ホラー映画の授業を取っているんですが、その課題で「幽霊が出る映画を観てこい」「日本のホラー映画を観てこい」と言われたので、ばりばりのイギリスゴシック『回転』を観ました(前日に『リング』は観たのでもう一つの課題もクリア)。




『回転』とはなんぞやと思いましたが、原作がヘンリー・ジェイムズの『ねじの回転』のようで、それを取って『回転』?

 

原題は『The Innocents』なので、今公開されたら『イノセンス』という邦題になりそう(押井守監督のとまざる)

ガヴァネス(家庭教師)としてイングランドの広大な屋敷を訪れたギデンス(デボラ・カー)。そこに暮らしているのはメイド数名と、二人の子どもフローラとマイルズ。面接時に、前任の家庭教師は亡くなったなどと不穏な話を聞き躊躇していたギデンスは、屋敷には住んでいないはずの人影を見かけるようになり……。


ゴシックの雰囲気に酔う

 

 そこまで怖くはありませんでした。ゴシック映画というのでしょう、広大な屋敷、秘密を抱えた家族、ドレス、教会、白バラ、鳩、無邪気な子どもの笑い声とオルゴール……。モノクロの映像も相まって、不気味だけれどこの雰囲気に浸かりたい!と思わせる映画です。白いバラの花弁が一枚だけ聖書の上に落ちるところなど、ちょっとどきりとするシーンが多かったです。「不気味な美しさ」に溢れていました。オルゴールってきれいない音なのに、なんで不気味に聞こえるんだろう。とはいえ、雨の向こうに黒いドレスの女性(顔はよく見えない)がぼうっと見えるところなどはぞくっとしました。

 

 そして、モノクロ映画の色遣い。

白黒なんだから色も何もないだろう……と思いきや。衣装や光の加減が工夫されている(はず!)。特にガヴァネスの服の変化に注目です!モノクロだからこそ、白バラや白いドレスといった「無垢」な色とダークな色の対比が際立つ、ということにこの映画を観て気が付きました。デボラ・カーの表情の変化とも相まってラストに向け緊張感はピークに。

 

 

叫び声は苦手。

 

 女性の高い悲鳴が響く場面が耳に残ります。私はやっぱり苦手。女性の悲鳴や表情はホラー映画でよく使われますよね。特に小さい子の悲鳴は苦手を通り越して恐ろしくなります。それが製作者側の意図かもしれませんが……。この映画は怖いというより、居心地が悪い、気持ちの悪い雰囲気をうまく作っていると思います。

さて、ラストですが、危ういな~と思いました。映像が「美しい」ゆえにこの展開は危険です。それとも全部……。


ホラー映画は気になるけれど怖すぎる映画は見たくない、という人におすすめです。ゴシックが好きな人もはまると思います。


 

作品情報

 

『回転』

 

監督:ジャック・クレイトン
主演:デボラ・カー
製作年:1961年
上映時間:100分

言語:英語