先日、JR各社からプレスリリースとして2019年3月16日以降の改正ダイヤの概要が公開されました。

 

個人的な考察ですが…

 

「高速化」「速達化」というキーワードが強く意識されたダイヤ改正になったなという印象ですね…

 

○東北・北海道新幹線【JR東仙台支社のプレスより】

1)北海道新幹線の奥津軽いまべつ-木古内間を現行の営業最高速度が140km/hから160km/hに引き上げられ、東京-新函館北斗間を4分短縮し、最速3時間58分実現。いわゆる航空機との勝敗ラインとされる4時間の壁を突破。

 

2)E5系追加投入による、東京-盛岡間の「はやて」の「はやぶさ」化による高速化。これにより東京-盛岡間の「はやて」の定期列車は事実上消滅。

○中央東線特急【JR東長野支社プレスより】

1)中央東線特急「あずさ」、「かいじ」の車種を最新のE353系に統一。これにより快適性、WI-FI等利便性の向上。「スーパーあずさ」の愛称は廃止。

 

2)「あずさ」の停車駅だった石和温泉、山梨市、塩山の3駅の停車を取りやめ。3月16日以降、この3駅は「あずさ」は全列車通過扱いとなる。

 

3)これまで全営業列車が停車していた上諏訪駅は今回のダイヤ改正で1往復通過する列車が設定される。また下諏訪駅と富士見駅はそれぞれ8往復と5.5往復だった停車本数が、2往復に激減される。また岡谷駅も16往復から14往復に減便される。

 

4)全ての車両の座席が指定席になる。自由席は全廃。高崎線のスワロー制と同様の座席未指定券方式の導入。

 

5)えきねっとのチケットレスサービス導入。

 

○上越新幹線、車両更新と停車駅変更【JR東高崎支社】

1)上越新幹線に北陸新幹線と同形式のE7系を投入。グリーン車より上級のグランクラス車両も連結されるが、運行区間が短いため、アテンダントやドリンク、軽食、スイーツの提供などといったアメニティサービスは提供されない座席のみのサービスにとどまる。

 

2)停車駅、停車パターンの変更で東京-新潟間の所要時間短縮。

 

【考察】

○東北・北海道新幹線

数年前から検討されていた計画がようやく実現した。将来の時速360km/hへの高速化の布石のようにも感じる。これにより最速便で4時間切りが実現することになる。一般論として4時間の壁が突破されると新幹線と航空機の利用比率が変化すると言われており、競争面で互角に勝負する事になる。今回のダイヤ改正以降、新幹線と航空会社との間の顧客の奪い合いがかなり熾烈なものになると予想する。当面は、機内Wi-Fiが安定している航空機が優位だと思うが、新幹線の無線LAN環境等の通信設備が改善すれば、新幹線にシフトする割合が高くなると考える。

 

○中央東線特急

所要時間短縮の目的のため、山梨県峡東エリアの3駅や、長野県内の岡谷駅、上諏訪駅、下諏訪駅、富士見駅の停車本数にメスが入ることになった。山梨県峡東エリアは東京圏への指向が比較的強くこのエリアの3駅に長距離列車の「あずさ」が停車することにより座席が占領され長距離を移動する顧客にとって立席移動ということに繋がりかねない。長距離を立って移動するというというのは正直しんどいものである。新宿-甲府・竜王間の短距離を結ぶ「かいじ」も停車していることや、遠近分離という観点から考えても峡東エリア3駅を通過扱いにすることはある意味当然だと思う。しかし、岡谷、上諏訪、下諏訪、富士見の4駅の停車本数を調整のやり方にはもう少し配慮というものがあっても良かったと感じざるを得ない。在来線特急は新幹線とは異なる機能があると感じる。特に、下諏訪と富士見は1日2往復に激減した。減便するにせよ、せめて観光需要が期待できる午前中の下り(松本方面)列車4本と夕方から夜の上り(新宿方面)列車3-4本位は停車して欲しかったものだ

 

○上越新幹線

熊谷、本庄早稲田、上毛高原、越後湯沢、燕三条の各駅の停車本数にメスが入り、需給に応じ適正化された理想に近いダイヤ構成になったなと感じた。現在、上越新幹線は東京-新潟間を結ぶ「とき」が26往復、東京-越後湯沢間を結ぶ「たにがわ」が9往復設定されている。

燕三条は、現在26往復のうち速達便の2往復以外の24往復が停車しており、事実上全列車停車しているに等しい。しかし三条市と燕市の両市の市街地から結構離れている郊外に立地しており、在来線の弥彦線との接続もお世辞にも良いとは言えない。尚、周辺の交通環境は、北陸道の三条燕ICが立地している。私からすれば、以前からこの駅の停車本数は供給過剰気味にも感じていた。駅周辺の環境が類似している駅として佐久平があるが、燕三条の乗車人員(1831人:新幹線のみ)よりも1200人以上上回っているのに、同等の停車本数なので、燕三条の停車本数はもう少し絞っても十分対応できるはずだと思っていたので、適正化されたことは良かった。

上毛高原は、群馬県みなかみ町の山の中にある新幹線の単独駅で、1日当たりの乗車人員が730人前後と、新潟県南魚沼市の浦佐駅と並んで非常に利用者の少ない駅であるにも関わらず、21往復も停車しており、燕三条以上に供給過剰だろう。今回のダイヤ改正でも減少幅は1.5便に留まっており、需給の事を考慮すれば、停車本数はまだまだ適正化する余地があると感じる。

また先述の浦佐駅は今回は対象外だった。この駅も市街地(六日町)から離れておりターゲット層が限定されているが15往復停車しており、少々供給過剰ではないだろうか。特にデータイムに1時間1本のペースはやや過剰投資のようにも感じる。いわて沼宮内とか奥津軽いまべつ並に減らす必要はないと思うが、この2つの駅は安中榛名と同程度の12-13往復でも対応できるようにも感じるが…