4月13日(土) 3連勤初日
仕事は可もなく不可もなかった。
天気だけは良かった。
配達の合間にネットで見つけた部屋に、「アレ?これは・・・ 」 ピンと来るものがあった。
「この部屋ちょっと良いかもしれん」 と。
ただ、想定していたエリアとはちょっと離れている。
別に【遠い】というわけではないが、景色も浮かばないし馴染みがないといった程度だ。
どういう場所なのかが、まず気になった。
物件情報としてはまだ新しいようなので、その日の夜に周辺の探索をしておくことにした。
こまかな住所はわからないが、周辺までなら記載があった。
どうせ内見できないるわけでもないからそれで充分だ。
たまたまその周辺に住んだことのあるドライバーがいて、色々教えてくれた。
おかげで予備知識をもって見に行けることになった。
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仕事の後、夜九時過ぎに現地付近に到着。
端正な住宅街だった。
碁盤の目のように整理された道路、どの道も狭いと感じる事は無かった。
広い道が爽やかだが、街灯は少なめ。
今の住まいは、悪く言えば【狭い所に密集しすぎ】、よく言えば【溢れるほどの下町風情】。
そこにはそういったガチャガチャ感は一切なかった。
だが暮らすためだけの街なら環境の良いところだと思えた。
土曜の夜九時で付近に歩行者を見かけることがほとんどなかった。
今の住まいでは、曜日や時間に関係なく周りを見渡せばどこかに必ず人が歩いている。
ここでは道に人がいない割に、どの家屋の中にも電気が灯っているのでなんだか妙な疎外感を覚える。
人は大勢居るのに自分は一人。
でも 「ここでは異邦人なのだから仕方ないか」 と、そんなことを思った。
この付近で自分が暮らすイメージというものがあまり湧いてこないかったが、来たばかりの初めて訪れた街では馴染みがないだけだろうとも思う。
そして、間取りが魅力であり捨てがたいという気持ちの方が強かった。
周辺探索を切り上げ、国道に戻った。
たくさんの店があり、飲食店に困ることはなさそうだ。
スーパーもあったし、小さな居酒屋なども見えた。
折角なので付近で夕食を摂っていくことにした。
久々の外食だ。
立ち食いではないがそれに近いチェーン店の蕎麦屋。
ロシアがウクライナに攻め込んでからの物価高が始まって以来の外食となっているはずだ。
こんなに高かったっけ?というのが印象。
天玉ソバは大盛りにしても600円くらいのイメージだったが、券売機で700円を超えた。
まちがいなく物価が高くなっていると感じる。
いま、吉野家はどうなっているのだろか。
私の記憶では500円程度で腹がいっぱいになった気がするのだが。
食後に一時間弱の夜のドライブ。
帰宅後、メールで不動産会社へ見た物件についての問い合わせを入れておいた。
遅くとも月曜には返信が来るだろう。
その夜は興奮していたのか、12時を過ぎてから床に就き、その後もなかなか寝付けなかった。
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4月14日(日) 3連勤中日
部屋の問い合わせをしただけなのに、少し興奮気味になっているようだ。
まだ何も決まっていないのに、一歩踏み出したような感覚がある。
昼前に、早くもメールの返信があった。
不動産屋といっても色々だ。
ここは日曜も営業しているみたいだが、基本的にはあまり会わずに話を進めようとしているようにも感じた。
コロナ後の変化というヤツなのだろうか。
オフである火曜日に内見出来るよう申し込んだ。
若い声。抑揚がないが、こういうものだろう。
予約しないと話も聞いてもらえないようだ。
今回目当ての部屋の管理は専属専任ではないらしく、空室の確認が要るというので待つことになった。
他の物件もネット上でいろいろ探してみるも、やはり今回の部屋は条件的に頭一つ出ている気がする。
だがデメリットもあり、それは重要な懸念事項だ。
まず、都市ガスでは無いのでガス代は恐らく今の倍近くになるだろう。
ロフトがあって天井も高いので、空調にかかる費用もちょっと計算できないくらい上がるはず。
広さが3倍以上になってエアコンも2台になるのだから夏場の電気代は察して知るべし。
それらを踏まえても、なんだか気になるのだ。
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仕事は夕方まで問題なかったのだが、負荷の高い配達が集中した。
一気に息切れのする状態になった後半。
生暖かい空気と相まって、不快感が強かった。
帰宅後には何かを作る気にもならず、パンにチーズを挟んで簡単な食事で済ませた。
缶のままの炭酸が入った酒も、一口飲んでそのまま放置。
もったいないことだが、翌朝までそのままだったものをもう一度冷やして飲む気にならない。
残りはぜんぶ流しに捨てた。
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4月15日(月) 3連勤最終日
この3日間、冷蔵庫のものがほとんど減っていないことが気になる。
外食やら食パンとチーズなどで済ませているからだ。
減ったのはマヨネーズくらい。
中で悪くなっているものがある気がするが、こういうときもあるだろう。
気にはなるけれども、私にもいろいろ優先順位というものがある。
しかし、暑くなってきたものだ。
気温26℃。
まだ4月でこれなのだから、夏が思いやられる。
夏本番になればあと10℃上がる。
恐るべし。
運転席と荷台を分けるためのカーテンと突っ張り棒を注文した。
翌日届くようなので、DIYで設置しようと思っている。
少しでもエアコンの効きがよくなればいい。
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コンビニ前に車を停め、コーヒーをセルフレジで買っていた。
