2017年2月15日に発売された11枚目のフルアルバムです。
前作「OVER THE RAINBOW」から実に5年ぶりという作品でした。
その間してきた様々な経験(詳細は割愛笑)が、本作の製作に色濃く反映されていて、とても印象的な作品に仕上がっています。
7月に思い立って始めた、このアルバム「Smile」特集…本当にまる3ヶ月かかってしまいました。
(まとめを書いているうちに4ヶ月!?)
でも、一つのアルバムで一曲一曲ここまで考えながら聴いたこともなかったので、3ヶ月前に比べてまた違った印象をもったり、新たな発見があったり、やってよかったなと自己満足していますm(__)m
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20201023/08/haru05bg/90/78/j/o0640064014839145913.jpg?caw=800)
【収録曲】
①YESTERDAY LOVE (YL)
②ミステリーヒーロー (MH)
③ガラスの微笑 (SLG)
④OPEN L♡VE (OL)
⑤SAWAGE☆LIFE (SL)
⑥I Like It (ILI)
⑦MY VICTORY (MV)
⑧Serendipity (SDP)
⑨Make that change (MTC)
⑩Tell me why (TMW)
⑪My way (MW)
⑫きみへのうた (SFY)
※( )は記事内での略称
本作では、様々なジャンルの曲が収録されています。
「YL」のようなごりごりのEDM。
「MH」や「MW」のようなスローバラード。
「OL」や「TMW」のような洋楽ライクなポップス?R&B?
「SL」や「MTC」のようなロックンロール。
などなど…。
作家陣も国内外、ビーイングの枠を越えて様々です。
(大野愛果さんが参加していないのが残念ですが…)
この多彩な楽曲たちに翻弄されること無く、倉木麻衣の歌声も多彩でした。
時には繊細に、時には荒々しく、時には情感たっぷりと…。
これまでに培ってきたものが見えるようなパフォーマンスです。
中でも私が一番驚いたのが、「MTC」でした。
こんなに力強かったっけ?と。
力強さなら2010年あたり、「touch Me!」や「PUZZLE 」にもありました。
でも「MTC」にはそれだけじゃない、声色のコントロールと言うか、躍動感と言うか…新しい姿を見せてくれた驚きがあったんですよね。
また、歌声の美しさが際立ったのは「OL」と「TMW」でした。
倉木麻衣の歌声といえば『ウィスパーボイス』と評される事が多いですが、この二曲はその魅力は残しつつ、また質の違った美しい歌声を聴くことができます。
伸びやかな高音は、シンフォニックライブで獲得したものでしょうか。
そして、真骨頂とも言うべきはラスト二曲の「MW」と「SFY」です。
往年のミディアムR&Bと曲調は違いますが、懐かしいというか「あぁ、これこれ」と安心する歌声で、その透明感は私の癒し!笑
とまぁ曲調も歌声も色んな姿を見せてくれる本作。下手をすれば一つのアルバムとして破綻しかねないほどの振れ幅なのに、そうなっていないのは何故でしょうか?
