歌.344 | 春田蘭丸のブログ

春田蘭丸のブログ

願わくは角のとれた石として億万年を過ごしたい。

 現在の職場は勤務中に歩いて過ごす時間が多い。前の職場に比べて圧倒的に多い。特にこれといった刺激もなく、語り合う連れもなく、黙々と一人歩いていると、いろいろと考えてしまう。歩きながら、そうやって耽るその思いは、最近の状況と相俟って、つい暗い方へと向かいがちだ。
 どうして僕は僕なのだろう……
 生の根源から時に湧く、究極のこの問いに返す答えなどある筈もなく、ただ疲れちまった。どうしようもなく心が草臥れ込んでしまった。……
 歩けど歩けど、もう何処にも辿り着けない……
 そんな歩き疲れて草臥れた心情を託して一首、

歩きながら耽る物思い暗くなれば風にあるいは海になりたい。

 僕は、僕として感じたり思い悩んだりする事に、もう、うんざりなんだ。
 お願いだから、僕をもう解放してよ、千年のちの世を生きる聡明な少女の熱き頬を冷やす風の中に。
 頼むから、僕をもう還らせてよ、億年後の新たな命を生み出す海の中へ。
 たった一人の友も、僕からもう逃げ出したがっている。そう、影法師も又、僕の影である事に、もう、うんざりしている。
 僕は己と自問自答する事さえ、もう厭き厭きだ。