サンタ・マリア・デル・ポポロはかつてのローマの北の玄関口だ。数多くの巡礼者たちが陸路ローマを訪れ、希望に胸を膨らませてこの門をくぐったことだろう。現在ではオベリクの立つ広場を中心に南に人気のショッピング街が続く。オベリスクは古代エジプトから略奪された石柱で、ローマ市内あちこちの広場に今も立てられている。ヴァチカンのサン・ピエトロ広場もしかり。サンタ・マリア・デル・ポポロ教会は門の傍らに立つ教会で、ここにはバロック芸術の2人の巨匠の作品がある。ベルニーニの彫刻の預言者ダニエル、預言者ハバクク像とカラバッジョの絵画の「ペトロの殉教」、「パウロの回心」だ。2003年には修復はされてなかったが、その後、教会内の部分的な修復が継続し、2014年現在は4つの預言者像のあるキージ礼拝堂は立ち入りができない。
もう既に殺害予告の午後8時は過ぎてしまった。修復中のサンタ・マリア・デル・ポポロ教会はまるで工事現場のようだ。教会の扉には鍵が掛けられていた。衛兵隊が正面扉に向かう一方、ラングドンとヴィットリアはいち早く裏口を探し出して先に二人だけで中に入った。暗殺者と出くわす恐怖と戦いながら、キージ礼拝堂にたどり着いた二人は見て驚いた。キリスト教の礼拝堂になぜピラミッドのモニュメントが!床の楕円形の蓋が開いており、この下には地下墓所がある。工事現場の梯子を使って墓所に降りたラングドンが目にしたのは無残な枢機卿の遺体だった。下半身は土に埋められ、口には土を詰め込まれて窒息死している。そして、裸の胸には対称形の飾り文字でEarth(土)の焼印が残されていた,,, ハバクク像の天使は南西を指している。この方向にはサン・ピエトロ広場がある。広場を警備担当する衛兵の話によると、オベリスクの横には「西風」(通称、神の息)のレリーフがある。午後9時のタイムリミットまでに次の殺人を食い止めなければ,,,
キージ礼拝堂には4つの預言者像、エリヤ、ヨナ、ダニエル、ハバククがある。説明文を見ると、ベルニーニは2つの預言者像の他にピラミッド型の2つのモニュメントを作ったようだ。