目を閉じて何かを待つ。
何もしないで何かを待つ。
待っている間に君は乾いた。
唇もやがて荒れてささくれた。
本当にそれで良かったのだろうか?
世俗の関係を拒否して
実質のない蜜を夜に舐め、
絵空事の愛を夢見るばかり。
今なお愛犬ジョニーを「ほら!」と呼ぶ、
君の華奢な後ろ姿が忘れ難い。
僕にもしも度量もっとあったならば、
君の荒野を薔薇色に変えられただろうか?
戯れの一夜の肉体関係をジョニーに恥じて、
君が待つ王子は白馬どころかペガサスに乗る。
だから僕の存在は一時の気の迷いと
君のフロッピーディスクから即削除された。
とどのつまり能動的情愛は人に向かわず、
愛犬ジョニーの無垢な佇まいだけが君の慰み。
束の間の僕への関心は「容量を大切に!」と
冷夏の晩夏あっけなく忘却の闇に葬られた。