皆さんこんにちはニコ

 

 

株式市場はなかなか面白いなぁと改めて思ったのは、今週のオリエンタルランドの株価の動きです。

 

 

6月22日(月)のお昼にパークの営業再開が発表された(図のオレンジ色の部分)翌日の23日(火)こそ14,975円から15,460円へと3.2%上昇したのですが、その後は

 

・ 6月24日(水) 15,105円 (前日比▲2.3%)

 

・ 6月25日(木) 14,510円 (前日比▲3.9%)

 

・ 6月26日(金) 14,385円 (前日比▲0.9%)

 

と続落して一週間を終えました。先週末からは▲4.2%下落したことになります。



これまでは臨時休園や休園の延長の発表(図の青色の部分)の直後に上がったり下がったりしながらも、5月末までは上昇傾向にあったオリエンタルランドの株価に、何が起きているのでしょうか。

 

 

特に入園チケットのオンライン販売の開始日に当たる25日の木曜日に▲3.9%と大幅な下落を記録しています。

 

チケット販売の開始が、ちょうど株式市場が取引を終了する午後3時だったことを考えると、チケット販売の混乱が株価に影響を及ぼしたわけではないことは明らかです。

 

しかし、この日は、現地時間前日にカリフォルニアのディズニーランドリゾートが7月17日のパーク再開の撤回を発表したニュースが伝わった日です(詳細についてはこちらの記事をご参照いただければ)。

 

 

株式市場のニュースなんかを見ると、東京ディズニーリゾートの再開についても危ぶむ見方が広がった…ということですが…

 


感染症の拡大状況も、政府による経済活動に対する規制も、更に言うと運営会社も違うパークの再開延期のニュースが「連想売り」の引き金になった、というのは、ちょっと短絡的な解釈のように感じられます。


 

むしろ、東京ディズニーリゾートの営業との関係で言えば、海外では感染再拡大のリスクが拭い去れないことが明らかになったことで、訪日外国人観光客も含めた来園者数の回復が遠のいたと投資家が判断し、業績見通しを下方修正したことの影響が大きいように思えます。

 

 

以前のブログ(「数字が語るコロナ禍とディズニーランド(4)」)でご紹介したとおり、2010年代には日本国内の人口が減少に転じたにも関わらず、東京ディズニーリゾートへの来園者数は、2013年度以降に20%程度も増加しています。

 

 

この入園者数の増加に大きく貢献したのは、訪日外国人観光客であると考えられます

 

日本政府が戦略的に短期滞在ビザの規制緩和を行うのと前後して、訪日外国人観光客は2012年の836.8万人から

 

・ 2013年 1036.4万人 (前年比23.9%増加)

 

・ 2014年 1341.4万人 (前年比29.4%増加)

 

・ 2015年 1973.7万人 (前年比47.1%増加)

 

・ 2016年 2403.9万人 (前年比21.8%増加)

 

・ 2017年 2869.1万人 (前年比19.3%増加)

 

・ 2018年 3119.2万人 (前年比 8.7%増加)

 

と、凄まじい勢いで増加してきたことがお分かりいただけると思います(出所:日本政府観光局)。

 

 

この数字が、新型コロナウイルス感染症の拡大後、渡航制限により事実上ゼロになったことは言うまでもありません。



オリエンタルランドが過去最高の業績を上げた2018年度に並ぶ、あるいはそれを上回る業績を上げるためには、外国人観光客も含めた入園者数の回復が不可欠です。



このところの海外、特にアメリカを中心とした感染症の再拡大の動きは、外国人観光客の回復が期待していたよりも先になりそうなことを示すニュースとして受け止められているのではないでしょうかはてなマーク



率直に言って、5月中のように株価が休園前の水準よりも上がるというのは、根拠に乏しいと思っていたので、今週末の株価が、ちょうど2月始めに海外からの入国制限が始まる以前の水準に戻ったことは、ある意味妥当なことのように思えます。



来週以降も、世界の感染症拡大に関するニュースに応じて、オリエンタルランドの株価も方向感に欠ける動きが続く可能性もあると思います。