昨日午後は、区内の小学校へ出張しました。

区の音楽教育研究部の器楽分科会に参加しました。

内容は、来年1月に行う研究授業の指導案検討です。

 

研究授業は、4年生の合奏を中心に行います。

題材名は「思いを音楽で表そう」。

主な教材は、合奏「鉄腕アトム」です。

今年度から使用する教科書に載っている合奏曲です。

 

今までの分科会では、本題材のねらいの柱を「強弱変化の工夫」と設定しました。

そのために、歌唱「赤いやねの家」で強弱記号を使いながら、強弱変化の表現を行います。

歌唱2時間+器楽(合奏)5時間という時間配分になりました。

 

今日の分科会では、担当する副部長の先生が、計7時間の指導内容を一覧にまとめて例示してくださいました。

各時間の「評価規準」「学習内容」「めあて」「教えること」「考えさせること」「振り返ること」をA4一枚の表にしてくださいました。

題材全体を見通して、指導の流れを確認するのに、とても良い資料だと思いました。

 

「評価規準」は、学習指導要領の文章をそのまま書きます。

「学習内容」は、各時間一つに絞り、やはり学習指導要領の文章から引用します。

そして、「めあて」は、その学習内容に合わせて、児童たちにも理解しやすい文章に変えて提示します。

ここまでを確認できれば、あとは、各時間毎の学習内容に合わせて「学習事項」を並べていきます。

 

大田区では、指導案の中に「教えること」と「考えさせること」を明確にして記入するようになったようです。

つまり、1時間の授業で、何を教えるのか、何を工夫させるのか、を児童にも分かりやすく提示することです。

昨日の指導案検討では、その毎時間の「学習事項」と「教えること」「考えさせること」を、1時間目から順に考えていきました。

 

この題材の山場になるのは、第6時になります。

第3・4・5時までで、各パートの音取り練習を終え、この第6時で、いよいよ「表現の工夫」を行います。

授業者の希望で、この「表現の工夫」を、「強弱変化の工夫」に絞ることになりました。

そして、強弱記号だけでなく、音の強さを、1~5までの数字に置き換えて工夫させ、その数字を元に演奏することになりました。

この数字化は、最初2時間の歌唱の授業でも行います。

 

そして、実際の合奏の楽譜を見ながら、児童たちに工夫させる部分を考えました。

4小節毎に[A]~[E]の記号を付けて、その中のいくつかは、あらかじめ決めておいて提示します。

検討の結果、途中[C]の部分の強弱を、数字にして考えさせることになりました。

このように、「考えさせること」を、どの児童にも分かりやすく提示するのは必要なことだなと思いました。

 

私からは、この合奏アレンジの特徴について、話をさせていただきました。

主な旋律が、鍵盤ハーモニカとリコーダーで交代に出て来ます。

[A]鍵盤ハーモニカ、[B]リコーダー、[C]鍵盤ハーモニカ、[D]リコーダー、[E]低音楽器というように。

授業者からは、鍵盤ハーモニカは使わず、マーチング用キーボードを使う、との話がありました。

音量のバランスから言うと、明らかに、リコーダーの部分は弱くなります。人数を増やしても変わりません。

ただ、主旋律の音の高さの変化から見ると、[D]の部分が盛り上がって、「f(フォルテ)=5」になるのでは、という話にまとまりました。

 

リコーダーは、強弱変化を表現するのが難しい楽器です。

[D]では、高音f→e→dーー→A と続くので、息を強くするだけだと、特にdでは、明らかに音が高くなってしまいます。

合奏の場合は、このように、楽器の特性による強弱の変化があります。編曲者は、そのことも考えながらアレンジしたんだと思います。

ということは、この[D]の部分を、音量1~5まで、音の高さを変えずに演奏し分ける「技能」が必要になります。

この技能は、本題材だけでなく、その前の題材である程度身に付けておく必要があります。

となると、私たちの指導計画は、本題材以前の指導計画(年間指導計画)を同時に考えなければなりません。

しかし、その後の話し合いでは、そのことは話題にならず、そういう技能は「手立て」として扱えば良い、ということになりました。

 

2学期からは、この題材の指導を、授業者以外の学校で「検証授業」として実践することになります。

その検証授業での成果と課題を受けて、さらに指導計画を見直すことになります。

その中で、ぜひ、「リコーダーの強弱変化」にも取り組んで欲しいと思いますが、現状では難しそうです。

時間があれば、ぜひ、分科会の先生方と一緒に、「鉄腕アトム」の合奏を実技研修として行いたいですが、それも難しそうです。

 

リコーダーの強弱変化を含めた「多様な表現方法(タンギング)」について、先生方には、なかなか理解していただけません。

今後も、機会があれば、ぜひ、分科会の中で話していきたいと思います。

次回の分科会での指導案検討が楽しみです。