65 新約23 マルタとマリア Martha and Mary

 

イエスは答えて言われた、「マルタよ、マルタよ、あなたは多くのことに思いわずらって、悩んでいる。しかし、無くてならぬものは一つだけである。マリアは良いものを選んだ。それを彼女から取り上げてはならない。」(ルカ10:41-42

 

And Jesus answered and said to her, "Martha, Martha, you are worried and troubled about many things. But one thing is needed, and Mary has chosen that good part, which will not be taken away from her." (Lk 10:41-42)

 

 エルサレムから3km足らずのところにベタニアという村があり、イエスの一行を支援した裕福な一家がいました。姉マルタ、妹マリア、弟ラザロの家です。あるとき、女主人マルタがイエスを家に迎え入れたとき、その一行は十数人もいたので、マルタはそのもてなしのために、猫の手も借りたいぐらい忙しく働きました。一方、妹のマリアは、イエスの足元に座って、イエスの話を静かに聞いていました。イライラしたマルタは、声を荒げて、マリアに手伝うように注意してほしいと頼みますが、イエスはそれをたしなめるのでした。

 

 イエスが十字架にかけられる受難週直前のことでした。ベタニアのマルタの家で、イエスのために夕食が用意され、マルタは給仕しました。妹マリアは、純粋で非常に高価なナルドの香油を1リトラ(326g、300日分の賃金に相当)持って来て、イエスの足に塗り、自分の髪の毛でぬぐいました。家中が香油の良い香りで一杯になり、みんなうっとりしましたが、イエスを裏切るイスカリオテのユダは、もったいないと言って怒り出しました。しかし、イエスは言いました。

 

「マリアはわたしの体に香油を注いで、

わたしを葬る準備をしてくれた。

この福音が宣べ伝えられるところでは、

世界中どこでもこの行為は記念として
 語り伝えられるだろう。」




 フェルメール・ファン・デルフト「マルタとマリアの家にいるキリスト」1654-55年 油彩・画布 160 x 142 cm スコットランド国立美術館 エジンバラ VERMEER, Johannes Christ in the House of Martha and Mary 1654-55 Oil on canvas, 160 x 142 cm National Gallery of Scotland, Edinburgh

 何回か見ましたが、フェルメールの絵としては大きい方で、聖画のテーマも珍しいものです。



 ティントレット「マルタとマリアの家にいるキリスト」ミュンヘン TINTORETTO Christ in the House of Martha and Mary 1570-75 Oil on canvas, 200 x 132 cm Alte Pinakothek, Munich



 カラヴァッジョ「マルタとマグダラのマリア」1598年頃 油彩・画布 97.8 x 132.7 cm デトロイト美術館 CARAVAGGIO Martha and Mary Magdalene c. 1598 Oil on canvas, 98 x 133 cm Institute of Arts, Detroit



 ジオヴァンニ・ダ・ミラノ「シモンの家出の饗宴」サンタ・クローチェ教会フィレンツェ GIOVANNI DA MILANO Feast in the House of Simon the Pharisee 1365 Fresco Rinuccini Chapel, Santa Croce, Florence