63 新約21 委託された金のたとえ Parable
of the Talents
「だから、目をさましていなさい。その日その時が、あなたがたにはわからないからである。神の国はまた次のようにたとえられる。」(マタイ25:13-14)
"Watch out
therefore, because you do not know the day or the hour. At that time the
Kingdom of heaven will be like this.” (Mt
25:13-14)
イエスのたとえ話は、新約聖書に収められたものだけでも数十あります。そのどれもが印象的で、個性的なもので、イエスの歴史的な実在を物語るものです。その中のいくつかのものは、イスラエルの指導者たちに対する痛烈な批判でした。イエスは当時の指導者たちを、人々と自らを破滅に導く「盲人の道案内をする盲人」とか、表面は取り繕うが、内面は腐り切った「白く塗った墓」(マタイ23:27)と呼びました。彼らは能力があるにもかかわらず、民衆を幸福に導く努力をせずに、民衆を蔑視していたからです。
イエスは委託された金のたとえを話しました。(マタイ25:14-29、ルカ19:12-24)。
「神の国は、ある商人がその使用人たちを呼んで、自分の財産を預けるようなものだ。主人は彼らの能力に応じて、ある者には5タラントン、ある者には2タラントン、ある者には1タラントンを預けて、旅立った。5タラントンを渡された者は、それをもとに商売をして、ほかに5タラントンをもうけ、2タラントンの者も同様にして、ほかに2タラントンをもうけた。しかし、1タラントンを渡された者は、主人の金を土に埋めて無駄に時を過ごした。時がたって、主人が帰って、使用人たちと精算をしはじめた。
すると5タラントンを預かった者が進み出て、ほかの5タラントンを差し出した。
主人は彼に言った。
『良い忠実な僕よ、よくやった。
お前はわずかなものに忠実だったから、
多くのものを管理させよう。わたしと一緒に喜んでくれ』。
2タラントンの者も進み出て、他の2タラントンを差し出し、5タラントンの者と同じ言葉をかけられた。
1タラントンの者は進み出て言った。
『ご主人様、わたしはあなたが厳しい酷な人であることを
知っていたので、
恐くなってあなたの金を土の中に隠しました。
これがあなたのお金です』。
すると、主人は彼に言った、
『悪い怠惰な僕よ、お前はわたしを厳しい酷な人間と言うのか。
お前は能力があるのに、何の努力もしないで遊んでいたのか。
それなら、わたしの金を銀行に預けるべきだった。
そうしたら、利子を得られただろうに。
さあ、この男を追い出すがよい。』」
タラントンのたとえや十人のおとめのたとえは、本来イエスがユダヤ人の指導者たちに対する裁きの到来を告げるものでした。それがキリストの再臨の時(最後の審判)まで、人間が誠実に準備して過ごすようにという教えに転用されました。
当時の日雇いの日当が1デナリ(ドラクメ)、100デナリが1ミナ、6000デナリが1タラントンでした。だから、1タラントンは、20年分近くの年収に相当するので、とても高額になります。
タラントンという単位は、後に才能を意味するタレントという言葉になりました。
ローマ帝国時代の通貨(大英博物館)
ピーテル・ブリューゲル「盲人が盲人を導くたとえ」1568年 テンペラ・画布 86 x 154 cm ナポリ国立美術館 BRUEGEL, Pieter the Elder The Parable of the Blind Leading the Blind
1568 Tempera on canvas, 86 x 154 cm Museo Nazionale di Capodimonte, Naples
ペーター・フォン・コルネリウス「賢い乙女と愚かな乙女」 Peter Von Cornelius The Wise
and Foolish Virgins c1813