1月9日(火) オフ

 

 

車の整備で午前は潰れた。

 

昼過ぎから掃除と洗濯を開始。

なんとなく、汚れたキッチンだけ手を出すのが億劫だった。

 

食事は空腹になってからでいいや、と思い台所周辺の掃除を投げ出してギターに耽った。

 

最近はギターを弾くという趣味というか現実逃避が出来ている。

なんとなくという感じで好きなフレーズを片っ端から弾いていれば、あっという間に夕方になった。

 

よっこらせ、と腰を上げ台所で洗い物を始めた。

 

すっかり外が暗くなってから晩酌の支度。

冷蔵庫にあるものを適当に並べていくと、そこそこに皿の嵩が増していく。

テーマも何もないので並べ方にセンスはないが、良く言えば和洋折衷。

食べてみれば悪くなかった。

 

ワインの炭酸割が進んでいく。

 

夕方まで何も食べていなかったので、ツマミを食って刺激されたのか、そこからの高い空腹感。

酔いは回っていたので簡単に、トーストにレタスと生ハムを乗せただけの食事。

 

 

これがなかなか美味しく感じて、結局もう一枚追加。

計3枚のパンを完食して満腹になった。

 

 

 

すっかり夜もふけていて、あっという間に一日が終わった気がする。

なまじ正月に連休を取ったから、1日だけの休日は短く感じるのかもしれない。

 

ただ、ここ最近感じている【気づいている忘れ物を意識しないようにしている】ような気分が消えない。

 

 

 

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1月10日(水) 2連勤初日

 

 

 

前日に交換した部品を一日かけてチェックしようと考えていた。

熱ダレは特に夕方から顕著だったからだ。

 

朝一番のエンジン始動は、問題なかった。

冷え切った状態からのエンジンスタートの様子も見落とさないようにと思ってキーを捻ると、これも効果があったと思えるスムーズさでエンジンに火が入った。

セルがまわってから初動までのもたつきは間違いなく改善されていた。

「よっこらしょ。。。」という感じだったのが「せいや!」という感じ。

無理矢理起こされていたのが、飛び起きるようになったわけだ。

18万キロを経たエンジンは確実に弱い部品から衰えるが、機械ならば交換がきく。

人間は、そうはいかない。

 

 

 

朝の構内には、想像通り飲料の箱が大量に積まれて私たちドライバーを待ち構えている。

辟易しつつの積み込み。

 

地味に右ヒジが痛い。

 

配達そのものに問題はないが、荷物を持ち上げて階段を往復しているとフツフツと嫌な気持ちになってくる。

これが仕事なのだからと思うしかないが、言葉にしづらい閉塞感で頭が一杯になる。

 

昼過ぎにコンビニで買った食料をペットボトルの茶で流し込む。

普段は気にならないはずの、いつも車内で付けているラジオにも苛ついてしまっている。

良くない傾向だと思いつつ、なるべく無心でと考えながら続ける。

 

 

夕方になり、アイドリング中のエンジンの状態を確認。

熱ダレが出るなら、すでに出ていてもおかしくない。

ずっと安定しているし、もともと非力だが性能的に十分なパワーが出ている。

ホッとするものの、嫌だ嫌だと思っているこの仕事を継続する為に懸命になっているのかという自虐心も湧く。

 

 

事故やトラブルもなく仕事は終了。

こういうときには注意力が散漫になりがちだ。

そして陽が落ちてからの夜風がことのほか寒く感じたので、今夜は煮物でも作って和食でご飯にしようと思った。

癒しになると考えたからだ。

 

 

帰宅後の晩酌。

煮物を作っている間に、冷奴と残りの松前漬けで一杯。

 

最近のっけから日本酒を飲むことが増えた。

酒にも甘さを求めているのだろうか、気温が低いせいで汗をかくことが少なくなったから冷たい炭酸でのどを潤すようなことを求めなくなったからだろうか。

まず先にビール、と思うことも少ない。

 

 
オンザロックの日本酒を飲み進めていく間に、煮物が煮えた。

飯も炊きあがっている。

 

 
煮物は、ダシと砂糖を入れすぎたかもしれない。
全体的に味が濃い。
私は計量というものをしたことがなく、いつもテキトーなのだ。
ご飯は進んだので良しとしよう。

 

ふと思い立って卵かけごはんに。

 

 

卵かけごはんにハマって1.5合の米を完食した。

 

明日も重いものばかりの配達になるのだろうか、という懸念を抱えつつの就寝。

 

 

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1月11日(木) 2連勤最終日

 

 

私がこの仕事の連勤を最長でも3日間にしているのは訳がある。

たくさんあるのだが、最も大きい理由としては【精神的リセットのため】だ。

かつて、エジプトで石を運ぶだけのピラミッドを作る奴隷のような行為だと感じる今の仕事を今日まで続けて

来れたのは、3日もやれば1日解放されるという想いだ。

 

今日は2連勤の2日目なので、今日やれば明日はやらなくて済む。

そんな状況が健全でないのはよく分かっている。

自分がどこに向かっているかといえば、まずはこの仕事を抜ける事が大事だと考えている。

だが「嫌ならただ飛び出せばいい」という考えに至らないのは、私の過去の経験がそうさせている。

 

 

 

若干、箱の飲料特需のようなものが落ち着いてきた。

毎便で大量の重量物ということもなくなってきたからだ。

そして明日はオフだという開放感も手伝っている。

 

しかし気付くと長く目を閉じる瞬きをしていたり、些細なものにも悪態をつきたくなる衝動がある。

感情のコントロールが必要だと感じる。

すぐに解決できることではないので、仕事以外のことで自らの猛りを諫めなければ。

 

 

 

仕事は何事もなく終わっている。

数年もやれば、もはや全てがルーチンとも言える。

落ち着いてさえいれば失敗もトラブルも無い。

外的要因による不測の事態は、自分の状態に関係なく突然やってくるもので、それはその時に考えればよい。

 

晩酌は残り物と冷蔵庫にあるもので済ませるつもりだった。

とすれば、差し当たって今から決める今夜食べるもので気を紛らわそう。

明日は用事が何もないので、ゆっくり過ごそう。

 

心の緊急避難だ。

 

 

そう考えての帰り道。

スーパーでは酒と肉だけを求めた。

初めて見るリンゴのジャックダニエルと、500gのステーキ肉。

迷わずにカゴに入れた。

 

帰宅して、昨日の煮物と簡単なツマミを揃えた。

 

 
リンゴのジャックが大正解だった。
今、まさにこういう酒が欲しいと思っていた気がする。
 
アルコール度数が高いわりに甘く、香りが絶妙に良かった。
私は酒に強くもないくせに割らずにロックで飲んでいるので、唇を湿らすような飲み方だがそれでも充分に美味い。

 

根本解決ではまったくないものの、少しでも自らを慰める夜として、この酒は大成功だ。

 

あとは、肉。

 

ステーキ肉は高級肉ではないものの、普段から牛肉を食べない私にはこれで充分以上のものだ。

 

下準備をして

 

 

ニンニクと一緒に焼いた。

 

 

醤油をかけ、バターを乗せただけ。

ニンニクが効いている。

 

 

単純に、美味い。

 

途中で肉ばかりなのが嫌になり、ついでに買っていたラディッシュを箸休めのように。

手掴みでそのまま口に放り込んだ。

 

 

 

胃袋が肉で一杯になると、元気が出て来たような気がする。

 

これでまた少しの間は、保っていられるはずだ。