39 旧約39 ヨブと苦しみの意味 Job and Meaning of Suffering
わたしは知る、わたしをあがなう方は生きておられる。そして、後の日に彼は地上に立たれる。たとえ、わたしのこの体が滅びても、なおもわたしはこの身で神に出会うであろう。(ヨブ19:25-26)
I know that my
Redeemer liveth, and that he shall stand at the latter day upon the earth. And
though worms destroy this body, yet in my flesh shall I see God. (Job 19:25-26)
ウツという所に、とても善良で、信仰深いヨブという人がいました。彼には妻と7人の息子、3人の娘がおり、多くの使用人と数え切れないほどの家畜を抱えた、東方で一番の富豪でした。ヨブは、いつも神への礼拝を欠かさず、困った人々を援助し、誰からも尊敬される人物でした。
ある日、神の前で、天使たちが集まり、天上の会議を開きました。そこに、地上をあちこち放浪したサタンもやって来ました。
神 「サタンよ、お前は、地上のヨブに気づいたか?
彼ほど善良で、信仰深い者はいない。」
サタン「神よ、それはご利益があるから当然です。
家族と財産が無くなれば、
人間なんて、すぐに神を呪うものです。」
そこで、神はサタンにヨブを苦難に遭わせることを許可しました。ヨブは一日にして、すべての家畜と多くの使用人、そして、最愛の10人の子供たちを失いました。何もかも失ったヨブは、ひれ伏して言いました。
「わたしは裸で母の胎を出て、
また、裸でそこに帰ろう。
主は与え、主は奪う。
主の御名はほむべきかな。」(1:20)
神 「サタンよ、お前はヨブに気づいたか?
お前は彼を破滅させようとしたが、
彼はどこまでも無垢だ。」
サタン「神よ、人は自分の命のためには
全財産も差し出します。
健康を損なえば、
人は神を呪うものです。」
神が許可を与えたので、サタンはヨブの健康を奪いました。全身、重い皮膚病を患ったヨブは全身をかきむしり、灰の中を転げました。
ヨブの妻は次のように言う始末です。
「どこまで神を信じるのですか。
神を呪って死ぬほうがましでしょう。」
ヨブの不幸を聞いた3人の友人たちはヨブを見舞うために遠方からはるばる駆けつけました。しかし、彼らは変わり果てたヨブの姿を見て絶句しました。ヨブが自分の誕生を呪ったことから、ヨブと友人たちの間に激しい論争が展開されます。友人たちの議論は単純な因果応報論ですが、ヨブの議論は正しい者もなぜ苦しむのかという深刻な現実でした。その中でヨブは言いました。
「わたしは知る、
わたしをあがなう方は生きておられる。」
I know that my
Redeemer liveth,
and that he
shall stand
at the latter day upon the earth.
And though
worms destroy this body,
yet in my flesh
shall I see God.
(Job 19:25-26 ヘンデルのメサイア第3部冒頭)
結論の出ない果てしない彼らの論争の後に、
遂に神が嵐の中に現れました。
そして、神はヨブに言いました。
「腰に帯をして、人間として
わたしに向き合い、答えなさい。」(38:3)
(ヨブ記には苦悩の問題に対する明らかな答えはないようです。ただ、苦難の中でヨブが神と出会ったことが描かれています。)
ヨブは言います。
「わたしは神のことを耳で聞いていましたが、
今、わたしはあなたと出会う経験をしました。
それでわたしは自らを省み、
ちり灰の中で悔い改めます」。 ( 42:5-6)
神の怒りをかった友人たちのために、ヨブが祈ったとき、神は再びヨブを祝福して、健康を与え、元の倍の財産を与え、さらに10人の子供を与え、ひ孫を見るまで長寿を与えられました。
長い苦難の歴史を経験したユダヤ民族が辿り着いた一つの結論は「知恵」(知恵文学)かもしれません。
イリヤ・レーピン「ヨブと友人たち」1869年 油彩・画布 ロシア美術館 サンクトペテルブルグ Ilya Repin Job
and his Friends oil on canvas 1869 Museum Russian Museum, St Petersburg
ウィリアム・ブレイク「ひどい皮膚病でヨブを打つサタン」1826年 インクとテンペラ・板 32.6 x 43.2 cm
テート美術館
ロンドン William Blake Satan
Smiting Job with Sore Boils c.1826 Tate Museum London