33章 死喰い人     The Death Eaters

 

 ヴォルデモートはワームテールの左手を取り、肘まで袖をめくり上げました。そこには真っ赤な刺青のようなものがありました。それはヴォルデモートの印、口から蛇が飛び出している髑髏、ダーク・マークです。ヴォルデモートがその印に指を押し当てるとワームテールは痛みに叫び声を上げ、ダーク・マークは真っ黒に変色しました。実はこれはヴォルデモートの信奉者、死喰い人(デス・イーター)を呼び寄せる合図なのです。

 

しばらくすると、30人ほどのフードをかぶり、仮面をつけた闇の魔法使いたちが「姿現わし」の魔法で現れました。全員が「ご主人様...ご主人様...」と呟き、跪いてヴォルデモートのローブの裾にキスしていきます。ヴォルデモートはデス・イーターたちの不忠実を責め、毒づきながらも、再会を喜びます。その中には、エイブリー、ルシウス・マルフォイ、マクネア、クラッブ、ゴイル、ノットたちがいます。ヴォルデモートはデス・イーターたちの前で自らの力を誇示するために、ハリー・ポッターを残酷にもてあそんで殺そうとするのでした。

 

 

34章 直前呪文    Priori Incantatem

 

 ヴォルデモートはワームテールにハリーのロープをほどき、杖を持たせて決闘させるように命じました。早速ヴォルデモートは「磔の呪文」でハリーをいたぶり、ハリーは激痛のため、大声で悲鳴を上げました。次にハリーに惨めな命乞をさせるために「服従の呪文」をかけました。しかし、ハリーは強い意志で「僕は言わないぞ!」と大声で宣言しました。ハリーは恐怖と理性を超えた決断をしました。多勢に無勢で自分はセドリックのように殺されるだろう。しかし、ヴォルデモートに跪いて死ぬことはしない。自分の父親のように、堂々と敵に立ち向かって最後まで戦うのだ。

 

ヴォルデモートの「アバダ・ケダブラ!」の殺人の呪いと同時にハリーは「エクスペリアームズ!」と武装解除の呪文を唱えていました。ヴォルデモートの杖から出た緑の閃光とハリーの杖から出た赤い閃光が空中でぶつかった瞬間、二つの杖は同調して金色の光の糸で結ばれ、振動し出しました。さらに金色の糸が裂け、二つの杖をつないだまま二人だけを金色のドームのように囲みました。

 

実は共通の芯を使った兄弟杖はお互いに対して正常に作動せずに、無理に戦わせると呪文逆戻し効果が起こります。それとは知る由もなく、デス・イーターは恐怖の叫び声をあげ、ヴォルデモートも驚愕の色を隠せません。ハリーの耳には不死鳥の歌の調べが聞こえました。希望の力を得たハリーは懇親の力を込めて、光の玉のようになった金色の糸をヴォルデモートのほうに押し戻しました。

 

するとヴォルデモートの杖は苦痛に歪み、直前呪文の効果で、次々とゴーストのようなその杖の犠牲者を吐き出しました。セドリック・ディゴリー、フランク・ブライス、バーサ・ジョーキンス。みんなハリーを励まし、ヴォルデモートを罵ります。そして、母リリー・ポッターです。母はお父さんが来るから、がんばれと励まします。父ジェームス・ポッターは時間を稼ぐから、ポートキーのところに行って逃げなさいと指示しました。セドリックは自分の遺体を両親に届けてほしいと頼みます。金色の糸が切れた後、ハリーは敵の攻撃の中、必死に逃げ、セドリックの遺体にしがみついて、優勝杯を取りました。

 

 

 ローリングはハリーの両親が現れる部分を執筆する際、感極まって、泣きながら書いたそうです。

 





 エジンバラのある風景