それは、一貫した歌詞世界があるからだと思います。
人を信じること
自分を信じること
変化を恐れないこと
そしてそれらが帰着するのは『夢や希望』です。
この一貫したメッセージが一曲一曲を繋いで、この多様な曲たちを一つの作品としてまとめているように思えてなりません。
本作には、倉木麻衣本人もこだわったと語っている通り、曲順の妙があると思います。
作品の構成をグループ分けしてみました。
①YESTERDAY LOVE (YL)
②ミステリーヒーロー (MH)
③ガラスの微笑 (SLG)
④OPEN L♡VE (OL)
⑤SAWAGE☆LIFE (SL)
⑥I Like It (ILI)
⑦MY VICTORY (MV)
⑧Serendipity (SDP)
⑨Make that change (MTC)
⑩Tell me why (TMW)
⑪My way (MW)
⑫きみへのうた (SFY)
色分けのセンスは目をつむってください…m(__)m
オープニング、中盤、エンディングと三部構成で、同じ色の曲が同じ役割を持っているかと思います。
トップバッターはデジタルサウンドがきらびやかな「YL」。
アレンジの派手さでアルバムの幕開け感はありますが、内容は失恋です。
「Smile」というタトルのトップが失恋とはいかに…と思いましたが、理由がありました。
過去のインタビューを引用させていただきます。
それは単なる笑顔だけではなく、そこにはつらい思いや、涙したことや、いろんなことがあったからこそのスマイルということなので。その思いを、マイナスからプラスに変えられる音楽を作れたらいいなと思って、アルバムのテーマを『Smile』に決めました。
今の瞬間を切り取ると笑顔かもしれないけど、そこに至るまでに色んな過程があります。
それを含めて、奥行きのある本当の「Smile」を表現しようとしたのが本作なんだなぁ…倉木麻衣の想いに触れてみると、オープニングの三曲は重要な役割を担っていることがわかりました。
「YL」では前向きながらも切ない『別れ』が、「MH」では大切な人との死別を思わせるような内容で、哀しみからの『気持ちの停滞』が、そして、「SLG」では自分のあり方への『葛藤』が歌われています。
三者三様の人生の苦悩が、アルバム冒頭から静かな緊張感を与えます。
しかし、不思議と抑鬱とした印象はありませんでした。
アレンジのテンションが 高⇒低⇒中 と波があり、詞の内容も三曲を通して揺さぶられるものだったからかな…そう思います。
そして、続くセクションからはガラリとキャラクターを変えます。
ここで表現されるのは笑顔の成分。
「ILI」での身近な人への『感謝』であったり、「MV」での『夢への情熱』であったり、「SDP」での『新しい自分との出会い』であったり。
どれも人生をプラスに彩る成分ですよね。
また、このセクションは対となる「OL」と「SL」、「MTC」と「TMW」で入口と出口が用意されています。
繋ぎとなる「OL」では、キラキラとした『恋心』が。
絶妙にダサカッコイイ(失礼)「SL」では、平凡かもしれない毎日も、たった一度きりとhappyやsmileに繋げる『プラス思考のすすめ』が。
「MTC」では、現実と向き合いながら『変わることへの勇気』が。
「TMW」では、大切な人をどんな状態でも受け入れたい、と想う『絆』が。
オープニングの『苦悩』を担う部分をうまく受け取り、続く『希望』に満ちたエンディングへ繋ぐ。
二曲ずつ贅沢に使い、でもだからこそできる展開をしてゆきます。
そしてエンディングでは、今度は自分が笑顔を広げていく、そんな立ち位置で締め括られます。
「MW」では、全てを肯定してくれ、『自分を信じること』の素晴らしさに気づかせてくれます。
この歌を聴いた後の余韻は素晴らしく、静かな感動がありました。
ここで終えてもいいような流れでしたが、その流れを見事に完結させるのが「SFY」です。
「MW」はフィナーレに向かう曲として相応しいですが、そのドラマチックな内容から、このまま終わられては高ぶった気持のやり場に困ったかもしれません笑
それを、映画のエンドロールの様に、静かに優しくでも熱く「SFY」が受け止めてくれています。
まさに『希望』が歌われています。
本作は地味かもしれませんが、練りに練られた構成でまとめあげられた佳作だと思います。
多様な曲から感じとることは人それぞれでしょうけどそれが良し。
「Smile」という言葉に込められた想いを自分なりに感じ取ってみて下さい。
ーーーまとめ
人生は楽しいことも辛いこともある
立ち直れないと思うこともあるかもしれない
でも、誰かを好きになった気持だったり、バカみたいに何も考えずに過ごした日々だったり
楽しいこともあったな、とふと少し思い出してみると
毎日に彩りが帰ってくるかも
そうだ、
ひとりじゃなかったんだ、って
情熱だってあったんだ、って
知らなかった自分だっているんだ、って
もう一度、勇気を出して変わってみよう
そうすれば、あなたの支えにだってなれるかな
自分を信じることもできるかな
それが出来たなら、また前を向けると思う
夢に向かって行けると思う
明日の私、きっとあなたと笑えていると思う
長々とお付き合いいただきありがとうございましたm(__)m
興味を持っていただけたのなら、是非一度、通して聴いていただきたい作品です。
次回は、これまで取り上げさせていただいた作品の中から、私が独断と偏見で選んだ『おすすめフレーズ特集』をやってみたいと思いますm(__)m
見切り発車で言ってますので、何フレーズになるかわかりません…笑
よろしければお付き合い下さいm(__)m