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先週末の記事で、東京ディズニーリゾートの人出の回復率が10月第1週(10月3日~9日)にコロナ後の最高水準に達したことをご紹介しました。

 

 

 

その後、スポーツの日の3連休に全国旅行支援やワクワク割の開始、海外からの訪日外国人旅行客の1日の入国制限の撤廃といった出来事が続き、今までよりもパークが賑やかになっているような印象です。

 

 

人出の動向については、引き続きV-RESASの人流データを活用して確認を続けて行きたいと思いますが、入園者数が回復に向かうと共に、このところTwitterなどで

 

・ゲストの数が急に増えて、キャストさんも大変そう

 

・以前ほどの接客の丁寧さが無くなったのではないか

 

キャストさんの元気が無いように感じる

 

といった意見も見かけたので、気になっているところです…。

 

 

ところで皆さんは、東京ディズニーランド・東京ディズニーシーのパークで働くキャストさんがどれぐらい居るかご存じでしょうかはてなマーク

 

 

東京ディズニーリゾートの運営を手掛けるオリエンタルランドの有価証券報告書を見ると、その数は2022年3月末時点で

 

・正社員6,601人

 

・臨時雇用者(勤務時間を基に正社員相当数に換算)8,254人

 

合計で14,855人となっています。

 

 

単純計算で、1パークにつき約7,500人のキャストさんが居ることになります。

 

 

とはいえ、通常は365日運営しているパークに7,500人のキャストさん全員が毎日勤務しているわけではありません。

 

 

月20日=年間240日勤務するという前提で計算すると、だいたいそれぞれのパークに1日5,000人弱のキャストさんが勤務をしていることになります。

 

 

一見かなりたくさんの数のように感じるのですが、実はコロナ禍が始まってパークが臨時休業に入った後、再開後のパークは以前よりもキャスト数が大幅に減少しています

 

 

コロナ禍以前の2019年度のキャスト数は

 

・正社員5,757人

 

・臨時雇用者16,280人

 

の合計22,037人でした。

 

 

これが2020年度には、正社員は6,393人へと増加したものの、臨時雇用者が7,424人まで大幅に減少し、合計は13,817人と2019年度比▲37.3%の減少となりました。

 

 

ここからパークの運営が回復に向かうと共に、2021年度にキャスト数は7.5%回復し、最初に紹介したような1パーク1日5,000人体制となっています。

 

 

したがって、2022年3月末時点では、コロナ前比7割を下回るキャスト数でパークが運営されていたことになります。

 

 

OLCの2022年度の業績予想や2024年度に向けた中期経営計画では、2022年度の入園者数はコロナ前比6割強の2,000万人、2024年度にはコロナ前比8割程度の2,600万人を目指すとされています。

 

 

仮にキャスト数が全く増えないままだと、入園者数がコロナ前比7割に達した時点で、キャスト1人当たりのゲスト数がコロナ前よりも増加して、キャストさんの負担が重くなっていくことになります。

 

 

今年3月以降、キャストさんの雇用も更に増加しているのでないかとは思いますが、入園者数の回復のペースが早過ぎると、やはりキャスト1人当たりの負担は重くなっていくので、最近の入園者数の急回復が実際にキャスト不足の状況を生み出しているのかも知れません

 

 

そこで、オリエンタルランドの過去の有価証券報告書の数字を基に、テーマパーク部門の従業員数とキャスト1人当たりの1日の入園者数をグラフにしてみました。

 

 

 

 

コロナ禍による臨時休業からの再開直後には、「キャストさんの数の方がゲストよりも多かった」といったことが逸話的に語られるのをよく見かけました。

 

 

さすがに「キャストの方が多かった」は言い過ぎのような気もしますが、1パークにつき1日5,000人程度のキャストさんが勤務しているという実態を踏まえると、たとえば緊急事態宣言下の入園者数5,000人のパークだと、そのような印象を持ってもおかしくありませんね。

 

 

年度を通じた平均値で見れば、コロナ禍以前はキャスト1人当たりの1日の入園者数は6.0~6.5人でしたが、2020年度には3.0人に急減し、2021年度も3.4人と、以前よりも低い水準にとどまっています。

 

 

今年度の状況がどうなっているのかはデータがまだありませんが、

 

・入園者数はOLCの業績予測どおりに年間2,000万人を達成する一方

 

・キャスト数は2021年度と同じ7.5%で増加する

 

と仮定すると、キャスト1人当たり入園者数は5.2人まで増加します。

 

 

更に、2024年度には年間入園者数2,600万人が目標となっているところですが、少子高齢化の進行と共に、どの業種でも人手不足が叫ばれる中、コロナ禍からの回復期の2020年度や2021年度と同じようなペースで雇用を増加させるのは非常に困難だと考えられます。

 

 

そこで、2023年度及び2024年度のキャスト数については、2014年度から2019年度の平均と同じ1.2%で増加すると仮定しましょう。

 

 

すると、キャスト1人当たり入園者数は6.6人となり、コロナ前よりも少し高い水準となります。

 

 

つまり、2024年度入園者数2,600万人というOLCの計画を無理なく実現するためにはキャスト数の増加はこのペースを上回る必要があるということになりそうです。

 

 

キャスト不足がパーク運営の正常化の制約要因となる可能性もあるだけに、こちらの動向にも引き続き注目していきたいと思います。