皆さんおはようございます
先日、東京ディズニーランドのウエスタンランドにある「痛くない歯医者」(Painless Dentist)についての生地を書きました。
既に1844年にコネチカット州の歯科医が全身麻酔下での抜歯を行っていたことから、1880年頃の時代設定と考えられるウエスタンランドに「痛くない歯医者」が居たとしてもおかしくはないことや、実際に1876年のカリフォルニア州の新聞紙上に亜酸化窒素を麻酔に使った無痛治療を謳う歯科医の広告が掲載されていることをご紹介したところです。
ところで、「痛くない歯医者」が居るのは東京ディズニーランドだけではありません。
東京ディズニーシーのアメリカンウォーターフロントのニューヨークエリアにも「痛くない歯医者」を謳い文句にする歯医者さんが居るようです。
グッズショップのスチームボート・ミッキーズの裏手にある階段を見ると、2階に歯科診療所があることが分かります。
こちらは"PAIN-FREE"と書いてありますが、"painless"と同じく「痛くない」という意味ですね。
さて、アメリカンウォーターフロントの時代設定はと言うと、ニューヨークの港に停泊しているSSコロンビア号が処女航海に出るのが1912年という設定ですから、東京ディズニーランドのウエスタンランドとは30年程度の違いがあります。
1876年のカリフォルニア州の新聞を見る限り、麻酔を用いた「痛くない歯科診療」は自慢するに値する程度に珍しい存在なのか、サンフランシスコにある1軒だけが広告を出していましたが…
その24年後、1900年頃のニューヨークとなると、様相が一変しています。
たとえばこちら、1900年10月16日付のニューヨークの新聞"The Evening World"の9面を見てください。
・Dr. J. M. Rankin
・New York Painless Dental CO.
・Waterbury Dental Parlors
・Dr. Geo. W. McNulty
という4軒の歯科診療所が広告を出していますが、これら全てが無痛治療を謳っています。
2番目の歯科診療所に至っては、診療所の名前に「無痛」(painless)が入っていますね
これを踏まえると、1912年のニューヨークでは、「痛くない歯医者」はもはや珍しい存在などではなく、歯科診療所のごくありふれた常套的な宣伝文句となっていた可能性が高いと考えられます。
全く同じフレーズが時代の移り変わりに応じて、東京ディズニーランドと東京ディズニーシーで異なる意味合いを持つというのも面白いです