最近話題の騒動に関して。 | 春田蘭丸のブログ

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願わくは角のとれた石として億万年を過ごしたい。

 国を二分するような過剰な衝突を生んだ今回の安保法案騒動だけれど、嫌でもネットやテレビを見ていたら飛び込んでくる意見の中で、割と腑に落ちたのがツイッターで拾った次の素朴な呟きだった、

安保法案に賛成と反対。目的は両者とも同じで戦争回避。じゃあ何が違うのかと考えたらどうやら「最悪でも白旗はアカン」と「最悪白旗OK」なのね。そのココロは「白旗=チベット化」と「そんなわけないからw」みたいな感じかな。だから平行線。そこをちゃんと議論したいなあ。

 まぁ可決されてしまった今更こんな事を言っても仕方ないのだけれど、基本的に僕も安保法案には反対の立場で物事を考えていた。中国が幾ら挑発や脅しを繰り返してきても、そう容易く一線を踏み越えることは出来ないと高を括っているし、最悪チベット化されたら、その時また考えればいいんじゃねーの? それで市井の民の生活が、いきなり極端に変貌を余儀なくされる、ということもないのだし……と楽観視しているのだ。それよりもアメリカの中東戦争に巻き込れる形で自衛隊が戦場の最前線に駆り出される未来の方が、僕のイメージでは、よりリアルで悲惨に感じられてしまう。
 何より憲法九条に対する思い入れは結構強い事も自覚しているしね。
 しかしそういう立ち位置を遥かに逸脱した次元で、今回のこの騒動に対して相当うんざりしているのも事実。賛成派・反対派、どちらの立場にも関わらず、なぜ政治的な立ち位置を決めて発言する連中や活動家のその言動は、揃いもそろってみんな横柄で、悉く品性の下劣さしか感じられないものに成り下がるのだろう。その立ち位置が揺るぎなくなればなるほど、他者への礼儀を著しく欠いた傲慢な語り口や横柄な態度が鼻につくようになる。そもそも今回の安保法案が可決されるまでに、議論を重ね合える期間が一年以上もあった筈なのに、賛成派・反対派、どちらも頑なに己のイデオロギーに固執して罵倒合戦に終始していたら、どちらとも決め兼ねているその他大勢に何ら建設的なビジョンを提示できないのは当然の事。そしてその成れの果てが今回の醜悪な騒動なら、糞の投げあいには関わりたくない……と距離を置くのが、一番まともで健全な対応というものだろう。
 しかし質が悪いのは、今回の安保法案の騒動に賛成でも反対でもなく、距離を置いて傍観しているその他大勢に対しても、その悪しざまな批判はぶつけられて来る、「お前らのような政治に無関心な馬鹿が、結果的に戦争を後押しするような存在になるのだ……」みたいな論調を、あたかも自分の意識の高さは揺るぎないものと思い上がったかのような目線からね。
 いや、だけど違うね。これは確信もって断言できるけれど、戦争を後押しするような存在になるのは、いま距離を置いて政治を眺めている連中ではなく、反対勢力を吊し上げようと躍起になっている連中なのだ。それは賛成派・反対派、どちらの立場にも関わらず、集団ヒステリーに安易に染まって簡単に自己陶酔できてしまう、内省の視点や含羞の心と無縁の連中が、結果的に戦争へ至る現実を後押しする側に廻ってしまう。それは先の戦争へ至る過程をつぶさに検証すれば明確に証明されもする事実だろう。
 そもそも右なら右、左なら左の視点で過去や歴史を振り返る事は、それぞれの幻想を交える事にはなれど、案外それは容易い。しかし未来を見据える事は至難の業だ。はっきり言って、この国の行く末が鮮明に見えている賢者が、この世には一人としていない……というのがシビアな現実だろう。それは安倍さんとて同じ事だけれど、安倍さんを狂人扱いして吊し上げようとしている勢力も、それならビジョンを示してみろと言われても、明確なビジョンなど示しようがないのだ。
 半ば諦念気分で、この国の未来がどう転がろうとそれが運命……と距離を置いて傍観するのが今は一番賢明な気がする。それよりも罵詈雑言が飛び交い、ますます集団ヒステリーが加速してゆきそうな今の世情のほうを憂慮する。そう、余裕を無くしたこの国全般の品性が、加速度を増してますます野卑に堕ちてゆくような、そんな未来も又、戦争へと至る未来と同じく、とても陰鬱なものに思えてしまうのだ。
 僕が安保法案の話題で一番笑ったのは、Twitterで拾った次のネタだった、

安保法案について大人としてこれだけは言わせてください。もし法案名が「安全保障関連法」ではなく「治安保障関連法」だったら、略名は「あんぽ」ではなく「ちんぽ」になり、今日の議会は女性議員達が「ちんぽは絶対通さない!」と完全処女宣言を叫ぶ凄いお祭りになったのではないでしょうか???

 しょーもない。実にしょーもない。でも、こういうネタに笑える自分を今は大切にしていたい……と心から思う。
 そう、今の騒動に絡め取られる位なら、下ネタに喜んでいる方が、よほど品性が保てそうだ。