歌.303 | 春田蘭丸のブログ

春田蘭丸のブログ

願わくは角のとれた石として億万年を過ごしたい。

 奈良で鹿と戯れていたのが先月の最終日だったけれど、あの時は、春も間もなくだろうと思っていたのが、その後、寒い日暖かい日を繰り返しつつ、更に忘れ難い名残雪なども間に挟みつつ、完全に春に移行するのに意外に日にちが掛かったな。あの日、鹿の毛並みの中には既に春の温もりを感じていたのだけれど、或は鹿の穏やかさに覚えた錯覚なのかもしれない。でも今度こそ本当に、あの毛並みに感じたのと同じ感触で春が訪れたみたいだ……
 という感慨と共に一首。

傍(かたわ)らの角(つの)なき鹿の和(やわ)らぎを思い出す頃すでに街は春。

 願わくは鹿の頭ではなく撫でてみたい春の頭がある。きっと日向の匂いが仄かに薫る髪の感触が、とても優しい夢うつつの世界に僕を誘ってくれるだろう……
 そんな拭い難い若干の未練は抱えつつ、それでも、やっぱり、「いざ、さらば!」

 燻る感傷を葬り去る為、ここは敢えてこの糞みたいな曲を掲げる、THE STALIN 【仰げば尊し】。
https://www.youtube.com/watch?v=_ttc3lMbG-U
 本当に、糞みたいな演奏で、糞みたいな感傷を拭い去るには持って来いのバンドだよ、うん、いい意味で。