軍師官兵衛(第8話)。 | 春田蘭丸のブログ

春田蘭丸のブログ

願わくは角のとれた石として億万年を過ごしたい。

 その風格や謎めいた人間的魅力、そして積み重ねてきた実績、そういうものが、その本人が実際に持ち合わせているポテンシャル以上に周囲からは買い被られる事もあるのだろうが、そこで一端立ち止まって、自分が本来持ち合わせている能力および取り巻き達との関係を客観視できる内省的な資質も持ち合わせていないと、長いスパンでは息切れしてしまう。周囲も離れていってしまう。織田信長は長期的な展望も未来への見取り図も、しっかりその胸に描けていたのだろうが、残念ながら日常の人間関係の中で日々紡がれてゆく他者の感情の機微に対してあまりに無神経すぎたと思う。
 或いは彼は革命家としては一級だが統治者の器ではなかったのかもしれない、と自分の人心掌握術を嫁に向かって得意げに語る信長を見て、しみじみそう思った。信長は実際こういう男だったのだろうし、やはり周囲の人間を道具扱いするこういう思い上がった人間性は、日々付き従っている家臣達の反発を徐々に育み、次第に気持ちが離れていってしまうのも致し方ないと思う。
 まぁそれはそれとして気に入らない奴は容赦なく叩っ切る信長の権威、俺も欲しい。今の日常のまま殺しのライセンスを手に入れたら毎日のように俺の手は鮮血に染まるだろうな、きっと。