豊かな時代に生まれ育って
母のない子供に憧れた。
愛を知らない寂しい目を持て
自力で人生を切り開く強さ夢見た。
甘やかされた過保護な子供は
自惚ればかり肥大化させて、
憐れ容易くへし折られた鼻っ柱。
泣き濡れて母の庇護へ逃げ帰った。
その後みなしごの生のブルースは
どこで誰が口ずさむのだろう。
去勢の身に口ずさむ資格のない歌を、
囚われない自由な魂が遠い夜に強き地声で。
母の愛を知らない身軽な浮浪児を
自己愛の鏡のおのれに重ねた。
はや老いた無惨な顔そこには映らず、
夢の路地なお一人の少女の笑み求め流離う。