アルバムの最後を飾るのは、全体を通して穏やかなリズムのパーカッションの上に、浮遊感漂うメロディーが心地好い一曲です。

本作はJICA青年海外協力隊のCMソングとして制作されました。
「世界を変えてきたのは、いつの時代も、たったひとりの強い想いだ。」
という力強いメッセージをテーマにした歌詞が胸を打ちます。



「地平線の先に飛び出していったら
さっきの雨もあがっている
もっともっと前に恐れずに進んで行こう
掴んだチャンス!離さないで
Be the change」

「地平線」や「雨」は何かの例えかな…と思います。

日本ではなかなかお目にかかれない地平線。
広い世界、もしかしたら架空の世界の視点かもしれません。

今見えている地平線、その先に単に『移動』しただけなら、そこにあるのは同じ大地。別の地平線が見えるだけです。

『その先に飛び出す』とはどういうことか?

いい言葉が見つからないですが、これまでの考えを飛び越える、きっと『とにかくやってみる』ということだと思います。

閉じこもったまま外を見ても、窓枠に切り取られた地平線の景色はいつも同じです。

思いきって外へ出てみると、いつもと違う景色が見えるよ、と。

『なにかしなくちゃ』という想いがあるなら、外へ出てみよう、と。

小さなことでも、何か見る方向を変えてみたら、「雨」=『悩み』や『躊躇』も不思議と無くなっているかもしれません。


「大切なことは 最後まで自分の想いを貫いて
君とLet's go ! キモチ出して行こう!
辛いことだって 嫌いなことだって
思いきってやれば 君が変わって夢に近づく
君が変わって夢に近づく」

もう一つのテーマは「change」だと思いますが、それは決して迎合することではありません。

同じ想いを持った仲間と、ぶつかり合い、助け合い、そうすることで成長していける。

貫きたい部分はしっかり自覚する必要があります。
難しいことですよね…でも、ぼんやりとでもあるはず。
そこだけ忘れないようにしていれば、お互い理解していく中で周りのどうでもいい部分は削ぎ落とされて、自分の信念というものが見えてくるんじゃないか。

あれもこれもは追いかけられません。

『ただ一つの大切な思いを見つけて…』倉木麻衣からのメッセージ、というか願いでしょうか。

そして、ここで大切なことは『君はひとりじゃない』という事だと思います。


「綺麗な言葉はいらない 本気だして
今もどこかで 待っている
きっときっと君も願ってる世界がある
飛び出そうよ!止まらないで
Be the change」

倉木麻衣の優しさが現れている歌詞ですが、つまりは
『綺麗事は並べないで、正直な気持をもって』
『できない理由はいらない』
ということだと思います。

そして、「待っている」とは何か?

これは転じて『やりたい分野で世界の力になれるよ』ということを指しているのではないでしょうか。

決して大袈裟ではありません。
そう思えてくるから不思議…。


「世界を変えてきたのは いつの時代も
たった一人の熱く強い想いがあるから
小さな1歩だって 間違いなく きっと
気づいてみれば 君が変わって夢に近づく
君が変わって夢に近づく」

ここはとてもメッセージ性の強い歌詞です。

きっともともとあったキャッチコピーですが、本作にも熱い想いを吹き込んでいますよね。

本当に、当たり前のことなんですけど、小さな一歩の積み重ねなんですよね。
でも、最初の一歩がとても重たかったり、どこへ踏み出したらいいかわからないことが大半かな…と。

倉木麻衣も最初はそうだったと思います。

それでも、立場上、向こうからきっかけがやってくることも多いでしょうけど、とにかく、『聞いてみよう』『見てみよう』『行ってみよう』の精神がある人なんだな、と思います。

それが、ワンガリ・マータイさんとの対談からの環境活動だったり、なんとかしなきゃ!プロジェクトからのカンボジア寺子屋建設だったり、行動に繋げていけるのは流石です。

彼女の立場だからこそできる活動でもあるので、それと比べて『ちっぽけだな…』とか思う必要はなく、コンビニのお釣りを募金箱に入れるとか、でも素晴らしいと思います。

ちょっと感想が片寄ってきてしまいましたね汗

この歌の性質上、途上国支援に対してという側面は強いですが、もっと一般的な背景にももちろん当てはまります。

頑張ろうとしている人たちへのエールなんですよね。

大サビ前の英語詞は、前回の「My way」との繋がりを感じさせます。

「after rain comes the sun 
brand new day just begun 
imagine your dream just believe」

『これまでの自分に誇りを持って。その一歩は世界だって変えられるよ』

力強いエールは、心からの「Smile」を引き出してくれるはずです。


ようやく全体12曲終えました汗
お付き合い下さりありがとうございますm(__)m

と、言いつつ次回はこれまでを踏まえてこのアルバム「Smile」を一つの作品として考えてみたいと思います。

どんな感想にたどり着くでしょうか…


歌:倉木麻衣
作詞:倉木麻衣
作曲:Sednie Tipton, Shane Pittman, Nash Overstreet
編曲:Nash Overstreet