ハリー・ポッターの物語では魔法学校の生徒たちは新学年の始まる9月1日にロンドンのキングス・クロス駅の9と3/4番線から午前11時発のホグワーツ特急に乗ってホグワーツ魔法魔術学校に向かいます。到着は日没後の夜で、その所在地はスコットランドの奥地と推測されます。J.K.ローリングがハリー・ポッターを書いたのはスコットランドの首都エジンバラでした。だから、ホグワーツ特急の行き先もロンドンからエジンバラを経てスコットランド奥地に行くものが想定されます。実際のエジンバラからの鉄道は北部の湖沼地帯に行くものと、西部の工業都市グラスゴーを経て、北西の端のマレーグという小さな港町に行くものがあります。マレーグに行く途中に英国で最も古いグレン・フィナン陸橋があり、ここが映画「ハリー・ポッターと秘密の部屋」でハリーとロンが空飛ぶ車に乗ってホグワーツ特急を追いかけるロケ地になりました。そして、夏休みの期間だけ、このマレーグと避暑地としてとても人気のあるフォート・ウィリアムの間に1日1往復の蒸気機関車が走ります。まさにホグワーツ特急のような蒸気機関車なので、とても人気があり、チケットはすぐ完売するようです。私が行った時も座席は完売で、立ち乗りのチケットで乗り込みました。

 ホグワーツ特急を想定してハリー・ポッターの足取りを辿るスコットランドに行く私の旅は、ロンドンのキングス・クロス駅を出発して、スコットランドのエジンバラで2泊して、西部のグラスゴーを経て、北西の港町マレーグに立ち寄り、蒸気機関車でゆっくりグレン・フィナン陸橋を渡ってフォート・ウィリアムに戻り、そこで1泊して、復路はエジンバラ、ロンドンのキングス・クロスに戻り、パディントン駅から英国の拠点とした大学都市オックスフォードに戻る旅となりました。

 キングス・クロス駅の西側には枝線の9番線や10番線のホームがあります。そちらに向かう途中の壁にはハリー・ポッターを記念して93/4線の看板があります。最初は看板だけでしたが、今では看板の下に壁にめり込んだように荷物を運ぶカートが取り付けられています。