水の故郷。 | 春田蘭丸のブログ

春田蘭丸のブログ

願わくは角のとれた石として億万年を過ごしたい。

 安眠に揺蕩っていた。
 夢にも満たない情報の粒が
 時の代わりに流れてゆく
 やわらかい水の中で。

 目覚めたくはなかった。
 苦痛を伴う思念を得るより
 存在はアメーバー程度で、
 温かみに同化していたかった。

 今なお恋しいんだ。
 感覚だけで宇宙を享受していた
 あの深い水の故郷が。
  
 既に耐え難い粘着の自我。
 この惨めさを捨て今は還りたい
 懐しいあの慈愛の底へ。