前日、実家に来てくれた主人を見送った後。

寂しくて、辛くてなかなか寝付けず、やはりブログを読み漁っていました。

私の入院スケジュール(予定)は、

 

1日目…処置(ラミナリア)

2日目…処置(ラミナリア)

3日目…分娩、手術 ※時間、経過によっては退院可能、多くの人は4日目退院

4日目…退院予定

 

となっていました。

明日、ラミナリアが控えている…そう思うと、恐怖が先に立って、どうしてもブログを読み漁るのをやめられませんでした。

 

そして寝不足気味で迎えた当日。

13時に受付、入院が決まっていたので、両親に車で送ってもらいました。

途中、妹から母に電話があって。

育児の悩みの電話でした。

 

涙が止まりませんでした。

 

私は今から赤ちゃんを堕ろしに行くのに…

なんで…

羨ましい

私だって産みたかった

 

不条理さに、誰が悪いわけじゃないのに気持ちが乱れて、涙がこぼれて仕方がありませんでした。

妹とは、検査結果が出てから電話もしていないし、私自身からは一つも伝えていません。両親から伝えてもらいました。

両親から、妹が私のことを心配していると聞いていますが、伝えることができないでいます。

妹が悪いわけじゃない。けれど、近しく、子供がいる存在だからこそ。

会いたくないし、伝えたくありません。

多分、会って泣かないで済むようになるまで多くの時間がかかると思います。

すべてが終わって1週間以上経った今でも、街中の子供や赤ちゃんを見るとやるせなく、油断すると心が乱れてしまうので。

今はとてもじゃないけれど、妹の顔も、妹の子供も見れる気がしません…。

 

 

12:45頃、病院について入院の手続きをしました。

当然ですが、受付付近には赤ちゃんや妊婦さんがたくさんいて。

涙をぐっとこらえ、病室に案内されるのを待ちました。

 

看護師さんに病室に案内されると、詳しい説明がありますので待っていてください、とのこと。

これから処置があるのが分かっていたので、緊張しっぱなしで、付き添ってくれた両親との会話も少なく、じっと耐えるように待っていました。

私が入院したのは、婦人科の病室でしたが、産婦人科の病室の一角にあり、病院着の色も違いました。

産婦人科はピンク。これは、病院見学時に見て知っていました。

ですが、病室に用意されていたのは、ブルーの病衣でした。

本当は、私も9月後半、ピンクの病衣で入院しているはずだったのに。

ここでもこんなに違うんだ、妊婦さんの姿を見たくない…そう思うと辛く、余計に気分が落ち込んでしまいました。

 

小一時間ほど待っていると、二人の看護師さんが病室にいらっしゃいました。

看護師長さんと、若い看護師さんでした。

今までの病歴、アレルギーなどを確認された後、今回の妊娠についての聞き取りがありました。
軽はずみな中絶ではないことを確認したかったのだと思います。言葉尻から何となく伝わってきたので。
会話の中で、18トリソミーについて遺伝カウンセリングを受けたこと、赤ちゃんの予後が厳しいこと、もし産むなら治療のできる病院を探さなければならないこと、赤ちゃんに綱渡りの手術をさせることを見守ることができないと主人とも話し合った上で決断したことなどを伝えました。
 
看護師さんは、ゆっくりと頷きながら話を聞いてくれました。
病院を探す…の下りで、そうですね、と言っていたので、おそらくこの病院でも対応は難しかったのだな、と思います。手術内容から考えても、大学病院など医師の腕と相応の設備が揃っていないと対応できないはずなので。
 
話を聞き終わった後、看護師さんから伝えられたのは。
 
赤ちゃんとちゃんと向き合って、いっぱい悩んでご両親が決められたということが分かりました。
ご縁があって、この病院に来られたのだから、全力でサポートします。
手術があるまでの時間、赤ちゃんと向き合って、話しかけてあげてほしい。
今回、赤ちゃんは病気になってしまったけれど、赤ちゃんにとってのお母さんはあなた一人です。
産まれてきた赤ちゃんはあなたが想像する以上にずっとずっとかわいいから。
残された時間を、赤ちゃんとちゃんと過ごしてください。
それから、当院はすべての赤ちゃんを平等に扱います。
LDRで分娩することになりますので、赤ちゃんが生まれる近くになってしまうけれど、当院では特別対応はできません。辛いと思うけれど、頑張ってください。
 
この時のメッセージを、すべてが終わるまでは「心」の部分では理解できなくて、頭でしか理解していなかった。
今は、それがわかります。
そして、私の心の支えにもなっています。
この話を聞けて良かった、と思っています。
 
その後、葬儀社の案内を受け取りました。
1枚のパンフレットが、こんなにも重みをもっていると思ったのは初めてです。
全てが終わった後電話すれば良いとのことだったので、見るのがつらかった私は、主人に任せようと思って、あまり目を通しませんでした。
 
