を投函するポストすらない場所への配達など、不確定要素の多い注文は受けて来なかったはず。

公園ならいわずもがな、だ。

 

何年もの間そのような配達は全てスーパー側が弾くことでキャンセル扱いになってきた。

これがOKならば仮設テントさえあればどこでも良いということになり、イベント会場などにも届けることが出来るようになる。

時間指定だったり生鮮食品を中心に台車で運ぶことが前提のネットスーパー配送は、どこへでも運ぶというルールは成り立たない。

そもそも勝手なルール変更は、社員ではない我々個人ドライバーに対しての信義則に違反するし、大げさに言えば下請け法違反に抵触するはず。

 


スーパーのカスタマーサービスの若者と思しき声が言う。

 

おっしゃる通りですね、などと理解している風でいるものの 「何かあれば私たちが対応します。何かしら建物があるはずですので行ってください。」 と。

客に強制キャンセルの連絡をすることを避けたいという気持ちはわからないでもないが、それとこれは別な問題だ。

 

私は抵抗した。

 

一度やってしまえば 【前例がある】 となる。

そうすれば今後も請けなければいけないことになる。

今回だけで済むはずはないので、他のドライバーに迷惑がかかってしまう。

「テントが建物であるはずがない。 こういう配達は事前に止めなければ悪しき前例になる。 完了の実績を作ってはいけない。」 と。

 

すると、カスタマーサービスは上司に確認すると言ったあと、「ルール上できるので行ってください。」と返してきた。

私は、「そんなルールは無いはず、曲解しているだけだ。」 と主張したが黙られたので仕方なく電話を切った。


すかさず元請けの担当に電話する。

無駄かもしれないと思ったが、覆したかった。

そして同じ会話の後、大して時間もかからず「ルール上配達出来るらしいので、お願いします」 と、にべもなく返してきたのでこちらも電話を切る。

予想通りだった。

現場を守る、ということを彼らがした事は無いのでおそらくは【配達員にやらせればいい】という思惑が一致したのだろう。

 

 

普段はこんなやり取りなどほとんどない。

スーパーにいる現場責任者が事前にチェックして弾いてキャンセル扱いにしているからだ。

現場の人たちは、配達員側ではないものの最低限度の傘になってくれていた。

不幸にもその日は現場責任者も副責任者も休みで、善悪の判断をしないパートさんがスルーして荷物を用意してしまっていたのだ。

 

もう取り付く島は無い。

配達時間は刻々と迫るだけだ。

 

私は納得ができないまま、結局その配達を完了させた。

到着後、いくつかある仮設テントのうちのそれらしい所まで台車で運び、そこから誰かもわからない人たちに「あっちや」「こっちや」と、さらに2回ほど公園内を移動した。

 

 


後日スーパーの現場責任者に顛末を話すと憤慨していたので、請けるべきではない内容だったのだと確信した。

数刻を過ぎてから、その人に呼び止められた。

曰く、カスタマーセンターを管轄する偉い人が「そんなのあったの?すぐ確認する!」と言っていたそうなのできっと弾くべき案件だったのだろう。

電話に出た者の名前を聞かれたが、それは忘れたことにしておいた。

私はこのあと似たような注文があっても弾いてくれればいいだけで、電話の対応をした若者たちを糾弾したいわけではない。

 

売上至上主義に走るならば 【済んだこと】 として、このあと何も言って来ないだろう。

期待のしすぎは良くないことだ。

 

 

◇◇

 


私が思うに【物流問題】とは、今回のような管理者たちが現場に押し付けて【その場だけを乗り切る】という行為を繰り返してきたことで生まれた、自滅だと思っている。

自分の手足を食うタコのようなもの。

人手不足然り、条件悪化然り、その場しのぎで築いてきた長年のツケが火を噴いたに過ぎない。

毅然とした態度で主張して解決したり、出すものをきちんと出していれば労働環境に対する苦情など出なかったはずだからだ。

 

交渉力の低さを棚に上げ、価格転換できないからと言いつつ現場に押し付けて放置してきただけのこと。

仕事が無くなる、という恐怖感からくる腰砕けが全ての元凶だ。

 