その時に、「コレあなたのではないですか?」と、横から女性が私のサイフを笑顔で差し出した。
一瞬何が起きたのかわからなかったが、「ええ、私のです」と受け取った。
私が落したのを拾ってくれたようだ。
会計を済ませながら頭の中で落ち着いて考えた。
先ほどの女性にはちゃんと感謝をしなければ、と。
店の中にまだその方がいたので、声をかけて何度も頭を下げて感謝をした。
私よりも一回りくらい年上に見えるその女性は「車の横で落としたのが見えたのよ。良かったわねぇ、人に獲られなくて。」と、治安のあまり良くないこのエリアで私の事を心配してくれ、拾って追いかけてくれたのだった。
親切な人が気付いてくれて本当に良かった。
救われたと思って何度も頭を下げた。
人の優しさに触れ、心が温かくなったような気もした。
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この日は最終便が店の棚卸しによりなくなっている。
そのぶん早く帰れるのだが、当然に減額されているので喜ばしいとも言えない。
実入りの少ない今日は早く帰ろうと、それだけを思っていた。
なのに、午後になってから減った便の件数がちゃっかり上乗せされていた。
勝手な搾取はここでも起きている。
店は勝手にドライバーに任せようとして負荷を増やし、配送会社は一日まるまる拘束する割に便が減ったのだからと一方的に金を抜く。
そしてそれらの情報は共有されないからそれぞれに罪悪感がない。
こうやって、荷主と配送会社がセットというかシステムでドライバーを消耗させる習慣が昔から何一つ変わらない。
改めて、反吐が出る思いだ。
2024問題などと言っているが、ドライバーという立場の人間を会社と荷主が必要以上に搾取しまくった結果、泣きついた労働者の陳情がやっと陽の目を見たというだけのことだ。
つまり、知っていたくせに放置していただけ。
荷主とその条件を請ける会社たちは、同類だ。
違法ではないが、ならば良いというなら裏金議員を追求することもおかしな話になる。
つまりこれは倫理や正義の話なのだ。
弱い者をツネるのに躊躇はないが、強い者に向かっていくのは勇気が要るから尻込みする。
良いか悪いかではなく、利益を守るために目をつぶって結束し、臭いものにフタをする。
そういう人間の心理の問題なのだ。
作業負荷であれ賃金であれ、末端つまりドライバーに出すべきものをきちんと出すシステムを最初から作っておけば、誰も文句など言わないからこの問題は起きる事など無かった。
要するに【調子に乗ってやり過ぎた】ことが破綻を生んだだけ。
今度は届かなくなる荷物のことを心配している記事やニュースを見るが、その実態は払うツケが苦しいと言っているだけにしか見えず、実に見苦しい。
その業界にいて日銭を稼いでいる己に対する自己嫌悪も、同時に強く感じている。
気に入らないと言いつつ、それをやるからつけ上がらせてしまうのだ。
つまり、やる方にも責任はある。
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夕方から頭痛のような、目の奥の鈍痛が止まらなくなった。
激痛ではなく、鈍痛。
ダルさもあるが、痛みの方が強い。
疲れ目かもしれないし、気圧の変化によるものかもしれない。
俗にいう【季節の変わり目】によくあるやつだ。
きっと体内では自己治癒能力がフル稼働しているはず。
こういうときは無理して動くとこじらせる。
帰宅してからもそれは治らなかった。
ラクになるのは目を閉じた時だけ。
何もする気にならなかったので、仕方なく早めに床に就くことにした。
睡眠が一番効くような気がしたからだ。
翌朝はオフ。
少し早めに起きて、体調を見て諸々の事を始めようと考えた。
やるべきことは、落ち着いて過ごすことだけだ。
そのためにはまず体を整えなければいけない。
良いオフになりますように、と。
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4月16日(火) オフ
目覚しを6時に設定していたが、それよりも早い起床になった。
すでに陽射しが感じられる。
昨夜早いうちに寝たのが良かったのかもしれない。
寝覚めはとても良かった。
朝から焼きそばを作って、それをペロリと平らげる。
調子が戻っているなと確信。
午前中に問い合わせた部屋の内見予定が入っているので楽しみだったが、残念なことに【契約済み】だと連絡が入ってキャンセル。
出かける準備はしていたので、その足で注文していたカーテンを車に設置した。
効果は、もう少し気温が高くならなければわからないだろうと思う。
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予定がなくなったので、そのまま車に乗りショッピングモールへ向かった。
下着などを新しいものに入れ替えたかったし、気分転換も兼ねたかった。
平日の午前のショッピングモールは空いていた。
チラホラと見える客は高齢者ばかり。
衣料品店でパンツを数枚と、食品の店でストレス発散の買い物。
今必要ではないものを買うのは、少し楽しかった。
帰宅後は、家事を済ませてギターを握った。
数日間触っていなかったが、もともと落ちることを気にする腕でもない。
習慣になっている練習曲のバンビーナは、未だ笑ってしまうほど指が追いつかない。
スピードを半分にして何とか追いつく程度だ。
弾けるようになるのはまだまだ先だろうが、気持ちだけは布袋さんに成り切っている。
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午後になって風が強くなってきた。
今日はもう部屋探しを進めることはしない。
気持ちの切り替えのために、ゆっくり過ごそうと思う。
まずはKALDIで調達したものを、楽しもう。
今の部屋は、夏までに出ていけばいいのだから。