事務案内が終わった後、いよいよ処置の案内です。
15時から16時ころに、本日1回の処置を行います、とのこと。
処置としか言われなかったので、思わずラミナリアですよね…?と聞いてしまいました。
すると、「いっぱい検索しちゃった?ラミナリアかラミセルか、ダイラパンになると思うけれど、大丈夫。力を抜いてね」と苦笑され、看護師さんたちは病室を出て行ってしまいました。
 
…軽い…
私はこんなに緊張しているのに…
 
それから30分ほどして、処置室へ案内されました。
処置室のまで待っている間、無意識に力が入っていたようです。
付き添ってくださった看護師さんから、「海に浮かぶように力を抜いてね。力を入れると余計に痛くなっちゃうから。それに、処置中ずっと横についていますから、安心してください」と笑顔を浮かべながら私を安心させるように言ってくれました。
ここまで来たら覚悟を決めるしかありません。
名前を呼ばれ、処置室へと足を踏み入れました。
 
まずは、経膣エコーから。
余裕がなかったから言えなかったけど、この時写真をもらっておけばよかったと後悔しています。
患者のわがままかもしれません。でも、伝えられるなら伝えたかった。
 
特に医師からはコメントがなく、これから処置に入りますよー。ちょっと痛いけど我慢してくださいねー。と言われました。
否が応でも緊張が走ります。
今まで読んできたブログや、看護師さんの言葉を信じて、大きく深呼吸してなるべく力を抜きました。
 
最初に感じたのはチクッとした、突き刺すような痛み。
何かをつままれているような。
子宮口の入り口をつまんでいるのでしょうか。
我慢できない痛みではありません。ちょっと太い針を刺された痛みよりはやや痛いかなという感じ。
思っていたより痛くなかったことで、自然と力が抜けました。
 
そして、いよいよラミナリアの挿入です。
カチャカチャと器具の音がして、ぐっと金属の器具が押し込まれました。
大丈夫。ちょっと苦しいけど、痛くない。
 
はい、入れますよー。力を抜いてくださいねー。
 
そう、医師の言葉が聞こえ、はいと返事をしてすぐに、硬い何かが子宮に押し込まれてきました。
 
痛い。
内壁がこすられて、異物を押し込まれる不快感と、何とも言えない痛み。
けれど、我慢できないほどじゃない。
でも、痛い。早く終わって…!!
 
目を大きく開き、口で大きく深呼吸していると、看護師さんが「上手、上手、そのまま大きく息を吸ってー、吐いてー」と、優しく手を握ってくれました。
 
これで終わるのか、と思っていると、医師のつぶやきが聞こえてきました。
 
おかしいなー、入らないなー
 
なんと、入っていないようなのです。
今でも痛いのに…?入っていないの?
軽く絶望していると、器具が抜かれ、新たなモノがぐっと入れられたのを感じました。
ぐっぐっと、何かで突き刺され、押し広げられていく感覚。
先ほどとは違った、強烈な痛みが襲ってきました。
でも、まだ耐えられる痛さでした。
ただ、いつまでたっても終わる気配がなく、精神力ががりがりと削られていきました。
とにかく早く終わって欲しい一心でした。
 
とにかく深呼吸して耐えていると、終わります、とのこと。
痛みと違和感はありましたが、ほっと一安心して、医師からの説明を聞きに戻りました。
そして、医師から衝撃的な言葉を告げられたのです。
 
思っていた以上に子宮口が固く、1本しか入らなかった。
様子を見ますが、拡張に時間がかかるかもしれません。
予定では、明日の処置で分娩ですが、拡張できなかった場合、3日間処置を行うことになります。
 
結構な痛さだったのに、1本しか入っていなかったのです。
読んでいたブログでは、7本だとか15本だとかという方がいました。
これ以上に痛いの…? 3日間もだなんて…!
気が遠くなりました。
 
この日は、これで処置が終了。
違和感はありましたが、少しお腹が重いなくらいで、数時間もするとそれも消えていきました。
直後は、重い生理痛みたいな感じでうずくまってしまいましたが。
処置が終わるまで待っていてくれた両親にお礼を言って帰ってもらいました。
 
処置後、主人にLINEで痛かったことや、不安なこと、でも頑張るよとメッセージを送りました。
ラミナリアへの恐怖や痛みについて、事前に説明していましたが、男性はなかなか理解しづらいみたいで。
痛かったことを知ってもらいたかったのかもしれないし、不安を共有したかったのかもしれません。
 
その後は、横になって安静にして過ごし、翌日の処置に備え、食欲はありませんでしたが、夕食を1/3程食べ、不安を抱えながら就寝しました。
病院からは眠れないなら睡眠薬をいただけるとのことでしたが、この日は思ったより痛くなかったからか不思議とちゃんと眠れました。
眠るまでの間、携帯をいじったり、お腹に手を当てて胎動を探っていたのですが。
目をつぶって、お腹に意識を向けると。
腸のあたりがポコッと1回だけ動いた感じがしました。
ずっと便秘だったから、蠕動運動なのかもしれない。
けれど、胎動だったらいい…そう願いながら眠ったのを覚えています。