自立し損ねた夢老い人よ。 | 春田蘭丸のブログ

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願わくは角のとれた石として億万年を過ごしたい。

 豊かな時代に生まれ育って
 母のない子供に憧れた。
 愛を知らない寂しい目を持て
 自力で人生を切り開く強さ夢見た。

 甘やかされた過保護な子供は
 自惚ればかり肥大化させて、
 憐れ容易くへし折られた鼻っ柱。
 泣き濡れて母の庇護へ逃げ帰った。

 その後みなしごの生のブルースは
 どこで誰が口ずさむのだろう。
 去勢の身に口ずさむ資格のない歌を、
 囚われない自由な魂が遠い夜に強き地声で。

 母の愛を知らない身軽な浮浪児を
 自己愛の鏡のおのれに重ねた。
 はや老いた無惨な顔そこには映らず、
 夢の路地なお一人の少女の笑み求め流離う。