畜生! 殺生! | 春田蘭丸のブログ

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願わくは角のとれた石として億万年を過ごしたい。

 甘やかされて、
 大切に扱われすぎて、
 母の愛が
 子どもをスポイルすることもある。

 夜のシンクに
 二匹のゴキブリを見た。
 つがいながら呼吸あわせて
 おいっちにおいっちに……。

 浅ましくも懸命なその姿に
 僕の人生にないものを見た。
 過保護に育てられた僕は
 恥辱の向こうに愛を得られなかった。

 畜生! 殺虫剤ぶっかけてやる!
 噴射の勢いにそれでも堪えていた二匹は
 遂に堪えきれず交尾を解いた。
 殺生! お母さんに堪らなく会いたくなった。