「人は生きたように死んでいく」

 

とよく言われますが、その意味が私なりにわかったことがあります。

 

私の姉はおととし亡くなりました。

 

40歳。

 

とっても若くてきれいなまま亡くなりました。

 

5年前に子宮がんがわかり、抗がん剤治療と手術で子宮卵巣を全摘出しました。

 

そのあと新婚2年目の旦那さんと別れ、二人で建てた新築の家を失いました。

 

4年前に抗がん剤の副作用で白血病になりました。

 

私の型が適合したため、ドナーになり手術をし、再度抗がん剤治療を受けました。

 

おさまったと思ったのもつかの間、3年前に再発、その際に余命半年の宣告を受け、また抗がん剤治療を受けましたが、おととし亡くなりました。

 

「納得がいかない」

 

「なぜこんな目にあわなきゃいけないの」

 

「どうせ助からないなら、なぜ何度も苦しい思いをしなければいけなかったの」

 

「病気だけでなく、なぜこんなにひどい目にあわなきゃいけないの」

 

これ全部、私の感想です。

 

勝手に私が思い込んでいたもの。

 

姉はこんなこと一言も言いませんでした。

 

「病気になるのが私で良かった」

 

「病気になって初めて健康でない人の気持ちがわかる」

 

「病気になったから患者さんの気持ちがよりわかる」

 

「人生は長さじゃない。短いかもしれないけど、私は楽しかった」

 

これが姉の言葉です。

 

姉は看護師でした。

 

死の恐怖や、治療の苦しさにふさぎこむ患者さんを、同じ患者の立場でありながらいつも明るく励ましていました。

 

食べるのが大好きで、白血病だと食べられるものが限られるのですが、その限られた食べ物から好きなものを選んで病棟の仲間とパーティをしていました。

 

とても楽しそうに、みんな笑顔でした。

 

危篤に陥る最後の日の朝までリハビリをしていました。

 

そういえば、姉は学校を休んだことがなく、いつも皆勤賞だったのを思い出します。

 

姉は看護師として、患者さんに寄り添って生きてきました。

そして病気になることで、更に患者さんの気持ちに寄り添える看護師として亡くなっていきました。

 

「人は生きたように死んでいく」

 

そうだとしたら姉の人生は姉が目標とした通りです。

 

人よりもちょっと早く今生でのカリキュラムを達成して、満足に旅立ったのです。

 

やっと最近そのことに気付けた私です。

 

私も私の人生をまっとうしよう。

 

そしてすべての人が、自分だけの最高の人生をまっとうできますように。