25 旧約25 ヨシュアのカナン占領 Joshua’s Conquest of Canaan
「わたしはモーセと共にいたように、あなたと共にいる。あなたを見放すことも、見捨てることもない。強く、雄々しくあれ。あなたは、わたしが先祖たちに与えると誓った土地を、この民に継がせる者である。」(ヨシュア1: 5-6)
“As I was with
Moses, so I will be with you. I will not leave you nor forsake you. Be strong
and of good courage, for to this people you shall divide as an inheritance the
land which I swore to their fathers to give them.” (Jos 1:5-6)
モーセは、死海をはさんでエリコの対岸にあるモアブのネボ山に登り、約束の地、カナンを見渡しました。ここで、モーセは、イスラエルの人々を祝福し、エジプトからカナンに彼らを導く自らの役目を終え、120年の生涯を閉じました。モーセの後を継いで、イスラエルの指導者となったのはヨシュアでした。ヨシュアの役目は、整備された強い軍隊を指導し、カナンの先住民と戦い、敵を滅ぼし、土地を獲得することでした。そのために必要なのは、時には非情になりきる鉄の意志でした。
ヨシュアは、祭司たちに契約の箱を担がせ、イスラエルの人々を先導させて、ヨルダン川を渡らせました。祭司たちの足が、ヨルダン川の水に入ると、川の水はせき止められて干上がり、イスラエルの人々は川床を歩いて渡りました。そのことを聞いた周囲の国々は非常に恐れました。ヨシュアは、イスラエルの人々をギルガルで宿営させ、割礼を施しました。荒野で生まれた新しい世代は、割礼を受けていなかったからです。そして、そこで過越祭を祝い、土地の産物を食べました。そのときから、マナは降らなくなりました。新しい時代が始まったのです。
ヨシュアは、エリコの近くで、抜き身の剣を手にした天使に出会いました。ヨシュアはそこで、足から履物を脱ぎ、礼拝し、これからの戦いに備えました。ヨシュアを指導者とするイスラエルの人々は、エリコを始め、戦いを挑む敵を滅ぼし尽くし、カナンの土地を征服しました。そして、ヨシュアは、くじ引きをさせて、各部族に土地を分配しました。但し、レビ族には土地を与えず、各地に住む町と、放牧地を与えました。彼らには祭司職が与えられたからです。最後に、ヨシュアは、シケムでイスラエルの人々と契約を結びました。イスラエルの人々は、自らの意志で、他の神々ではなく、主(ヤーウェ)を選んで、信じて仕えていく契約を結びました。
割礼はユダヤ教やイスラム教では神との契約のしるしと考えられるそうです。それは具体的には男性性器の陰茎包皮を切除することで、ユダヤ教では男子が生まれてから8日目に行うことが説かれ、イスラム教ではコーランの記述はないが、生後7日後から12才頃までに行うことが慣行として定着しているそうです。イスラム圏では他に女性器切除の慣習もあるらしく、人権団体などでは女性人権侵害の悪習と考えられているそうです。
エリコの遺跡にある「命の木」のモザイク:ヨシュアはヨルダン川を渡った後、エリコを征服した。
「ヨルダン川の水がせき止められる」『道徳的聖書』(Bible moralisée, Bodley 270b fol. 95v D1) 1235年頃
ボドリアン図書館蔵、オックスフォード
プッサン「アモリ人へのヨシュアの勝利」1624-26年 油彩・画布 プーシキン美術館 モスクワ POUSSIN, Nicolas
Joshua's Victory over the Amorites 1625-26 Oil on canvas, 97 x 134 cm Pushkin
Museum, Moscow
アルタス・クェリヌス「ヨシュア像」1650年
大理石 180 cmアントワープ大聖堂 QUELLINUS, Artus II
Joshua after 1650 White marble, height 180 cm O.-L. Vrouwekathedraal, Antwerp
ヘブライ語のヨシュア(יְהוֹשׁוּעַ)という名前は、「主は救い」という意味で、ギリシア語ではイエス(Ἰησοῦς)という名前になります。
立場が変わると、見える世界は違うかもしれない、、、パリのホステルで出会ったイラン人の彼、、、イスタンブールで出会った教員の彼女、、、エリコやベツレヘムを案内してくれたパレスチナ人のタクシー運転手のおじさん、、、