不手際が幾重にも重なって出来上がった悪しき習慣のミルフィーユ。

そういう体質がそこかしこで産まれ続け、習慣化してそれが常識になって業界を作り上げ、たまらず噴出した最下層の悲鳴をやっと問題として掬い上げた、それが物流問題の本質ではないだろうか。

 

 


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今日はオフだが、何もやる気が起きない。

 

一度、座ってしまうとなかなた立ち上がるまでがとてもしんどい。

 

癒しが必要なのだと、痛切に感じている。

 

 

 

◇◇

 

 

カレーをやっと、作ることが出来た。

満を持して、といった所で非常に満足だった。

 

出来上がりを、かけつけ2杯。

 

 

 

◇◇

 

 

配達中に体内を冷却するため、コンビニでアイスを買うことが多い。

 

だが、パピコを1人で食べるのは今回で終わりにしようと思った。

あれはシェアをすることで誰かと一緒にアイスを楽しむ、そういうものだ。

 

少しだけ、一人で両方食べるのが虚しかった。

 

 

◇◇

 

 

家での食事は自分のために、自分で作る。

 

ストレスの発散と残り物の処理ではあっても少しでもテンションが上がるように。

 

そう考えている。

 

 

 

 

◇◇

 

 

3連勤の中日の食事は、栄養というか色んな意味でパワーを補給するという意味合いが強い。

 

まだ勤務日を残している中での食事は、チカラが漲る肉を欲することもある。

食べたい料理というより、食材を先に決めてから何を作ろうかと考えて。

食べ切れないかな?と思うくらいの肉を、食いだめよろしく腹に放り込む。

 

そうやって、プラシーボでもいいから「おれは大丈夫だ」 と言い聞かせている。

 

 

 

 

◇◇

 

 

残り物も、【時短の晩酌】と考えればいい。

 

ただ酒を流し込むだけよりも遥かに良いのだ。

 

 

 

◇◇

 

 

残り物は冷蔵庫の中だけではない。

 

中途半端に残って持ち帰ったペットボトルのレモンジュースも、ビールで割ることによって【さわやかなカクテル】の体を醸し出すことが出来る。

 

魚肉ソーセージがお供では、ジャンクフード感は否めないけれど。

 

 

 

◇◇

 

 

そして待ち遠しかったオフの前日。

 

サラダと野菜の炒め物、そしてニンニクとゴマ油を大量にまぶしたカツオ。

 

私にとってのリセット飯。

 

初めて買った銘柄のドイツワインも、想像を超えて飲み口が良かった。

 

いつ寝ても良いのだ、という開放感の中で酒が進む。

 

 

 

残っていたカツオは、翌日に丼モノでも作ろうかなと思っていたが結局食い切ってしまった。

残っていた日本酒はカラになり、フワフワと気持ちの良いまま布団へ入ることが出来た。

 

 

 

 

 

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そして今日。

 

朝の起床の時点で、出かける気はさらさら無し。

睡眠もしっかり摂れたが、多少の腰の張りは仕方が無いだろう。

 

空調を利かせた部屋でストレスなく過ごす。

今日がどんなに高温であろうとどこ吹く風、そういった状況に身を置くと決めていた。

 

布団だけは干したかったがそれもやめた。

ベランダが暑そうだったからだ。

今日は汗をかきたくない。

 

 

 

家事をゆっくりと済ませ、ダラダラと動画を見ていたがギターを弾きたくなった。

 

激しい曲はやめておこう、とは思った。

 

そう思って頭に浮かんだのは、なぜかサンタナの【哀愁のヨーロッパ】。

実はタイトルを知らなかった。

イントロフレーズしか知らない曲だったが、何度も聴いたあとにいつものようにTAB譜動画を見つつ数小節だけちょろっと練習。

 

チョーキングが気持ちよかったが、1弦がはじけ飛ぶように切れたので張替え。

予備があって良かった。

 

新しい弦は良く滑って良いものだったが、だからといって私の技術に残念ながら変化は無い。

 

 

 

 

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知人の出身高校が甲子園に出ているようだ。

興奮気味に報告してきたので、応援しているよと言っておいた。

 

 

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今日はまだ何も食べていない。

 

すでに18:30を回っているが、全く空腹感を感じない。

 

しかし食べなければ明日からの体力維持に差し障る。

 

晩酌を兼ねた食事を、これからのんびり作ろうと思う。