『春怒濤とどろく海へ迫り出せり半島のごときわれの〈過剰〉が』(田村元)。 | 春田蘭丸のブログ

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願わくは角のとれた石として億万年を過ごしたい。

 読み取り専用で利用しているTwitterのタイムラインで偶々拾った歌で、僕が不勉強なのか、作者の名前も今回初めて知った。でも、よい歌だと思う。正岡子規を起源とする近代短歌の伝統とニューウェーブの感性がダイナミックに融合した力強い歌の調べが印象に残る。何より良いのは、今の自分の心境にぴったり合致する事だ。
 そう、歌なんて所詮その善し悪し以前に、受けとめる際の自分の気分と上手く合致するか否かで、その感想も大きく変わって来てしまう。この歌が提示する、「春の過剰」は、現在の僕の精神状態を的確に言い表してくれていると思う。
 まぁ僕の場合、春先から初夏の辺りに掛けて、いくぶん気分が躁状態になるのは何も今年に限った話でもないのだけれど、でも今年は十数年ぶりに生活環境がガラッと変わるので、その覚悟と些かの気負いで、例年より余計に心が騒立っているような気がする。過剰な内面に翻弄されるのは、何も若い春に限った話ではない。幾つになっても、その年齢なりの過剰が突然ふいに内面に湧き上がる時がある。今が、まさにその時。
 そう、今年の春から初夏に掛けては、この歌に我が心情を託して、半島の如く迫りだせり我が過剰とせめぎあうような日々を送る事になるだろう。何とかこの過剰の季節を上手く乗り切って、夏の海と上手く融合したいものだ。そして豊穣の秋を迎えられたら……と願う。切に願う。

 過剰に湧き溢れる青臭い情動を上手く音楽に託せていた頃のブルース・スプリングスティーンの一曲をここに、『Thunder Road』。
https://www.youtube.com/watch?v=O6QiMjakZNY
 この心どこへ向かうのか、生きている間は走らせ続けなければならない思いもある。