未来はミステリアスかつエロチック、
と同時に理想の清純が燦然と輝いていた。
待つまでもなく青春のとば口に羽根を広げた
美しい理解者は現れる筈だった。
永遠に終わらない概念の夏は風も心地よく、
傾くビルとビルの狭間に僕ら花火を見て、
やがて街路灯の明かり届かない場所で
青春が薫る軽いお洒落なキスだった。
だけど孤独な十五歳の心が紡いだ夢想が、
形を成す明日が来る可能性は微塵もなかった。
気づいた時には後の祭り花火すら上がらない。
もう終わりだ実にこれまで夢は終わった。
艶かしくも結局その形を定めることなかった、
僕のうちの美しき恋人に告げる夏の別れを。