夢.3 | 春田蘭丸のブログ

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願わくは角のとれた石として億万年を過ごしたい。

 夜勤明けで帰宅。仮眠でも取って寛ごうかと思った矢先、建築屋の作業員風の数名が部屋に入り込んできた。すっかり混乱。「何だ君らは?」と慌てて問い糺すと、マンションの共用部の改築に来た者らだと言う。資材置き場と休憩所としてこの部屋を使用しても構わない。その許可と共に管理事務所から合鍵を渡されたと言う。
 勿論そんな話は聞いていない。そして当然そんなことをされては困る。
 確認の電話を管理事務所に掛けるが繋がらない。仕方がない。管理事務所に直接出向き文句を言おう。
 怒りと共に玄関の扉を開けて外に出る。するとそこは何処とも知れぬ駅のプラットホーム。途惑う僕の背後で扉が閉まり電車が動き出した。管理事務所に向かうだけの筈だったのに、いつの間に僕は旅に出たのだろうか?
 困惑と共に駅の改札を出ると駅前ロータリーの前にハンバーガー・ショップを見かける。その店を見て不意に、腹が減っている……と井之頭五郎さん的に気づいたので店内に入る。するとカウンター席の向こうの厨房で調理をしているのは僕の母だ。カウンター席の隅には客の男が一人座っていて、顎が外れそうな巨大ハンバーガーを品悪く貪っている。その客の風貌が妙に僕に似ている気がする。
 あるいはカウンター席の男は僕の水子の兄だろうか? ここは天国の駅前ロータリー。天国のハンバーガー・ショップだろうか?
「僕にもハンバーガーを一つください。あとバニラ・シェイクも」
 よそよそしく厨房の母に注文。すると母はちらり僕に顔を向け黙って頷く。僕が水子の方ではなく生きて失敗を重ねた方の息子と母は気づいているだろうか?

2024年 4月 8日 記録