ヒトにはそれぞれ「身の丈」というものがあり、
それを超えたコトをしようとすると、
まぁ、大抵、ろくな事にならない。
しかし、正直、この「身の丈」ってのは好きではないし、
できればソレを越えてみたいと思うタチである。
それを世間一般では「FOOL」と呼ぶのかもしれないが、
別に世間のために生きてるわけでもなし、
世間という互いに顔のわからぬ存在にどう思われるか?
そればかりに頓着していたのでは、生きにくいことこの上ない。
こう言い切ると多少語弊があるかもしれないが、
ぶっちゃけ「迷惑をかける存在(あるいは生き方)」でないならば、
そんな存在にならぬように自己抑制をもって生きているのであれば、
世間からどう思われるかなどということには
あまり注意を払わなくてもよいのではないか…
などと御大層な書き出しをしてしまったが、
これから書くことは(いつもながら)たいしたハナシではない。
ワタクシはデジタル一眼を購入した際に……
・35mmのフィルムカメラ同様の画角で撮れなきゃやだ
という「こだわり」のために、フルサイズのデジイチを購入することになった。
そのトレードオフとして、
●ボディがでかく、重い
●(重いボディをしっかり固定するために)
高性能な三脚が必要である=高い
●EF-S系の安価で、軽く、良質なレンズ群が一切使えない
というデメリットがつきまとうことになった。
とはいえ、誠に正直を申して、全く後悔していない。
それだけの満足感は得られている。
なんといっても15mmなどという超広角もそのまま使えるのだし。
APSCでは1.6倍されるので、15mmのレンズが24mm相当の画角になってしまう。
これは本当にいただけない。
しかし、ボディがでかく、重いということや
レンズもまたでかく、重いということというのは、
つまり、カメラバッグもでかく、重いという結果を招くことになる。
とうことは、リュックサックのように両肩で背負うものや
ゴロゴロ転がせるキャリアタイプのバッグが理想的なのだろうが、
・リュックだけはイヤ(なんか、それっぽいし)
・ゴロゴロするほど機材がないし、マンフロットので4万円とか
値段が高すぎ
というわけで、この2択はずーっと却下して、
スリングタイプ(たすき掛け、ワンショルダーで持つ)を使ってきた。
このタイプは背中側に荷物を回しておけば
荷物がじゃまにならず、必要なときは背中からクルッとやれば
簡単に荷物にアクセスできるという利点がある。
が、ちょっと小さいのが玉にキズである。
・5D mark2 + バッテリーグリップ
・EF24-105 F4
・Sigma 15-30mm F4-5.6(だったっけかな?)
・SP600EX-RT × 1個
これに財布だの、鍵だの、スマホだのといった
細々とした、ヒトとして必要なものを入れると
他には何も入らない。
そもそもカメラとレンズは分解しておかないと入らないので、
撮影を始めるとバッグに戻すにもいちいちレンズを外さねばならぬ。
それに加えてパソコン…いや、美しいMacBookPro Retina 15インチを
持とうとしたらば、そりゃバッグ2つになるわな。
左肩にカメラバッグ、右肩にパソコンバッグ…と。
これはまさにいただけない。
一度、この地獄のセットで熱海に終日撮影にでかけたのだが、
正直、死ぬかと思った。つか、次の日、全身が痛くて会社休んだよ。
なにせ両肩に常に荷重がかかるので、右がつかれたから左へ…
というわけにはいかない。
じゃ、手で持つか…って、それじゃ撮影できないので、
やはり我慢して両肩荷重でがんばるしかない。
これはまさにフレディとジェイソンが一緒に来たようなモンである。
というわけで、パソコンも入るカメラバッグを買おう…ということで
これを買った。
これの何がすごいって、スリングタイプなのにパソコンまで入るし、
カメラ関係のアイテムもこれまでのバッグよりもレンズ1本分は軽く
余計に入れられるようになるのだ。
それでお値段、わずか2万円とちょっと!
というわけで衝動買いした。
この大容量はマジすごすぎる!と、かなり興奮したものだよ、
買った当初、撮影にでかける前までは。
これ、必要な機材を入れると厚みが20cmを超えるのだ。
そんな分厚い豚バッグをたすき掛けにしたヤツが
満員電車に乗ってやがる場面を想像してみてほしい。
これほどの迷惑行為はそうそうあったものではない。
朝からぎゃーぎゃー泣きわめく赤ん坊のほうがよほどマシである。
子供は社会の宝であるから、この手の例えに出すのは不謹慎であったか。
じゃあ、例えて言うなら、ちょっとした車内暴力くらい迷惑であろう。
しかし、ワタクシも伊達に歳を重ねたわけでもないのでね、
Gizzoの3型システム三脚(カーボン)というこれまた迷惑な
どでかい三脚は持って行かなかったからな。
(重すぎて持てなかったのだが)
で、重量はどのくらいになったか…というと、
量ってないから正確なことは言えぬが、
おそらく10キロに近かったであろう。
これを背負って朝から晩まで撮影(仕事で)したのだから
もう地獄以外のなにものでもない。
これはもうフレディとジェイソンとチャッキーが
タテにスタックして現れたようなモンである。
もう不気味を通り越して笑うしかない図だ。
だからといってカメラを持たずに撮影はできないし、
パソコンがなけりゃ出先でillustratorを使えない。
(これまたトラックパッドでillustrator ってのがオツでね)
(Powerbook DUO 2300Cの時代からこんなコトやってたっけ)
だからやっぱり両方を持たざるをえないのである。
ギャンブル好きのオトコが浪費家のヨメをもらうようなものである。
いや、コレは全然違うか。
あ、そろそろ退社しやすい時間になったから終わりにしよう。
というわけで、このバッグは確かに性能はいいし、
デザインだって好みのものだ。
作りだっていちいちシッカリ作られているし、
パッドも心憎いほどシッカリ詰められている。
しかし、オレにはムリだ。
外人さんのようにしっかりした骨格の、
しっかりた作りの人なら良いのかもしれぬし、
車移動が主体の人なら良いのかもしれぬ。
しかしながら……
・移動は常に電車
・色男でもないのに力もない
・腹回り、腰回りなど、役に立たぬとこはしっかりしているが、
肝心なところがしっかりした作りになっていない
という御仁は購入前にご自身の「身の丈」について
よく考察なされるがよろしかろう。