何を触ったのかよくわからない。
だけど何か熱いものを触ってしまった。
触った指が熱で蕩けるほどの
熱いものを触ってしまった。
奪われた己の指にうわっと思った。
熱さを通り越して「痛い!」と叫んだ。
己の叫び声で目が覚めて夢だと気づいた。
闇の中で己の指を確認した「動く……」と。
火傷もしていない指で胸を撫で下ろした。
今も忘れ難い十四歳で見た生々しい悪夢は
一体なにを暗示していたのだろうか?
確かにあの年あの季節に僕は触れたのだ、
あり余る筈の未来すべて奪う熱い何かを……。
あの闇の叫びが僕のその後の運命だった。