13 旧約13 ヤコブの夢 Jacob’s Dream

 

時に彼は夢を見た。一つのはしごが地上に立っていて、その頂は天に達し、 かも、神の御使いたちがそれを上ったり下ったりしていた。(創世記28:12

 

 Then he dreamed, and behold, a ladder was set up on the earth, and its top reached to heaven; and the angels of God were ascending and descending on it. (Gen 28:12)

 

 イサクは成長して大人になり、40歳のときにリベカという親戚の美しい娘と結婚しました。やがて、リベカは双子の兄弟を産みました。兄は真っ赤な毛深い赤ちゃんで、エサウ(エドム人の祖)と名付けられ、弟は兄のかかと(アケブ)をつかんで生まれたので、ヤコブ(イスラエル人の祖)と名付けられました。兄エサウは野に出て獲物を追いかけるたくましい野人、狩人になりましたが、正反対に弟ヤコブは料理や家事を好む穏やかな人になりました。

 

 イサクは年老いて死の床に就き、目も見えなくなりました。イサクは長男エサウを呼んで、「死ぬ前に鹿の料理が食べたい。その後でお前に最後の祝福をしよう。」と言いました。それを聞いていたリベカは次男ヤコブの方がかわいかったので、夫イサクをだましてヤコブを祝福するように計画しました。リベカは子山羊を料理してイサクに食べさせ、ヤコブにエサウのように変装させて、イサクの最後の祝福を受けさせたのです。エサウが戻って来たときにはすべてが手遅れでした。最後の祝福はやり直しができないのです。悔しがった兄エサウは、ヤコブを殺すことを誓いました。それを知ったリベカは、ヤコブを自分の生まれ故郷に逃がすのでした。

 

 ヤコブは一人寂しく旅し、日が沈んだので、ある場所で石を枕に野宿しました。すると、ヤコブは不思議な夢を見ました。天から地上まで届くはしごがあり、天使たちがそこを上り、下りしていたのです。

 

神はヤコブに言われました。

「わたしは、アブラハムの神、イサクの神、主である。

世界中の人々が、あなたとあなたの子孫によって
  祝福される。

見よ、わたしはあなたと共にいて、あなたを守り、

あなたを決して見捨てない。」

 

 目を覚ましたヤコブは畏れ驚いて、枕にした石を記念碑として、その場所をベテル(神の家)と名付けました。そこが天国への門と考えたからです。


 

 天使の昇降は神からの啓示、天国の門は救いの道を意味します。新約聖書でイエスは自らの上に天使が昇降し、自らが門であると語っています
          (ヨハネ福音書
1:5110:9)。



 

 ウィリアム・ブレイク「ヤコブの階段」1805年 鉛筆と水彩・紙 39.8 x 30.6 cm 大英博物館 William Blake Jacob's Ladder, c. 1800


 


ラファエロ「ヤコブの夢」1518-19年 フレスコ 第2ロッジア ヴァチカン宮殿 RAFFAELLO Sanzio Jacob's Dream 1518-19 Fresco Loggia on the second floor, Palazzi Pontifici, Vatican

  

エルミタージュのレプリカ

 ヴァチカンのラファエロのロッジアは、壮大な旧約聖書の物語を48枚の絵で、新約聖書を4枚の絵で描いていますが、一般には公開されていないので、見ることができません。ロシアのサンクトペテルブルグのエルミタージュ美術館には、精巧なレプリカがあります。こちらは誰でもじっくり見ることができます。



 


 


 イスラエルの砂漠地帯、普通にらくだがいます。こんなところをヤコブは旅したのでしょうか?