26 旧約26 怪力サムソン Samson of Superhuman Strength

 

デリラはサムソンの頭を胸に抱き、膝枕で彼を眠らせた。そして、彼の髪の毛をそらせて、拷問に引き渡した。すぐに彼の力が消え去ったからである。(士師記 16: 19

 

But Delilah made Samson sleep on her knees, and lay his head in her bosom. And she had his head shaved and left him to be tortured, for immediately his strength departed from him. (Jdg 16:19)

 

 ヨシュアの死後、しばらくはイスラエルの人々は、主(ヤーウェ)を信じて従いましたが、やがて新しい世代の人々は現地の人々と結婚して、バアルやアシェラなどの異教の神々を拝むようになりました。宗教も政治もばらばらになったイスラエルは弱体化して外国から攻められ、支配されて圧政に苦しみました。その度に、神は「士師」と呼ばれる指導者を与えてイスラエルを守り、導きましたが、平和は長続きしませんでした。

 

 ペリシテ人にイスラエルが支配されていたときのことです。天使がある夫婦に「これから生まれる子供を神にささげるナジル人(ナザレ!?)としなさい、彼はやがて強い士師となるから」と告げました。二人は生まれた子供をサムソンと名付け、ナジル人の掟にしたがって、髪の毛を一度も切りませんでした。

 

 サムソンが大人になったある日のことです。一頭のライオンがサムソンに襲い掛かりました。その時、サムソンに神の力が激しくのぞみ、サムソンはそのライオンを素手で引き裂きました。怪力サムソンの誕生です。その後、女性と酒に弱いサムソンはペリシテ人の娘に恋をして結婚しました。しかし、その娘が殺されたことをきっかけにサムソンはペリシテ人と戦うことになりました。あるときは剣の代わりに落ちていたロバの顎の骨で1000人を打ち殺し、あるときは町の門の扉を引き抜いて山頂に捨てました。

 

 その後、サムソンは娼婦デリラに恋をしました。しかし、デリラはペリシテ人の王たちと内通して銀貨1100枚でサムソンを売りました。彼女は女の武器を駆使して、サムソンの口からようやく彼の力の秘密を聞き出しました。彼の力の源は一度も切ったことがない長い髪の毛だったのです。デリラはサムソンを酒で酔わせて眠らせ、彼が自分のひざで眠っている間に髪の毛を切りました。力を失ったサムソンは敵に両目をつぶされました。この後、サムソンは見世物にされて、ことあるごとに愚弄されました。

 

何年か経ち、ペリシテ人の盛大な祭りが催されました。その時、道化として再びサムソンが呼び出されました。彼らは大切なことを忘れていました。サムソンの力の秘密を、、、彼の髪の毛は既に長く伸びていたのです。失明したサムソンは、巨大な建物を支える柱を回復した怪力で押し倒しました。すると、建物全体が倒壊して、サムソンはペリシテ人の王たちと3000人のペリシテ人を道連れにこの世を去りました。

 

 

 映画としてはアメリカ映画「サムソンとデリラ」(1949年)、デニス・ホッパー、エリック・タール出演のアメリカ、ドイツ、イタリア合作の「サムソンとデリラ」(1997年)があるようです。

 

ルーベンス「サムソンとデリラ」1609年頃 油彩・板 185 x 205 cm ナショナル・ギャラリー ロンドン


 


レンブラント「サムソンの失明」1636年 油彩・画布 236 x 302 cm フランクフルト市立美術館 REMBRANDT Harmenszoon van Rijn The Blinding of Samson 1636 Oil on canvas, 236 x 302 cm Städelsches Kunstinstitut, Frankfurt

 

 


グイド・レーニ「サムソンの勝利」1611-12 年 油彩・画布 ボローニャ国立絵画館 RENI, Guido The Triumph of Samson 1611-12 Oil on canvas, 260 x 223 cm Pinacoteca Nazionale, Bologna


 

 ボローニャ(イタリア)に行ったのはサン・ペトロニオ大聖堂のクエルチアのレリーフを見るためでした。正直言って、大聖堂には少し落胆しました。様式が上下違って未完だからです。でも、国立絵画館でレーニの「サムソンの勝利」を見て写真を取ることができたのは収穫でした。