2007年11月28日に発売された27作目のシングルです。

「BE WITH U」との両A面でした。

この曲からレーベルをお引っ越ししたり色々新たな試みを始めたみたいです。

心なしか、この頃からPVも凝ったものになってきたような…笑


こちらの作品は、秘めてきた「あなた」への想いの変化を歌っています。
静かに「あなた」を想う気持ちは、儚く美しいです。



「街を彩るライトが 季節を呼ぶ
白い吐息が二人を 近づける」

この二行だけで、街はクリスマス…と感じられますね。

ここに出てくる「二人」とは、自分ではなく目に映る『風景』の一部なんだろうなぁ、と思ってしまいます。

暖かなオレンジ色の風景と寄り添う恋人たち。

寒いはずの描写なのに、「二人」の周りはなぜか暖かです。

それと対比されるような『私』の心は寂しさで溢れているよう…。


「ha 忘れかけていた
あなたのぬくもり
ただ傍にいるだけでいい
それだけでよかった」

サラッと流してしまいそうでしたが、このパートはこの作品の『設定』を考えるうえで結構キーになる気がしました。

かつては「あなたのぬくもり」を感じていましたが、それはもう過去の話。

きっと去年の今頃は恋人同士、あるいはそれに近い関係でこの季節を過ごしたんではないでしょうか。

その時の感覚を冒頭の「二人」の景色が呼び起こさせたんですね…。


「Silent love 届かぬ思い
鍵をかけて 心に閉まっていたけど
all my love 気づいたの 今
揺れるキャンドルに you open my heart
冬のangel やっと舞い降りた winter love」

理由はなぜかわかりませんが、離ればなれになった二人。

でも完全に冷めたわけではなく、ずっと押さえ込もう、押さえ込もうとしてきた描写が切ないです。

でも、「あなた」が灯した「キャンドル」の火は、消えることなく心の中に揺れていました。

弱々しい炎かもしれませんが、確かに『私』の心の「鍵」を開けたみたいです。

と、そこへ舞い降りた「冬のangel」。

ストレートに雪でしょうかね…。

全サビの最後に登場するこの「angel」は様々な表情で登場します。

ここでは『私』に恋心を自覚させる役割ではないでしょうか。

「あなた」が心に灯した灯りに、ポッと暖かくなった気持ちの私が窓に映ります。

そこに、まるで恋のキューピッドのように舞い降りた雪。

『私』にとってきっかけは何でも良かった。

少し気持ちを「あなた」へ後押ししてくれるものを待っていたときの気持ちが「やっと舞い降りた」の歌詞に表れてします。


「ah 初めて見た雪
今も 覚えてる
愛しさと寂しさの針が
孤独を刻んでいく」

この部分をご紹介したくてこの曲を選んだと言っても過言ではありません笑

気持ちの浮き沈みを時計の針になぞらえて表現しているわけですね…

私が思うに
「愛しさ」:短針
「寂しさ」:長針
かな…と。

ベースに「愛しさ」の気持ちがじわーっとあって、そのバランスが少し強い時は幸せも感じるかもしれません。

しかしすぐに「寂しさ」が追いかけてきます。

愛しく想えば想うほど、それに追い付かれた時の反動は大きいです…。

ぐるぐると追い付き追い越し、浮き沈みを繰り返しながら気持ちはどちらへ向かっていくのでしょう。

廻っているままでは、その時計が刻むのは「孤独」でしかありませんでした。

この時を経て、『私』は一歩踏み出す方へ向かう決意をします。


「Silent love あなたと一緒に
歩んでいく 全てを失ったとしても
all my love 信じたいから
私だけは so あなたの夢
冬のangel 輝き始めた winter love」

ここまで想われる「あなた」は幸せものですね。

どうやら夢追い人のようです。

食えないアーティストとの恋とか、彼の長期の海外赴任とか、使い古された設定かもしれませんが、何かの障害や第三者に引き裂かれた恋なのかもしれません。

それでも、身を滅ぼしてでも「あなた」の傍にいたいだなんて…私にはきっともう抱くことの出来ない感情だろうな…。

ここでの「angel」は恋心をさらに煽ります。

そして次に続く英語詞にもあるように、「あなた」は唯一無二だと確信するんです。

「silent tears missing you
I feel so alone oh what can I do
but I know we'll be together someday 
now I know what I want 
you're my true love」

「いつか一緒に居られる日を夢見て…私の本当の気持ちに気づいてしまったから…」

しかし、すんなり転んでいかないのが倉木麻衣のラブソングです。


「Silent love あなたの心で
夢をみたい 咲く花に降る雪のよう
all my love 優しさ信じて
私だけは so あなたの夢
冬のangel 羽ばたきだした to the sky」

「あなたの心」にも、私を置いてほしいけど、『私』の願いは『そっと寄り添いたい』

それを「咲く花に降る雪のよう」とはなんて綺麗なんでしょう。

「あなた」という花に雪のように寄り添いたい…
だなんて‼️

雪は冷たいとかここでは度外視です笑

「優しさ」が重要です。

ここでの「angel」は、私の考えでは、読んで字のごとく『遠くへ行っちゃった』なんじゃないかと。

「あなた」が灯してくれたキャンドルの火を炎のように燃え盛らせたのでは、あっという間にロウを溶かしてしまいます。

そうではなく、大切に静かに優しく見守ることを選んだ『私』…。

そんな『私』に、気まぐれな「angel」は愛想をつかしたのかも。

でも、ガチャガチャしていない倉木麻衣の恋愛観、好きです。

正に「Silent love」ですね。


MVをサラッと見て思ったのですが、何かメッセージ性ありますね…翼を抱えた天使とか。

このへんもじっくり見ると面白いかもしれません。


次回は「Winter*Swear」を取り上げたいと思います。
アップテンポでキラキラした、こちらもウィンターソングです。

年内に書けるだろうか…汗


歌:倉木麻衣
作詞:倉木麻衣
作曲:Daisuke "DAIS" Miyachi、Yuichi Ohno
編曲:Daisuke "DAIS" Miyachi、Yuichi Ohno