59 新約17 主の祈り Lord’s Prayer

 

だから、こう祈りなさい。「天におられるわたしたちの父よ」(マタイ6:9

 

Therefore pray thus, “Our Father in heaven”. (Mt 6:9)

 

「天におられるわたしたちの父よ、

あなたの名前が大切にされますように。

あなたの国が来ますように。

あなたの意志が行われますように。

わたしたちに必要な食事を与えてください。

わたしたちの罪を赦してください。

わたしたちを誘惑と悪から救ってください。」

 

 イエスが弟子たちに教えた祈りに「主の祈り」(マタイ69-13、ルカ112-4)があります。これは現在もキリスト教のほとんどの宗派で暗唱されて祈られる祈りです。前半は「父よ」という呼びかけに始まる神に関する3つの祈り、後半は人間に関する3つの祈りで構成されます。最後の神を讃える部分(頌栄)はルター訳(ドイツ語)や欽定訳(英語)が参照したギリシア語テクストの影響で挿入されたもので、プロテスタント教会では多く採用しています。

 

日本の教会ではプロテスタント教会の多くは1880年の文語訳を用い、カトリック教会と聖公会は2000年の共同の口語訳を用い、正教会は明治期の独自の文語訳を用いるそうです。

 

 

プロテスタント訳(1880年)

 

天にまします我らの父よ。

ねがわくは御名をあがめさせたまえ。

御国を来たらせたまえ。

みこころの天になるごとく、 地にもなさせたまえ。

我らの日用の糧を、今日も与えたまえ。

我らに罪をおかす者を、我らがゆるすごとく、

我らの罪をもゆるしたまえ。

我らをこころみにあわせず、

悪より救いいだしたまえ。

国とちからと栄えとは、限りなくなんじのものなればなり。

アーメン。

 

 

カトリック教会と日本聖公会の共通口語訳(2000年)

 

天におられるわたしたちの父よ、

み名が聖とされますように。

み国が来ますように。

みこころが天に行われるとおり、地にも行われますように。

わたしたちの日ごとの糧を今日もお与えください。

わたしたちの罪をおゆるしください。

わたしたちも人をゆるします。

わたしたちを誘惑におちいらせず、

悪からお救いください。

(国と力と栄光は、永遠にあなたのものです。)

アーメン




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