一昨日主人が一週間ぶりに退院できて、バタバタしていました。
また、新たな記事を書きながら記憶が蘇ったりしているので、一部過去の記事を書き換えたりしています。
細切れの記事ですが、未来の私のためにも、一つ一つ残していきたいと思っています。
眠れない夜を過ごして、空が白んできて。
夜が明けました。
息子と一緒にいられるのはあと数時間です。
退院前、10時前後に葬儀社さんが引き取りに来るからです。
6時。検温をして、看護師さんを待ちます。
主人が起きてきました。
最後の診察があるのかな、と思って病衣から着替えずそのほかの身支度を整え、看護師さんを待つ間、赤ちゃんと一緒の写真を撮りました。
手のひらに乗せて、主人と息子、私と息子で。
たくさんたくさん写真を撮りました。
1日経った息子のからだは、少し色が変わってしまっていて。
からだの冷たさも相まって、悲しみが込み上げてきました。
なるべく素早く写真を撮って、そっとちいさなお布団に横たえました。
写真を撮り終わった頃、看護師さんがやってきました。
赤ちゃんを見せてくれる?と言われ、そっと見せると、すごい笑ってるみたいだね、と言っていただけました。
昼食はどうしますか?と聞かれたので、11時退院でお願いしています、と伝えると、着替えて大丈夫ですよ、と言われました。
今日は特に診察はないようです。
もっと早く着替えていれば良かった…。
着替えて、荷物をまとめて。
この日は、赤ちゃんを喪うのが分かってしたので、真っ黒なワンピースを用意して身に着けていました。
この手術が決まってから、部屋着以外は意識して黒いものを身に着けていました。
赤ちゃんの喪に服したい、と思っていたんです。
退院の準備をしていると、あっという間に葬儀社の方が見える時間になりました。
看護師さんに連れられて、葬儀社の方が見えました。
その手には、白い小さな棺。
両手で抱えられるほど、小さな小さな棺です。
これでお別れなんだ…
そう思うと、悲しくて、せつなくて。
別れ難くて。
それでも、お別れをしなければなりません。
葬儀社の方に促され、私が赤ちゃんを棺に横たえました。
何か入れるものはありますか?と聞かれましたが、明日、火葬の前に入れますと伝え、この時は何も入れませんでした。
両手でそっと抱きあげて、小さくさようならを告げて。
最後に一回だけ、お顔を撫でて、棺を閉めてお別れしました。
次に赤ちゃんに会えるのは、最後の火葬の時だけ。
自然と涙があふれてきます。
静かに手を合わせて、葬儀社の方に赤ちゃんを託しました。
その後、事務課の方が来て、清算が終わると、退院になりました。
部屋の鍵を返しに、ナースステーションに寄ると、最初に対応してくださった看護師長さんがいらっしゃって、何と言ったらいいのか…といった表情で送り出してくださいました。
ナースステーションの横には新生児室。
複雑そうな、何とも言えない表情をはっきりと覚えています。
お世話になりました、と感謝の気持ちを伝え、病院を後にしました。
ちなみに、私がお世話になった病院では、今回の場合、出産一時金の直接支払制度が利用できませんでした。(前の記事でも書いたような気がしますが…。通常の分娩なら使用できます)
なので、主人の入っている保険に出すための書類が必要だったり割と煩雑でした。
あと、やっぱり高かったです。通常の出産でも、足が必ず出るので有名なところなので、想定内ではありましたが。
42万円一時金で預けて、お釣りが50円でした。
41万9950円。
出産一時金は、私の週数だと満額給付ではないのですが、ほぼ賄えるので、そこは助かりました。
あと、火葬費。
実家近くの病院で出産し、住民票のある東京都で火葬することになったのですが、10万円ほどかかりました。東京都は、他の自治体に比べて高いと聞いそうです。
内訳としては、葬儀社の方に諸々の手続きをして頂いたことや、東京都までの搬送費、棺や骨壺代、あとびっくりしたのが、赤ちゃんでも霊柩車を使うこと。
葬儀場に入るのに、霊柩車を使用しないとは入れない決まりなんだそうです。(これは私がお世話になった葬儀場の決まりかもしれません)
霊柩車台で2万円。
世の中、知らないことだらけでびっくりしました。
病院を出て、実家に一度帰って。
両親が用意してくれてた昼食を食べた後、赤ちゃんの棺に入れるお花を買いに行きました。
赤ちゃんの棺には、お花と産着を入れようと思っていました。
いただいたおもちゃとかもあったので、入れようかと思ったのですが、棺が小さく、赤ちゃんのからだを覆いすぎてしまいそうだったのでやめました。
4月17日の誕生花のアヤメを入れてあげたかったのですが、駅前まで行って3軒ほどお花屋さんを巡っても見当たらず…。4月下旬にならないと入荷しないとのことでした。誕生花なのに入荷されないとは…ともやもやしましたが、ないものは仕方がありません。
仕方なく、白い小花と黄色と水色の花があしらわれたブーケを買ってきました。
明るい黄色と清楚な水色が、私たちの赤ちゃんのイメージにぴったりで。
アヤメを買うことはできませんでしたが、少しだけ満足して、実家に帰りました。
その後、主人は明日の準備のため、家に帰り。
私は翌日、両親と一緒に向かうことにしていました。
この日、私のテンションは非常におかしかったのを覚えています。
実家に帰った後からずっと空元気で。
疲れているはずなのに、眠れていないのに、ずっとしゃべっていて。
主人からも、テンションがおかしいから抑えめにした方がいいよ、と注意されたのですが、なかなか抑えることができませんでした。
今思い返すと、しゃべってないと気を紛らわせなかった、悲しみから目を逸らしていただけのような気がします。
曲がりなりにも出産後一睡もしていないのに、不思議と体の疲れを感じることはなく、この日の夜は目がさえて眠ることができませんでした。
眠れない間。
携帯の赤ちゃんの写真を開いては、携帯を抱きしめて。
目をつぶっても眠れないので、宙を見つめて。
この時は、何も考えられず、朝が来るのをひたすら待っていました。