皆さんこんにちは
先々週にディズニーランドパリのメインストリートUSAを走る消防車についてご紹介しました。
消防署を取り上げた以上、警察署についても触れないわけには行かない(?)ので、本日はメインストリートUSAを走る警察車両について書きたいと思います
こちらがディズニーランドパリのメインストリートUSAを行く警察車両です。
もちろん、ゲストがアトラクションとして乗ることができるのですが、この車両、逮捕した容疑者を運ぶ護送車なんですよ
さて、注目いただきたいのはこの車両の側面。
"MAIN STREET POLICE DEPT."(メインストリート警察署)
"KEYSTONE PRECINCT"(キーストーン警察管区)
と、車両の所属が書かれていますが、それと共に
"PADDY WAGON"(パディー・ワゴン)
という文字も書かれています。
車両の姿からして、「ワゴン」は「ワゴン車」の「ワゴン」で間違いありませんが…
皆さんは、このような警察の護送車がなぜ「パディー・ワゴン」と呼ばれていたか、ご存じですか
「パディー・ワゴン」という言葉自体は、逮捕者を馬車で護送していた19世紀初頭には用いられていたようですが、その語源については諸説あるそうです。
一つの説は、
・ 「パディー」(paddy)は単に「パトロール」(patrol)の略語である
というもの。
つまり、「パディー・ワゴン」は、日本語で言えば「パトカー」ぐらいの意味合いで使われていた、ということになります。
もう一つの有力な説は、今日目線で見るとかなり差別主義的なものなのですが、
・ 「パディー」(Paddy)は「パトリック」(Patric)という人名を指す
というもの。
なぜ、これが差別主義的なのか
それは、「パトリック」を意味する「パディー」が19世紀には広く「アイルランド人」を指す蔑称であったからなんです。
アイルランドにカトリックを伝道した聖パトリックは、アイルランドの象徴と言えますが、ピューリタンやプロテスタントによって建国されたアメリカ合衆国では、カトリックの後発移民であるアイルランド人は差別の対象となっていました。
このため、アイルランドを象徴する「パトリック」という名前が、アイルランド人を蔑んで呼ぶ際に使われていたようです。
かてて加えて、19世紀半ばのニューヨークでは、警察に逮捕される容疑者の半数以上がアイルランド系移民であったとも言われています。
このため、
・ 逮捕者=アイルランド移民というステレオタイプ
が、人々をして警察の護送車をパディー=アイルランド人を運ぶ車、すなわち「パディー・ワゴン」と呼ばせた、という説です。
このように、後者の説はあまりいただけない内容なのですが…
「パディー・ワゴン」という言葉、メインストリートUSAがテーマとする、19世紀から20世紀への世紀の転換点におけるアメリカの移民事情を理解する上では、知っておく価値のある言葉と言えそうです。