ἀλλ᾽ ἵνα φανερωθῇ τὰ ἔργα τοῦ θεοῦ ἐν αὐτῷ.

(John 9:3 BGT)

sed ut manifestetur opera Dei in illo

 (John 9:3 VULM)

but this happened so that the works of God might be displayed in him.

 (John 9:3 NIV)

sondern daß die Werke Gottes offenbar würden an ihm.

(John 9:3 L45)

「ただ神のみわざが、彼の上に現れるためである。」

 (ヨハネ9:3 口語訳)

 

 

交通事故から1年が経ちました。

1年前に日赤病院で生死をさ迷っていた私は

今名古屋のアパートにいます。

首の骨2本、背骨3本を骨折し、脊髄を損傷した私は、

全身がピクリとも動かず、呼吸も止まる寸前でした。

 

事故の翌日には人工呼吸器の使用について

医師に尋ねられ(脳死後の延命措置)、

4日後には一生車椅子の生活を覚悟するように言われました。

 

事故当日の夜は地獄のような痛みと苦しみを味わいました。

36時間、一睡もできずに、、、

睡眠薬を与えるとそのまま死んでしまうことを恐れた医師は

薬で眠ることを許してくれませんでした。

 

「イエスさま、助けてください、、、」

十字架にかかったイエスさまはともに痛みを担ってくださる、、、

「痛い、苦しい、、、」

インマヌエル、主、我らと共にいます。

「いつまで続くの、、、助けて、、、」

長い夜は続き、やがて朝になりました。

 

神さまの憐れみと、

多くの方々の祈りによって、

わたしは奇跡的な回復を遂げました。

 

多くの機械や管や点滴がはずされ、

手が動かなくて、人に食べさせてもらっていたわたしが、

自分で食事ができるようになりました。

 

歩けなかったわたしが歩けるようになりました。

トイレを自分でできるようになりました。

もう、大きな声は出せないと思いましたが、

歌が歌えるように、賛美できるようになりました。

 

後遺症は残りました。

手足に痛みと痺れがあります。

脊髄損傷から来るものです。

後遺傷害の7級だそうです。

54パーセントの労働能力の喪失に相当するものです。

 

教員としては

1時間立ち続けることができない、

黒板に書き続けることができない状況ですが、

 

今、与えられたこと、

できることをしていくつもりです。

そして、何らかのかたちでキリストの証人になりたいものです。

 

5月に美術史学会で『ビーブル・モラリゼ』について発表しました。

これは13世紀の挿絵付聖書で、

今の絵本や漫画に近い形態のものです。

名古屋大学のK先生がわたしの指導教授で、

いつも親切に指導してくださいます。

(中世キリスト教美術の世界的権威で、名大の副総長)。

5月の大英図書館での写本調査の費用も

ご自身の研究費から出してくださった。

(わたしは博士研究員なので、指導教授の研究費を使用可能)。

 

その発表を元に学会誌に論文投稿をようやくしました(11月末締切)。

掲載されるか、どうかはこれからの話です。

5月の発表を見た東京の大学の先生から、

日仏美術学会での発表を打診され、

現在のところ1月の学会発表を目指して準備しております。

 

相変わらず、収入はないので、

学会費は響きますが、節約生活でがんばります。

 

交通事故の原因となった相手の保険会社が提示した保険金額は、

弁護士によると通常の半額以下だったそうで、

そのために裁判をすることになりそうです。

 

誰も知らないところで、細々と生活している者ですが、

お祈りに覚えていただければ、幸いです。

 

1年間の感謝をこめて

            ハリー・シン

 

 

 

 

 

大英図書館 「ビーブル・モラリゼ」(Harley 1527写本 fol. 77r)