夢は終わり至る別れの晩夏。 | 春田蘭丸のブログ

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願わくは角のとれた石として億万年を過ごしたい。

 未来はミステリアスかつエロチック、
 と同時に理想の清純が燦然と輝いていた。
 待つまでもなく青春のとば口に羽根を広げた
 美しい理解者は現れる筈だった。

 永遠に終わらない概念の夏は風も心地よく、
 傾くビルとビルの狭間に僕ら花火を見て、
 やがて街路灯の明かり届かない場所で
 青春が薫る軽いお洒落なキスだった。

 だけど孤独な十五歳の心が紡いだ夢想が、
 形を成す明日が来る可能性は微塵もなかった。
 気づいた時には後の祭り花火すら上がらない。

 もう終わりだ実にこれまで夢は終わった。
 艶かしくも結局その形を定めることなかった、
 僕のうちの美しき恋人に告げる夏の別れを。