本作は2021年10月27日に発売された13枚目のフルアルバム「unconditional L♡VE」に収録されている一曲です。

私がこのアルバムを聴いて抱いた印象は

『優しい作品だなぁ』

でした。

皆様ご存じの通り困難な状況が続いています。

そんな状況を強く意識して製作されたのがこのアルバム。

今回ご紹介する「It's never over」は、そんなアルバムを象徴する一曲に感じます。



「青い空に 熱い想い
君の太陽は沈まない
月が笑う 星はキラキラ
海にそっと手放して帰ろう」


後にも登場しますが、本作は自然を感じる表現が多用されています。

青く澄みわたった空のような「君」の心。
そこにある情熱は沈まない「太陽」のよう。

ここだけで芯の強い人物なんだな、と伝わってきます。

「月」や「星」は「君」の周りにいる人たちを例えているんでしょうか。

笑顔があふれる素敵な雰囲気。

ただ、どうしてもここに登場する3つのキャラクターは、相容れないものに感じてしまいます。

「手放して帰ろう」というフレーズは、『繋いでた手を放してお別れしよう』って意味に感じてしまうから。

続くフレーズも


「明日はきっとすべてを許せるよ
心は決して傷つかない
山のように動じないで」


ですから。

喧嘩でもしたんでしょうか?(安直?笑)
その芯の強さが故に、人間関係で悩んでいるんでしょうか?

しかし、客観的に「君」を見ている人がいるんです。
この詞の語りべの立ち位置の人ですね。

その人は


「We're never gonna say "It's over"
We're never gonna let you down again」


と「君」を勇気づけるのです。

「君を見捨てたりしないよ」
「君を見ているのはは一人じゃないよ」
と。


「失っても 涙しても
優しい風が味方してる
負けないで
また 歩いていこう」


どんなに「君」が失敗や挫折をしても「私たち」は側にいるよ

「優しい風」のようにそっと寄り添うよ

だから、その優しい追い風に乗って、ゆっくりでいい、前を向いて"一緒に"歩いていこうよ

辛いとき、人は孤独に感じるかもしれませんが、寄り添う人は『私』だけではない、と言うのが何とも温かい気持ちになります…。


「夏が終わり 秋も過ぎて
あっという間に冬が君を
どこへ連れてゆく
先の見えぬ 荒れた季節に
とまどいながらゆく」


ここは明らかに昨今の世の中を言い表していますよね。

先の見えない毎日、手探りの毎日です。

そうこうしているうちにあっという間に一年が過ぎた…と。

最近ではいい加減慣れてきましたが(慣れてしまったのか…)、この詞が書かれた時期はまさに混沌のど真ん中でした。

そんな背景を利用しつつ、「君」の陥っている困難な状況を表現しているようです。

しかし


「明日はきっとすべてを許せるよ
君となら どこまでもふわりと
まだ見ぬ世界飛び込めるよ」


それは「私たち」も同じだ、と。

そればかりか、『君となら私は強くなれる』と最大限の肯定をしています。

そして繰り返される温かい言葉。


「We're never gonna say "It's over"
We're never gonna let you down again」

「雨の中も 霧の中も
それだけがすべてじゃない
負けないで
また 歩いていこう」


雨や霧の中では目の前の物事しか見えません。

必然、それが全てじゃない。
ホントそうですよね。

こう言ってくれる人がそばに居るのに、なかなか気づけないのももどかしいですが、次の詞がそんなもどかしさ、不安も包み込んでくれます。


「余計なものはいらない
シンプルに ありのままで
それでいいんだよ
いてくれてありがとう
君が大好き」


もう倉木麻衣の信念ですね。
ずっと変わらないメッセージです。

君は君のままで、それだけで掛け替えのないもの…
なんて素敵な言葉でしょう。

そしていつか「君」は気づくんです。

人の温かさ、優しさに。

「大好き」と言ってくれる存在に。



正直派手さのない曲ではありますよね。

でも、最新アルバムから何を取り上げようかな…と思った時、これしか浮かばなかったんですよね。

孤独で閉塞した世の中だからこそ
シンプルなメッセージが響きませんか?




次回は少し雑談を…


やっと逆輸入盤のアルバム聴き直せたんですよね↑♪
その話を少し…m(__)m


歌:倉木麻衣
作詞:倉木麻衣
作曲:山本清治
編曲:山本清治