何の話ってクリスマス・ソングの話。
ちょっと思い立つ処があり今年は12月に入ってからYouTubeを利用してクリスマス・ソングばかりあれこれ漁って過ごしていたのだけれど、これが実に楽しかった。しかし不完全燃焼というか、1ヶ月足らずではとてもじゃないけれど、満遍なくチェックし切れない。それぞれの個性や違いを聴き比べて、もっと発見に至りたかったのだけれど、残念ながらそこまで聴き込めもしなかった。あまりにも膨大な量を消化するには、1ヶ月足らずでは時間が足りな過ぎたのだ。
という次第で来年のこの時期もクリスマス・ソングの聴き比べにまたトライしたいと思う。
だけどこれは渋谷陽一が昔よく言っていた説の受け売りになってしまうけれど、こういう魅惑の世界をあれこれ漁っているとつくづく思う、やっぱりポップミュージックの世界は下世話な欲望にまみれていないと大衆音楽が本来もつパワーや普遍性は望めないのだ……と。時代を代表する歌手やクリエイターが金儲けを意識して取り組んでいるからこそエネルギッシュで創意工夫にも富んでいて、心ときめかす美しい夢が紡がれるのだ。わかる人だけが聴いてくれればそれでよい……という閉ざされたインディーズの世界では、こういう躍動感のあるキャッチーなノリを手に入れる事は到底できないだろう(まぁ個人的にはそういう閉ざされたミニマムな世界も愛おしかったりはするけどね)。
改めて思う、クリスマス・ソングの世界にはポップミュージックの本質的な魅力が目一杯詰まっている……と。
しかし今回は敢えて、そういう欲望まみれのショービジネスの世界に生きるには繊細過ぎた印象を受けるダニー・ハサウェイのクリスマス・ソングを紹介しておく、
これ以上なく洗練されたソウル・ミュージックで紡がれるクリスマス・ソングは、だけど楽しさや高揚感より寧ろ疲労感とか遣る瀬無さが感じられるような気がして、一人あてどなくドライブするクリスマス・イヴ……というシチュエーションで、カーステレオで流すと嵌まりそうな気がする(車持ってないけどね)。