夜勤明けを利用して実施した松平郷散策。 | 春田蘭丸のブログ

春田蘭丸のブログ

願わくは角のとれた石として億万年を過ごしたい。

 先日、久しぶりに夜勤明けを利用して、近場ひとり散策を実行した。
 正確には九月十九日木曜日。
 場所は豊田市の松平郷。後の徳川家康に繋がる松平家発祥の地だ。うろ覚えなので、どこまで正確かは定かではないが、確かこの地にどこの馬の骨とも知れぬ乞食僧が流れ着いて、当時の郷の有力者に取り入る形でそのまま定着。そして松平性を名乗ったのだ。
 流れ着いた乞食僧、その名を松平親氏。
 まさかそんな胡散臭い流浪僧の子孫が巡り巡って天下人に至るとは、お釈迦さまとて、そして親氏本人とて、思いも寄らなかったろう。
 いずれにせよ以前から一度訪れてみたいと思っていた地。去年の同じく九月に徳川家の菩提寺である大樹寺を訪れた。その際、次に徳川家関連で訪れるべきはここかな……と漠然と思った。
 そして一年後、ようやくそれを実現に移せた次第。
 念願叶って訪れた地。松平郷。散策直後の率直な感想を述べれば、案外規模が小さかったな……というものだ。もう少し広い郷をイメージしていたのだ。
 しかし予想していたより規模が小さかったのが、今回は結果的に有り難かった。
 なぜなら事前にインターネットで調べたつもりのバス時刻表の見方を完全これ間違えていたからだ。豊田市駅前の実際のバス停で改めて時刻表を確認して、自分のそのチェックミスに気づいた。『下山.豊田線』バスに乗ればすべて現地、つまり松平郷へ向かうと勘違いしていたのだ。しかし実際その時刻表を見れば、終点が『大沼』と『中垣内』で分かれている。大沼行きに乗れたら松平郷まで直接運んでもらえる。しかし中垣内は松平郷が入っていない。途中、『新双竜橋北』まではいずれも同じルート。そこから道が分かれてしまうと気づいたのだ。
 僕が豊田市に着いたその時、既に9時8分の大沼行きは出てしまった直後だった。これに関しては下調べで了解済み。夜勤明けの引き継ぎを終えて退勤後、豊田市に向かえば、残念ながら9時8分のバスは僅かのタイミングで間に合わない。次は一時間後の10時8分だと。
 まぁいいさ。一時間くらいは駅周辺の散歩に当てて時間を潰すさ。
 端からそういう計画だった。
 しかし実際は次のバス、つまり10時8分のバスは中垣内行き。松平郷へは向かわないと知れたのだ。
 松平郷に運んでくれる次の大沼行きはその次、11時8分まで待たねばならない。
 自分のとんだ勘違いに気づき流石に些か狼狽えた。一時間はともかく、二時間ここで所在なくバスを待ち続けるのはちと厳しいかなと。せっかくの散策がこれでは時間の無駄になってしまうと。
 バス停でしばし考えた挙句、よし、それなら10時8分のバスに乗ってしまおうと決断した。そのバスで新双竜橋北まで向かい、そこから現地までは歩いて向かえばいいのではないかと。
 いや、正確にいうとその前に、いっそ今ここから歩いて現地を目指そうかとも考えた。しかしスマートフォンの地図アプリで試しに現地まで歩いた際の所要時間をチェックすれば、これが凡そ三時間半。流石にそれは辛い。春とか秋とか絶好の散歩日和でもその所要時間は長く感じるだろう。ましてやこの日は九月も後半に入って、なお猛暑日。去年の大樹寺をメインとした同じ九月の岡崎散策も結構これ暑かった。しかし暑いといっても残暑なお厳しくというレベルで済んでいた。しかし今回はそのレベルを遥かに逸脱した暑さ。これで三時間半も歩いた日には現地に到着した時はバテバテ。疲れ果ててもう散策する気力が残っていないかもしれない。熱中症も怖い。
 二時間もここで時間を潰すのはつまらない。
 かといって三時間半も歩くのはしんどい。
 折衷案として次のバスに乗り新双竜橋北まで。そしてそこから徒歩という決断に至った次第。
 しかし実際この折衷案を実行に移せば結構これも又しんどかった。新双竜橋北でバスを降りて、さて、ここから何分くらい歩くことになるだろう?……とスマートフォン地図アプリで又調べてみれば……
 嘘だろ?……と狼狽えた。 
 ここまでバスで運んでもらったものの、ここから歩いても一時間半かかると知れたのだ。
 漠然と予想していた四、五十分の凡そ倍の所要時間だ。
 という次第で現地に到着した時は、既に正午を回っていた。せっかくだからと風景をあれこれ写真に撮りながら、更にはポケモンGOでも遊びつつの道程だったので、余計に時間が掛かってしまったのも確かだ。しかしその辺も含めて事前計画から完全に逸脱。現地に到着するまでが想定外なものになってしまった。
 暑さで全身汗ずくずく。到着した時点で体力も相当これ奪われていた。
 そんな塩梅だったので寧ろ予想していたより規模が小さかったのが有り難かったのだ。
 現地到着後最初は若干気が急いた。しかし直ぐ、これなら慌てる必要はないだろう……と気づいたのだ。実際ここでもポケモンGOで折々遊んだり、見どころを丹念に一つ一つチェック。まったりのんびりのペースで、午後からの半日、正確には四時間弱で、十分これ一通り見て回ることが出来た。
 これなら仮に9時8分のバスに乗れて直接現地に運んでもらえていても、早々に散策を終えて時間を持て余していただろう。それなら現地までのしばらくを歩いて途中の景色をあれこれ楽しめたのは案外これ僥倖だったかも。
 負け惜しみではなく割と素直にそう思えたものだ。
 そして乗った帰りのバスは16時20分発。豊田市駅に着いたのが17時ジャスト。駅前で店を開いた直後の鳥貴族を利用できたのもグッドタイミングだった。
 という次第で暑さが九月後半にしては厳しかったのが難ではあったが、それ以外は結果オーライ。案外これ、いや十分楽しい一日となった。
 それにしても鳥貴族、恐らく十年以上ぶりに利用したけれど、貧乏人が偶に使う外食店としてサイゼリヤと同等くらいに和めるよね。猛暑に渇ききった身にメガサイズのレモンハイが沁み渡った。昔と変わらぬキャベツおかわり無料も有り難かった。今後も散策の地で見かけたら、ぜひ利用したいものだ。
 それにしても……
 暑かった!