本作は、どこか緊張感がありつつも、歌詞の内容で安心感を抱く不思議な曲です。

また、前回の「make that change」と、「SAWAGE☆LIFE」の関係と同じように、アルバムの中では「OPEN L♡VE」と対になる曲に思えます。
歌詞のストーリーではなく歌声の雰囲気で、ですね。
この辺は最後のアルバムまとめで考えたいと思います。



歌詞を読んで思い浮かぶのは1stアルバムに収録されている「happy days」です。

「happy days」が『君は私の掛け替えのない存在』という世界観だったのに対し、本作ではさらに成熟した『私』の「君」への思いが歌われています。


「I know 君らしくないよね
一緒に歩いてきたけれど
I know 笑顔見せながら
寂しさ隠してたよね」

いつも笑顔で私を支えてくれた「君」

そんな「君」の『変化』が感じられる歌い出しです。
もう少し見ていきます。


「誰にも言えず一人きり
話してよ ねぇ どんなことでも
今も昔も ずっと変わらずに
解り合える 二人に」

若い頃は、他愛のないことを何でも打ち明けられました。
友達の事、恋愛の事、勉強の事…

それでも年を取るにつれて語り合えないことも出てきますよね。
でも、「君」が隠す「寂しさ」って何でしょう?

解り合えていたはずの「君」のことが解らない…そんなもどかしさを感じつつも、『私』はそっと「君」のタイミングを待つんでしょう。

『大丈夫だよ』と心を開いておいて。


「Please tell me why why 
抱え込んで
一人で悩むよりも
泣いて笑って
自分らしく生きようよ
いつも側にいるから tell me why」

「側にいるから」という言葉は軽々しく口に出せない言葉だと思っています。

相手に対して『覚悟』が必要だと思うから。

きっと、物理的に側にいることは難しく、時折『電話口』で聴く「君」の声から何かを感じとるのでしょう。

今の二人には『言葉』が大切で、だから「Please tell me」なのかな、と思います。

気持に寄り添い、少しでも支えでありたい、と願う思いからの「いつも」「側にいるから」の言葉。

そこには、「君」を本当に大切に思う気持がにじんでいます。


「You know 時に理不尽に
傷つくこともあるけれど
You know what I want to say yeah
ここには どんな時にも
大事に思う人がいる
それだけは ねぇ 忘れないで
今も未来も ずっと変わらずに
二人歩いて行こう」

色々考えましたが、意味の切れ目が無かったのでA、Bメロくっつけました汗

ここでの「You know」は『そうでしょう?』くらいの意味合いでしょうか…
どんな時だって、私が言いたいことは「大事に思う人がいる」ということ。

『私がいるよ』と言わないのが何とも…胸が締め付けられるようです。
それだけ相手の気持に立って考えている思いが伝わります。
「君」にとってそれは『私』でなくても良くて、ただ、少なくとも『私』が「君」を「大事に」思っていることは確かだから…その事は「忘れないで」と願うんです。

一番の歌詞では「今も昔も」、そして二番の歌詞では「今も未来(あした)も」と、これまでと同じように、これからも大切にしたい相手だと伝えています。


「Please tell me why why 
君の全て
さらけ出してもいいよ
泣いて笑って
自分らしく生きようよ
いつも側にいるから」

どんな醜い姿を見せてもいいよ、「君」への思いは変わらないから…。

この気持が伝われば、「君」の心はどれほど楽になるでしょう。

今度は『私』が先に泣いてあげる、悲しみは半分に、楽しみは倍に、あの頃のように「いつも側にいるから」…。
そう思える相手がいることは、とても素敵ですね。


「tell me why tell me why 
baby 君といるとシアワセ
tell me why tell me why 
Because I love you still」

「シアワセ」とカタカナ表記なのが気になりました。
音源だけでなく、改めて歌詞を見るとこういう再発見も楽しいですよね。

『幸せ』と書くと、それだけで柔らかく何かしら感情を感じます。

ただ、他の部分が温かく感情のこもった歌詞なので、ここで無機質な表記にすることで、逆にぽっかりと「シアワセ」という感情が浮き上がります。

今は「君」を少し遠く感じて、『脱け殻』の様な少し寂しい「シアワセ」かもしれませんね。

そして、この感情は、男女の愛ではないもっと普遍的な「love」へ繋がります。


「Please tell me why why I don't wanna make you so sad 
誰にも負けない夢
君と作って
特別じゃなくてもいい
いつまでも続く様にtell me why」

そして、最後の大サビでは、未来への思いを語っています。

それは「特別じゃなくてもいい」、でも二人なら「誰にも負けない」未来です。

一見矛盾しているようですが、どんなに他愛のないことでも、二人のストーリーは二人にとって大切な絆…いつまでも紡いでいこう…という思いが素敵です。


本作は、冒頭にも書きましたが時を経た「happy days」のようです。
しかし歌詞は、よりシンプルで真っ直ぐです。

すんなり染み込んできます。



こちらの曲、イントロ~Aメロ、そしてサビのコード進行が全く同じなのが面白いです。

Aメロに乗せてサビが歌えてしまうという…!

それなのに、Aメロでは孤独感や寂しさを演出しつつ、サビではドラマチックに盛り上げる、このメロディとアレンジってすごい!!

コーラスは安定のコンビMichael Africk♪
あまり目立っていませんか、相変わらずいい仕事されていますね♪

歌唱は、持ち前の繊細なウィスパーボイスもありつつ、心地好い高音は癒し…。
サビの後半~Cメロ部分がハイライトです。

声の質もこの曲の安心感に寄与しているんでしょうね。

倉木麻衣の真骨頂、といった逸曲でした。


次回は十一曲目、「My way」です。
シンフォニックライブで初披露された、『希望』に溢れた感動的な曲です。


歌:倉木麻衣
作詞:倉木麻衣
作曲:Maxx Song, Yongshin Kim, Casper, 220
編曲:Maxx Song, Yongshin Kim, Casper, 220